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「……ばか。俺だって……ずっと……」
若井の声は、かすれてた。
俺を抱きしめる腕が震えてて、その震えが全部伝わってくる。
抱きしめられた瞬間、堰を切ったみたいに涙があふれた。
「っ……ふっ、……」
声にならない声が漏れる。
ずっと我慢してたのに、もう止められなかった。
「泣くなよ……俺が泣きたくなるだろ」
若井が苦笑しながら頭を撫でてくる。
その手つきが優しくて、余計に涙が止まらない。
「……ごめん、俺……
ずっと隠してた……でも、怖くて……」
言葉が途切れ途切れになる。
「若井に嫌われたくなくて……でも、言いたくて……」
若井は少し間を置いて、俺の背中を強く叩いた。
「馬鹿。俺が元貴嫌うわけねぇだろ……っ」
その声も震えてた。
次に聞こえたのは、押し殺した嗚咽。
若井も、泣いてる。
俺は驚いて顔を上げた。
泣き顔なんて見せないやつが、今はぐしゃぐしゃになってた。
「……若井……」
名前を呼んだ瞬間、また涙がこぼれる。
若井は俺の頬を両手で挟んで、真っ直ぐ見てきた。
「……好きだ。ほんとに。元貴じゃなきゃダメなんだ」
声はかすれてるのに、言葉だけは真剣で。
胸がいっぱいになって、俺も答えた。
「俺も……俺も若井が好きだよ……!」
次の瞬間、また抱きしめ合った。
今度は、離れたくないって気持ちを込めて。
互いの涙が肩を濡らしていく。
それでも苦しくなくて、むしろ温かくて、
やっと言えたことに、泣き笑いしながら俺は思った。
――あぁ、伝わったんだ。
やっと、俺たちは同じ場所に立てたんだ。
二人で泣きながら想いを確かめ合った直後、扉が開いて光が差し込む。
そこに現れるのは金髪で優しい表情の涼ちゃん。
「……やっと素直になれたんだね」
って微笑む。
でも、若井と俺は泣き腫らした顔だからめっちゃ気まずい。