テラーノベル
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第72話
昔、一度目の大災厄がきた時の夢を見た。私も無力で悔しかった。
ロルフが目の前で見たこと無い量の魔物と戦って、傷ついて、無理をしていた。
私はそれがやるせなくて、悔しかった。
目が覚めるとロルフが横にいた。
温もりがあって、息もしてる。
「生きてる……良かった」
するとロルフが反対側に向けてた顔をこっちに向けた。
「生きてるよ。大丈夫。もう、あんな事しないから」
「うん。良かった」
それから、城に帰って、退職届を出して、仲間に手伝ってもらって引っ越しも済ませて、色々やってたら一週間経った。
今日立つ。
……と言っても、一刻くらいすれば着く場所なんだけど。
「じゃあ、気を付けてね」
「偶には顔をだせよ」
「うん」
僕は、家に向かった。
通い始めてから凄い景色が変わった。背はそれ程伸びていないはずなのに、周りだけが変わってしまってやっぱり寂しい。
家の扉を開けても、誰もいないし、あるのは、僕の荷物と家具。
この家、一人暮らしには広いんだよね……
一人、久しぶりの実家生活を始めた。
✡
剣士君の、体を調べさせてもらえる事になった。
光の子ってのもあるけど、あの魔法を使うと肉体年齢はどうなるのかが一番気になる。
……でも、無茶した体だから、無理はさせないでというのが、姫様の主張。
剣士君は、されるがままって感じだったから、週一で来て調べる事になった。
で、最初は血液検査をしたけど、血を抜き終わったら、ぶっ倒れた。
次は、毒耐性だけど、本人から拒絶された。
しゃあなし、魔力と魔法タイプを調べたら、見た事無いくらいに魔力が少なくて、魔法タイプも一つだった。
光の力の量の測り方はまだ分からないから、これから研究する。
「……ハンナさん。もう一度聞きますが、また、ですか?」
#探偵
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「えぇ。あの洞窟で寝てて何が体に起こったのか調べたいから一通りね」
そこまで言って彼の顔を見ると凄く嫌な顔をされていた。
「……でも、あの洞窟は使わない方がいいと思いますよ。何もかも置いていかれてしまうですから」
「だから、調べるんでしょう。次は、肉体年齢を調べるから、薬を少し垂らすね」
そう言って私が薬を手の平に垂らすと、彼の手から、赤い光が見えた。
ほう。まだ、止まってるか……
反対の手の平にもう一つの薬を垂らすと、薄い水色の光が見えた。
大体、十五で止まってる……
「体は歳をとっていないみたいね。ユラガ族でも、二十歳くらいになるまでは見た目年齢は進むけど、特殊体質?」
「知りませんよ。両親も早くに亡くなったので、そこら辺の情報はさっぱりです」
まじか……
「ま、残留魔法かもしれないから魔術師に色々と見てもらわないといけないね」
「……はい」
それからは、メモ帳にまとめてから、薬の実験や、魔法石の試験やら、色々とこなしてから寝る。
ま、四十代ってのは秘密だね。それと、剣士君が姫様を振ったのも。
……城内は、その話題で持ち越しだよ。
よく来れるな……これぞ、鋼メンタルってやつか。
「ロルフに何をやってるんだ?」
通りすがりの騎士団長に、突然聞かれた。
「あの洞窟で眠った時の、効果を調べてるんです。悪い事はしませんから」
「ロルフが眠ってた洞窟か……まぁ、その言葉を信じる」
「ありがとうございます」
そう言って私は、騎士団長と反対方向へ進んだ。
数日後。
私は、例の洞窟まで来ていた。
中へ入ると可憐に光る魔法石や、剣士君が寝てたであろうボロボロで血まみれの毛布を見つけた。
「これは……」
私がそう言って毛布の中から見つけたのは、両手揃っているグローブだった。
完全に女性用では無い大きさで、無数の傷があって、血もこびりついて、色あせていた。
多分、この魔法石は生物限定だから、強い力を発してるのか……
こんなに質のいい魔法石がこれをここまでにするのは、何百年かかかるだろう。
それに、この刺繍って、繊細だし……いや、別に、剣士君がガサツって言いたい訳じゃないけど、興味無いイメージが強すぎて……
でも、剣士君って手袋着けてたっけ?
……裏がある気がしてきた。というか、姫様はどこからそんな情報を……
もしかしたら、これは、四百年前の大戦争で……いや、あり得る。
それに、これは、生物だけではなく、物も……そうじゃないと、十五年も寝ない……
私は、丁寧に毛布と手袋を回収してから、ここを出た。
少しすると、何かが掘られている石が置いてあるのを見つけた。
おや、これは……いや、まだ確実じゃ無いから、口に出すもんじゃない。
私は、地図にメモをしながら王城の研究室まで帰った
コメント
1件
第73話、読み終わりました!ロルフが生きてるって分かった瞬間の「良かった」にすごく安堵しました…。それでいて実家に戻った後の静けさとか、ハンナさんの調査で浮かび上がってきた手袋や洞窟の謎、伏線がじわじわ効いてきてる感じがたまらないですね。400年前の大戦争と今がどう繋がるのか、次が気になりすぎます!