智Side
「やっほー!今夜からよろしく♪」
「智君!?」
開いた扉の隙間から笑顔で声を掛けると‥案の定、驚いた顔の祐希がこちらを凝視していた。
「どうしたの?荷物なんて持って‥あっ、藍の荷物が無かったけどまさか‥」
「流石だな祐希!正解♡部屋入るよ!」
説明しなくてもいいかと素早く室内に入り、空いているベッドの上にダイブ。うーん、気持ちいい。
「‥智君、藍と変わったんだ‥」
「そっ!理由は聞いてないけど‥大方喧嘩かなんかだろ?珍しいな、お前たちが喧嘩するって」
「喧嘩って‥。それじゃあ、藍は太志の部屋に?」
「そっ!ねっ、それより‥なんで喧嘩したんだよ?教えて♡」
「そんな楽しそうな顔してる智君には教えない‥」
ちぇっ、祐希のケチ!とわざとらしく拗ねてみせるが‥藍の事が気になるんだろう。そのまま、突っ立ったまま動く気配がない。俺の事も見てねぇし。
「なに?そんなに藍が気になる?」
「そ‥んなわけ‥じゃないけど‥」
「どっちが悪いとかわかんないけど‥もう祐希から謝れば?藍からは折れないと思うぞ」
「ぐっ‥確かに‥あっ、いや‥だけど‥」
「はぁ‥お前らの喧嘩って長引きそうだな‥どっちも折れなさそうだし‥俺と小川なんてKiss1つで、すぐ仲直りするんだけど」
「智君達って単純だから‥」
「おいっ!」
聞き捨てならないセリフについ反応してしまう。藍の方がよっぽど単純だと思うぞ。俺は。
祐希の事でいつも一喜一憂している姿を間近で見ているから‥。
「でも、ほんと早く仲直りしたほうがいいのは確かだな。こういうのって長引けばこじれる一方だぞ‥って聞いてないか‥」
ベッドの周りを右往左往する姿を半ば呆れて見つめる。この姿を藍が見たらすぐに解決しそうなものを‥。まぁ、原因が分からないから何とも言えないが‥。そのうち元のさやに収まるだろう‥きっと‥。
太志Side
「で?そろそろ話してくれるよな?喧嘩の理由‥」
ベッドに寝転がる藍に聞いてみる。これを聞かないことには対処の仕様がないのだから。本人に直接聞くしかない。
「祐希さんには聞きました?」
「えっ?祐希?いや‥聞いたけど話してくれんかった」
「そっか‥‥‥実は、ここに来て最初の日の夜に小川さん達が遊びに来たんすよ。何人かで‥」
「ああ、この部屋でゲームしたり遊んでたんだろ?」
「そう‥そんな俺たちを見ながら祐希さんも最初は笑ってたんやけど‥途中で何故か王様ゲームすることになって‥」
「お前ら、王様ゲームなんかやってんの!?」
「まぁまぁ面白いんすよ。んで、バカなお題出して盛り上がってたんすけど‥そのうち、ほら、やっぱり下ネタとかになるじゃん?
それで‥〇番と〇番が30秒Kissな!とか‥そして、そういうお題の時に限って俺が当てられたりして‥」
「えっ?まさか、それでやったの?お前?」
「盛り上がってるのに断れるわけないじゃないっすか!」
「‥祐希の前で?」
「小川さんは俺等の関係知ってるけど、他の奴らは知らんし‥でも、小川さんが一番楽しそうでしたよ?舌入れろ!とかヤジ飛ばしてたし‥」
「はぁ‥アイツは‥」
なるほど。多分それで祐希は怒ってるんだな‥いや、というか嫉妬だな‥。
「でも、Kiss1つでアイツも怒らなくても良さそうだけどな‥」
「‥いや‥それが‥どんどんエスカレートしちゃって‥耳を舐めるとか、鎖骨を舐めるとか‥」
「‥もうそれはアレだな‥舐めるゲームになってんな‥」
「提案者は小川さんっすけど‥」
「逆にアイツに拍手送りたいわ!怖い物知らず過ぎて」
「んで、やってみたら皆盛り上がるから俺も調子乗っちゃって‥」
「‥お題以上の事をしたんだな?」
「‥すんません‥でも!ゲームやし、皆もおるからエエかなって思ってたら‥それから祐希さんの機嫌悪くなってて‥」
「なるほど‥。嫉妬深いからな、祐希って。ん?ちょい待って!それだと祐希が怒ってるのは分かる。要は嫉妬してたって事だし‥。じゃあ、お前は?お前はなんで怒ってんの?」
朝の様子だと、藍も機嫌が悪かった。理由は他にもあるはずだ。
「‥あんま言いたくないけど‥太志さん、話聞いてくれます?」
そう呟くと急に下を向きモジモジし始める。
「ここまで聞いたんだ、最後まで聞くに決まってんじゃん。俺で良かったら相談乗るし!」
「ほんまっすか!それなら早速‥」
相談という言葉でガバッと顔を上げた藍の表情はキラキラとしていた。なんだ‥こんなに頼られるのも悪くはないな。妙に顔がニヤニヤしてしまう。
しかし‥
そう思ったのも束の間‥
次の藍の行動で‥
俺はとんでもない事に巻き込まれてしまう‥
智Side
「ん‥暇だな。ねぇ、祐希!藍のところ行かない?」
「‥行かない」
「やっぱ行かないか‥今日も小川たちが遊びに行ってるかもしれないからなぁ‥藍が部屋変わったの教えてるし‥」
「‥小川、また会いに行ってるの?」
「あっ、昨日も来てたんだろ?いいよな、俺だけ呼ばれてねぇし。なんか、王様ゲームが面白かったとか話してたから‥俺も混ぜてもらおうかな‥」
そうと決まればと小川に連絡するが、既読はまだつかない。
「ありゃ、つかないな。まぁ行けば案外、集まってるかもしれないし‥」
じゃあ、行ってくると祐希に伝えようと振り向くと‥俺より先にドアの方へと向かっている。
「行かないんじゃなかったっけ?」
「(こそっ)王様ゲームするなら話は別‥」
「はっ?なんか言った?」
「ううん、別に‥」
妙にブツブツ呟いて‥変な奴と思うが、祐希も来るならきっと面白いことになりそうだと内心ほくそ笑んでしまう。
ほら、行くぞと言うと神妙な顔してついて来るんだもんな‥うちのキャプテンは。くすくす‥藍にも見せてやりたい。
部屋の前に到着し、ノックしようと思ったが‥
カードキーをそのまま自分が持っている事に気付く。
ならばと、ここはサプライズでこっそり入って驚かせてみようかと思いついた。
鍵も開き、ソロリと中へと侵入開始。どうやら藍達は気付いていないようだ‥。チラリと祐希を見ると、黙ったまま俺の後をついてくるじゃん。よしよし。
そのまま進むと‥部屋の静けさからして、小川達は来ていないようだった。
それならばと2人を確認して‥驚かせてやろうと思い部屋の中を覗いた‥
しかし‥‥‥‥
えっ‥‥‥‥‥、
ど‥どうしよう‥‥‥。
「(こそっ)智君?どうしたの?」
「(こそっ)あ‥‥い‥‥いや、祐希‥やっぱ‥帰ろう‥」
「(こそっ)えっ?なに?智君?藍達いるんでしょ?」
踵を返し帰ろうとする俺の手を振り払い、祐希も部屋の中を覗き込む。
「(こそっ)あっ、見ない方が‥」
そう言った時には‥もう手遅れだった。
「‥‥‥えっ‥‥‥‥‥」
覗き込む祐希が絶句する‥。
それもそうだ‥
誰が想像出来るだろうか‥
覗いた先に‥
藍が太志の眼前で下半身を露出しているなんて‥。
後ろ向きになっている藍の背中で太志の表情は見えないが‥
スラリと伸びた白い足と臀部が妙に艶めかしく視界に入る‥
そして‥
俺の横で絶句し言葉も出ない祐希の横顔が青ざめる‥
だから見ないほうがいいって言ったのにと小声でボソリ‥
とは言っても後の祭りである事に変わりはないが‥
コメント
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コメント失礼します☺️ 今回のお話も良かったです♪リベロ組がすごいし2人の喧嘩の内容がわかって次からのお話が楽しみになりました!祐希さんと藍くん早く仲良くなるといいですね♪最後の藍くんと太志さんが気になってしまいました☺️ゆうらんさんのお話は本当に最高すぎます!これからも頑張ってください❤️ 応援してます📣