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私の名前は有栖川(ありすがわ)
鈴音(すずね)。
高校一年生になったばかりの16歳。
私の通う学校には「白雪姫症候群」という病気がある。その病気とは、ある一定の年齢になると発症するもので、見た目や性格など全てが美しくなり、どんな男性でも虜になってしまうというものらしい。
ただ、これはあくまで噂であって、実際に発症した人の話は聞いたことがない。
そのため、私はこの病気を信じていなかったのだ。
しかし、それは突然起こった。
入学式が終わり、新しいクラスへ向かう途中のことだった。
「キャッ!」
誰かとぶつかった衝撃で、私は尻餅をつく。
「いたた……、もうっ、こんなところで寝てたら風邪ひいちゃいますよ!」
声と共に身体が揺すられ意識を取り戻すと、目の前には小さな女の子がいた。
綺麗な白髪の少女だ。まだあどけない顔つきをしているが、将来は美人になりそうな可愛らしさがある。
白いワンピース姿に麦わら帽子を被っており、どこかのお嬢様のような出で立ちだった。
「お兄さん、大丈夫ですか?」
「……」
ぼんやりとした頭のまま辺りを見回すと、俺は草原の上で横になっていたらしい。空から差し込む陽光が眩しい。
しかしここはどこだろう。見たこともない景色だ。少なくとも日本ではない気がする。
「あのー、もしもーし」
「うわぁ!?」
俺の顔の前で手が振られたことで我に返ると、すぐ傍にいた少女が少し困ったような顔をしていた。
「急に大きな声出さないでくださいよぉ。びっくりしました」
「あっ、ごめんね。ちょっとぼぅっとしていて……」
「それはいいんですけど、具合でも悪いんですか? なんだかさっきまでずっと眠っていたみたいですし」
「さっきから何回も言ってるけど……本当に何もないんだってば!」
僕の名前は佐藤健斗(さとうけんと)。
どこにでも居る普通の高校生だ。
普通じゃないところがあるとすれば、それは僕の目の前にいる女の子のことだろう。
「嘘だね! じゃあなんであたしのベッドの下にこんなものが落ちてたんだよ!?」
そう言いながら彼女が見せてきたものは、いわゆるエロ本だった。しかも表紙には裸体の女性が写っているやつ。
「そ、それを見つけた時どんな気持ちになったと思う?」
「だから何度も謝ったじゃんか。ほんとに悪かったって」
僕は今にも泣き出しそうな彼女の顔を見て胸が痛くなった。
「悪いと思ってんならこれ持って帰ってくれよぉ〜」
「分かった、ちゃんと返すって」
「絶対だぞ」