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翔太 side
康二のマンションを文字通り逃げるようにして出ると、まだ朝8時だと言うのに外は茹だるような暑さだった。何処に行きようもなく近くの喫茶店に入った。亮平に連絡できずにすがるような思いで佐久間からのメールに返信してしまった。
翔太📩『佐久間…今から会える?』
30分もせずに喫茶店に現れた佐久間は机に突っ伏した俺の頭を鷲掴みするとクシャクシャッと乱暴に撫でた。涙が溢れて顔が上げられないでいると〝呼び出しといてなあに?〟今までの声色と違う優しい声に思わず顔を上げると、柔らかい笑顔で〝お前いつも泣いてんな〟と言って今度は優しく頭を撫でた。
抑えていた涙も声も止められず人目も憚らずに大泣きした。慌てた佐久間は俺の隣に移動してきて、肩を抱き上げ背中を摩ると〝何あったか知らねぇけど、うるせぇよ〟言葉とは裏腹に優しく撫でる佐久間に身体を預けると泣き止むまで背中を撫でてくれた。
翔太💙『ごめんなさい…』
大介🩷『謝るのは俺の方。ごめんな翔太今まで酷い事した。マジで反省してる』
翔太💙『佐久間…生番組のストレス感じてるんだろ?嫌なら俺事務所に言おうか?』
佐久間は驚いた顔をしている〝やっぱお前は俺の事よく分かってるね…ありがと翔太。でも大丈夫楽しいよ時々しんどいだけ〟そう言ってまた、俺の頭を撫でた。
大介🩷『でお前は?どうした?亮平と喧嘩でもしたのか』
翔太💙『亮平のとこ帰れなくなった…』
大介🩷『ふふ…方向わかんなくなったのか?家まで送ろうか?』
翔太💙『合わす顔がない』
〝お前何やったんだよ〟笑いながら今度は乱暴に頭をぐしゃぐしゃにされた〝うち来るか?〟そう言われて顔を横に振った。また涙が溢れる。
翔太💙『何処にも行くとこ無くなった…遠くに行きたい….消えちゃいたい』
大介🩷『分かった。ほら立て行くぞ』
そう言って無理やり俺の腕を掴むと、道路に停めた佐久間の車に押し込まれた。
翔太💙『どっ何処行くの?』
大介🩷『知らねぇ遠く…だろっ?』
サングラスをかけた佐久間を横目に見ながら、首都高を走らせ江戸川にある臨海公園に着いた。
大介🩷『江戸川区民御用達の絶景と言えばここだろっ?朝はもっと綺麗だけど。立ってないで座れよ』
翔太💙『急に優しくって怖い…それに遠くじゃない』
〝相変わらず正直だねぇ〜我慢しろっ近くて遠い場所だ意外と来ねぇだろっ?〟そう言って隣に座った俺の肩を小突いた。
大介🩷『…俺も怖い』
翔太💙『何で?』
大介🩷『マジで好きになったって言ったら? 』
翔太💙『誰を?』
大介🩷『君を』
翔太💙『誰が?』
大介🩷『俺が』
大介 side
翔太は目をまんまるくすると信じられないと言った顔をしてる〝人生って思うようにいかない事ばかりだよな〟思ったことをそのまま口に出した。翔太からは〝らしくない〟と返ってくる。何だよらしくないって…
翔太💙『佐久間はさっ….なんか風みたいだ。時には優しく時には荒々しく、急に現れて去ってく。常に自分の意思や感情で動いて本能で楽しいを求めてる。そんなお前に惹かれてた』
大介🩷『何?まだ好きなの俺のこと?脈あり?』
翔太💙『バカじゃねぇの////俺はリョウヘ….何でもない』
俺を呼びつけた割には自分の事は何も語らず泣いてばかりだ。コイツは俺といるといつも泣いてるな。俺以外の誰かの事で泣いているのは初めて見る〝帰るぞ〟そう言って手を差し伸べると〝いい俺はココに残るから….ごめんね一人で帰って〟そう言って縮こまり、膝を抱えて体育座りしてチョコンと佇んでいる。
大介🩷『バカ置いてけないだろ?』
翔太💙『放っておけ。立派な大人だ一人で帰れる。佐久間仕事だろ….』
大介🩷『じゃっ今日は休む』
翔太はまた泣きそうな顔をして〝バカ行けよ〟そう言って俺の肩を弱弱しく殴った〝弱っ優しさが溢れてるんよ翔太くん〟どの言葉が翔太のスイッチを押したのかまた泣いてる。
大介🩷『いい加減に話せよ?いやなら亮平の家まで届けるぞ』
翔太💙『ひどい…..』
鼻水を啜りながら漸く何があったかを話し始めた翔太はしきりに自分を責めている。〝翔太は優し子。絶対に人を責めたりしない〟亮平が言っていた事を思い出していた。
翔太💙『俺がお酒なんて飲むから….二人きりで会ったりしたから…..亮平を傷つけた』
まぁその通りだなと思う。でも康二が翔太のことを〝好き〟だなんて想像できていなかっただろう。分かっていたら二人きりでは会ってないだろうと思う。まぁ翔太以外は気づいてるだろう、康二の気持ちなんてダダ漏れもいいところだ。
大介🩷『じゃぁ康二の家まで送ればイイ?』
翔太💙『なんでそうなるんだよ?俺の話聞いてたか?』
大介🩷『アレも嫌コレも嫌…子供じゃねんだ駄々こねるなよ!亮平の家まで送ってやるからちゃんと話せ。あいつは受け入れてくれるんじゃねぇの?嫌われたら俺が拾ってやるよ』
翔太💙『怖い』
大介🩷『分かんねぇな!好きだと正直になるのが怖い?嫌われるから?お前こそ〝らしくねぇ〟』
また泣いてら…イライラするな。何で俺がコイツの恋路を応援してんだよ…好きになるってこう言うことか?
大介🩷『翔太の笑顔が見てえ////泣いてばかりいるなよ!今のお前には亮平が必要なんじゃねえの?』
翔太💙『でも康二のこと聞いたら…』
大介🩷『ウジウジ言ってんなよ!覚えてないならゼロだ。それで良いだろ?』
翔太は涙も鼻水も一緒くたになったまま俺の胸に顔を埋めて拭いている〝おまっふざけんなよ汚れるだろっ〟犬が水を弾くようにブルブルと胸に擦り寄ると〝好きな人の体液だ有難く受け取れ〟自分でも余程恥ずかしいことを言った自覚があるのだろう顔を赤らめている。
大介🩷『お前がそんな変態だとは知らなかった』
ゴチャゴチャ騒ぐかわいい子犬を車に押し込むと亮平のマンションへと向かった。〝ねぇ時々また連れてって〟嫌な事があったらよく一人で行くあの公園に誰かと行ったのは初めてだった〝お姫様のご要望とあればいつでも….〟肩を窄めて照れ笑いをする翔太をすぐにでも押し倒したい….車内では何て事ない昔話に、花が咲いた。目的地に近づくにつれ口数が少なくなった翔太は顔色が真っ青だ〝着いたぞ…怒られて来いよ〟隣を見るとまだウジウジしてる。マンションの駐車場に停めると〝はあっ〟と短いため息を吐き、助手席の座席を後ろに倒し唇を奪った。足をバタつかせているがお腹を撫で胸の突起目掛けて手を上昇させ、片方の手で下半身を撫でると大人しくなった。
翔太💙『ンンンっ///やめて…』
大介🩷『嫌なら抵抗しろよ?選べよこのまま俺に抱かれるか、車を降りて亮平に抱かれるか』
首筋に舌を這わすと鎖骨に残るキスマークが目に飛び込んできた…康二の野郎俺のモンに印つけてんなよ。反対側の鎖骨に吸い付くと、また足をバタつかせて腕で俺の肩を押している〝力弱っ〟離れ側に翔太の頭を優しく撫でおでこにキスをする。
大介🩷『覚えておけ、俺はどんなお前でも受け入れる。亮平に捨てられたら俺んとこ戻って来い。今度はちゃんとお前の事正面から愛したい』
翔太の頰に伝う涙を拭う〝どんだけ泣き虫なんだよ〟鼻で笑うと〝うるさい///〟と可愛らしく睨んだ翔太は全く怖くない。シートベルトを外して座席を起こした〝怒られて来な〟そう言って翔太の背中を叩いた。翔太は何度も俺の車を振り返り俺は、小さく遠ざかっていく翔太を見えなくなるまで見届けた〝頑張れ翔太〟心の中でエールを送る。柄にもない事してる…〝ふっ〟と鼻で笑うと車を走らせ仕事へと向かった。不思議といつものイライラが消え心が軽くなった気がした・・・
コメント
16件
さっくんも優しいところあるんだな
阿部ちゃん💚受け止めてくれるかなあ。てか、舘様❤️に電話すればいいのに…