半ば投げ飛ばすようにどぬくさんをベッドにつき倒して馬乗りになり身動きが取れないように身体を押さえつけた。思いっきり眉を吊り上げたどぬくさんの右ストレートが俺の頬を掠めて、チリチリとした痛みを残していく。もう一度お見舞いされる前にその物騒な両手を掴んで力一杯ベッドに縫いつけた。相手はあのフィジカルつよつよどぬくさん、手加減なんかしてらんない。
「っにすんだよ!!」
「こっちこそ殴られて痛いんですが?痣になったらじゃっぴ達にどう説明するつもり?」
「はっ、知ったこっちゃないですけど?」
憎ったらしい笑顔で挑発する男の唇を塞ぐと、上手く息ができないのか足をバタバタと暴れさせだした。一度唇を解放して、どぬくさんが口を開いて空気を取り込もうとする頃合いを見計らって再び唇を奪って深く深く口付けた。十分な酸素を取り込めなかったのかどぬくさんの力が弱まったのを良いことに俺は無理やり彼の服を脱がせてうつ伏せにさせる。滑らかな背中は酸欠と怒りの為か赤く染まり、忙しなく上下していた。
『美味そう、食いたいな』
脳裏にその言葉が浮かんで俺は無意識のうちに彼の肩口に歯を立てた。少しずつ肉に食い込ませてやると、どぬくさんが息を呑む音が聞こえた。
「ーーーーーっ」
そのうちプツ、と皮を突き破る感触がして自分とは違う血の味が舌に広がってくる。その味に満足して一度口を離して傷跡を眺め俺はにんまりと笑った。血が滲む傷跡はまるで彼は俺の所有物だと示しているようで気分がいい。
「良い眺め。美味そうだねどぬ?」
どぬくさんの瞳孔が細く形を変えたのを合図に俺は彼に覆い被さった。
「っふ、う、う…っ」
「ねぇ声きかせてよ、いつもみたいにさぁ」
「ん、う、…っ!」
俺の言葉を無視し、どぬくさんは枕に顔を埋めてただただ俺から与えられている律動をやり過ごそうとしているみたいだ。性急に繋がったため、どぬくさんの呻き声には色が乗っていない、当たり前だ。俺のせいか、そりゃあそうだ。2人の汗が交じってそのままシーツに滑り落ちるのを数えるのももう飽きたし、どぬくさんの顔が見たい。繋がったまま彼の身体をぐるりと反転させると涙でふやけてしまいそうな瞳と目が合った。どぬくさんが顔を顰めると表面張力で何とか瞳に張りついていた涙が溢れ落ちそうになる。
『勿体無いな、こんなに綺麗なのに』
思わず慰めるように目尻に浮かんだ涙を舐めとってそのままそっと唇を重ねると、どぬくさんがふ、と笑った音がした。唇を離すと、どぬくさんが弱々しい手つきで俺の頬を撫でた。
「もふくんはばかだなぁ、せっかくおれのほうから放してあげようとおもったのに」
「………頼んでねんだよそんなこと……っ」
俺の震える情けない声にいよいよどぬくさんは泣き笑いのような顔で笑って俺の肩口に思い切り噛みついた。
コメント
11件
ほのぼのかと思いきやまさかの…!? えーっと…好きです( ˙-˙ )
癖にぶっ刺さった…ありがとうございます
お、ケンカ?!mfくんドS全開?!dnさんの強強交戦的な感じめっちゃ好き! と、ドキドキ読み進めてましたが… そっか、お互い思い合っての行動だったんですね、なんか切ない…!