「俺好きなんだよなヒロくんのこと」
あ、ラブのほうね、と続けられた言葉にぎょっとしてパフェを食べる手を止めてしまった。衝撃の告白してきた本人の顔をまじまじと見たけど、こっちを見向きもせずに平然とハンバーガーに食らいついている。さすがイケメン口端に付いたソースを舐めとる仕草も決まっている。あーこれはまた揶揄われたな俺。いつも簡単に引っかかってお手軽にお約束みたいな反応、THE普通ってネットで言われてるのを知っている。1人勝手に地味に傷ついてやけくそになって、溶けかけているアイスクリームを掬って口に放り込んだ。とろりと甘い。もう一度口に運ぼうとしたその時コツンと靴を軽く蹴られた。もちろん目の前のイケメンの仕業。
「ねぇ、俺今告白してるんだが?」
「………えっ?」
「………えっ?じゃねーよ!何なんだヒロくんのその反応、結構傷つくんですが」
「いやいや…嘘でしょ、今までそんな素振り見せなかったじゃん。」
そう言うと、うりはあーハイハイハイと納得したように言ってこちらを見て腕組みした。規格外のイケメンにじっと見つめられて居心地が悪い。念願だったパフェももう食べる気分になれなくなってしまった、くそー。心の中でごちそうさま、と呟いてから渋々スプーンを置いてうりと真っ直ぐ向き合う。
「最近付き合いだした奴らがさ」
「…ああー、もふくんとどぬくさんね」
「…あいつら側から見てるとイライラするぐらい分かりやすいのに付き合うまで長かったよな」
「イライラって…まぁ分かる」
そう、メンバー皆イライラしてた。頭良くたって恋愛では全然役に立たないんだって初めて知ったよ俺は。たっつんがキレ気味に「もうアカン、俺が言ってくるわ!」とか言い出した時は皆で必死に止めたっけ。じゃっぴが2人を眺めながら「あと3年はかかるか…?」と呟いててゾッとしたのを覚えている。いやあ、無事にくっついて本当に良かった。思い出に浸って笑っていると、なぁ食わねえのソレとうりがパフェを指差したから、スプーンごと寄越して、俺はカフェオレに口をつけた。
「やった、ヒロくんと間接キス」
「⁉︎ゴホッ」
「うわ、汚な」
「うりが変なこと言うからだろ⁉︎今までもこの程度のことしょっちゅうあったのに今更何で言うんだよ…」
「何で?そりゃあいつらが晴れてお付き合いして、次は俺の番だって思ったからに決まってるだろ。俺のこと君を狙ってる危険な男だとせいぜい意識してくれ」
うりはにやりと笑って見せつけるようにパフェをひと掬いして口に運んだ。コーンフレークが砕ける咀嚼音がやけに響く。カフェオレの味はもう分からなくなってしまった。
コメント
4件
うわー!めっちゃ好きです!!この2人のこんな感じ、私もすごい好きです!!
🎸🐑までいいんですか!?もうぶっ刺さりまくりで私黒ひげ危機一髪みたいになってます。