放課後、中庭のベンチになぜか一人の生徒とDが並んで座っていた。練習後の静かな空気の中、生徒はDに問いかける。
「……先生って、告白したことありますか??」
「あるけど??てか、いきなりどうしたの??」
「……実は今、好きな人がいて。でも、その人が結構クールっていうか……いつも真面目で、表情あんまり変わんなくて……」
Dの頭の中では、「……あれ、それって」と、ある人物の顔が浮かぶ。
「たぶん迷惑だと思うんですけど…でも諦めたくなくて……どうしたらいいですか??」
(これ、めっちゃWみたいじゃん……!)
生徒の話を聞きながら、Dの頭の中では“W先生に初めて告るシミュレーション”が流れまくる。
(……いや、俺も最初ぜんっっっぜん伝わんなかったし。あいつ顔には出ないし、でもちゃんと想ってくれてて……うわ、俺アドバイスできんのかこれ?)
Dが珍しく言葉に詰まり、しばらく黙ってしまったそのとき――
「おい、D。こんなとこで何してんだ」
プリントを持って、偶然通りかかったらしいWが現れる。
生徒 「あ、W先生……ちょっと、恋愛相談を……」
W 「は??こいつに??」
D 「ちょ、言い方!俺だって一応、彼氏いるし!」
W 「“一応”って何だよ……」
DはWに目で「助けて!」と訴える。Wは小さくため息をついて、生徒のほうへ向き直った。
W 「……“好き”って気持ちがあるなら、ちゃんと伝えろ。言わねぇまま後悔するより、伝えてぶつかってそっからどうなるかの方が大事だろ」
生徒 「……でも、怖くて……」
W 「怖くても逃げんな。お前がその人を“本気で好き”なら――迷惑とか思わねぇよ」
Wの力強い言葉に、生徒は驚いた顔で彼を見てそれからゆっくりと頷いた。その真剣な眼差しに、生徒の表情も変わる。
生徒 「……なんかちょっと勇気出ました!!ありがとうございます!!」
そう言って走って帰っていく生徒の背を見送りながら、Dがぼそっと言う。
「……やっぱり、W先生かっこいいなぁ。そりゃ俺も惚れるわけだ」
W 「生徒の前でそういうこと言うな、バカ」
「でも、“好きなら伝えろ”って言葉、俺にも刺さったかも」
W 「……お前、もう伝えてるだろ」
DはWの顔を真っ直ぐに見つめ、いたずらっぽく微笑む。
「でも今日も言いたくなった……W先生、好きだよ」
W 「……バカがッ///」
そう言いながらもWの耳が、ほんの少し赤く染まっていたのは、Dには見えていた。夕暮れの光が二人を包み込み、体育館裏には穏やかな時間が流れていた。
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