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部長と私の秘め事

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部長と私の秘め事

632 - 第632話 しっかりケリ、スッキリ次

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2025年08月19日

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アラームの音がして目を覚ますと、寝室のクローゼット前では、尊さんがもう着替えていた。


「おはよ。会社行けそうか?」


「ん……、はい……。寝起きにミコ」


私は目を擦って「ふわーっ」と伸びをしながら大きな欠伸をすると、モソモソと起き始めた。






旅行中、町田さんがおかずを作ってくれたので、私たちはそれをお供に白米を食べていく。


「やっぱり朝はお米ですよね」


「米は大事。ふるさと納税で届けてもらうようにしてる」


「さすミコ」


いつも通りの会話をしながらご飯を食べていたけれど、尊さんがやにわに話題を変える。


「ちょっと飯の最中に適してない話をするけど、総務部の人いただろ? ……朱里を悪く言ってた」


「あ……、はい」


私はちょっとの気まずさを覚えて頷く。


「彼女たちに処分が下る事になったから、一応伝えておこうと思って」


「あぁ……」


そういえばお手洗いで色々言われたなぁ……、と今になって思い出す。


確かに嫌な出来事ではあったけれど、色々あってすっかり忘れていた。


秘書になったあと、普段いるフロアも変わったし、お手洗いに行っても遭遇しなくなったもんな。


「呼び出して話を聞いたりしたんですか?」


「まぁな」


「どういう……、処分ですか?」


「んー、三人ともバラけて子会社に島流しだな。厳しい処分を……と思えば辞めさせる事も可能だが、泣いて縋られて、とりあえずそういう形に。子会社でもしっかりした上司のいる部署に配属させて、見張ってもらうつもりだ」


「……分かりました」


「今、七月二十二日か。盆休みを挟んで異動になるから、まぁそれで溜飲を下げてくれ」


「はい」


「それで、今日彼女たちを集めて、朱里に謝罪させたいと思ってるんだけど……、大丈夫か? それじゃないとけじめがつかない気がするんだ」


「……そうですね。あまり気が進みませんが、それで終わりになるなら」


「約束する」


尊さんは立ちあがって私の肩をポンポンと叩き、小さく笑う。


「嫌な役をさせるな。今夜、焼き肉でも食うか。それで手を打ってくれ」


「はい!」


決して食べ物につられた訳じゃないけど、尊さんは私のために動いてくれた。


彼女たちのした事は大人、社会人として度を超しているし、学生の頃なら嫌がらせ程度で済んでいた事でも、社会に出たあとは訴えられてもおかしくない事になる。


自分たちは悪い事をしたと自覚してもらい、もう二度と同じ事を繰り返さないようにしてもらえるなら、多少嫌な思いをしてでもケリをつけなければ。


「あと、第二秘書について、こっちも急だけど昼休み前に面接を受ける事になった。同席してもらえるか?」


「はい」


こっちは純粋に仕事で、私の相棒にもなる相手を決める訳だから、きちんと望まないと。


そんな感じで、私たちは食事を終えたあと出社する支度をした。






車の中で私は恵におはようメッセージを送っていた。


総務部の人たち、第二秘書の事を話したら、こう返事があった。


【しっかりケリつけて、スッキリ次にいきな。そんで美味い焼き肉でビクトリー!】


クスッと笑った私は、尊さんに尋ねる。


「ねぇ、尊さん。今夜の焼き肉、恵も一緒だったら駄目ですか?」


「ん? いいけど。奢っちゃる」


「やったー! ありがとうございます!」


喜んだ私は、恵にトトト……とメッセージを打つ。


【恵も焼き肉行かない? 尊さんの奢り】


【ラッキー! 待ってろタン塩!】


【仕事終わったら、地下駐車場に集合ね】


【ラジャ!】


私は目の前に人参……、もとい焼き肉をぶら下げて俄然やる気を出した。




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