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⚠︎雰囲気有⚠︎
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コイツは僕のことを覚えていない。だが、僕はコイツのことを覚えている。僕は存在自体を消した。だがコイツが言ったことは矛盾していた_。
タル「…君と何処かで会ったことがある気がする。 」
放「は??」
思わず口走ってしまった。これだと、本当に会ったことがあるとバレてしまいそうだ。
タル「おや?その反応はどういう意味だい?」
放「…別になんでもないさ。」
タル「何かありそうな雰囲気を出してるね………。」
コイツは本当にめんどくさい男だ。執行官の時だってそうだった。
執行官の時。
僕は散兵・スカラマシュだ。単刀直入に言うと苦手な奴がいる。苦手と言ってもほぼ執行官全員なのだが。
タル「やぁ、散兵っ!」
スカ「…何の用だ。手短に言え。」
タル「はぁ、君は相変わらず厳しいねー…。」
彼を睨みつけると彼は後ずさりした。手短に済ませるには時間が必要みたいだ。
タル「俺と戦わない?」
スカ「はぁ??君を構っている時間はないのだが。」
この時の僕はスメールで”偽りの神”を創造する計画を立てていた頃だった。創造する前に一回、スネージナヤに戻っていた。
タル「そう言わずにさ、一分で済ますから…!」
そう言うなら一秒で終わらせてやる。目を見開き剣を持ち、構える。
タル「……っ!!」
スカ「いーちっ!!!」
剣を投げた。その剣はコイツをすり抜けて壁に刺さった。
タル「…これは予想外だったよ。君はやっぱり強いんだね。」
スカ「僕はさっさとスメールに行く。これで満足しただろ。」
そして僕はスネージナヤパレスを出て、スメールに向かった。
本当にめんどくさい男だ。
僕が執行官の時、何故こんなめんどくさい遊びをやっていたのだろうか。
タル「…ん?どうかしたのかい?」
放「…なんでもないよ。」
タル「それで、君と会ったことがあるような気がするんだけど…。なんでだろうね。」
確かに僕は実際に会ったことがあるから、その記憶がある。僕の存在を消した時点で、もうコイツは僕のことを思い出すことは出来ない。…はずだ。だが何故思い出せそうなのだろうか。
放「…本当に、会ったことがあるのかい?」
タル「ん?ああ、そんな気がするんだ。」
放「僕は会ったことがないけど…?」
本当のことを言うのには抵抗があった。自分の意思で存在を消したのに、自分の口から言うのはおかしいと思ってしまったからだ。
タル「…そうかい?まあ、この話は終わりにしよう。…あ、フォンテーヌが見えてきた!」
放「はぁ、本当能天気だね。君は」
タル「ん?俺はいつでも戦闘の準備は出来るよ?」
なんだコイツ。どれだけ戦闘が好きなんだ。僕と戦った時もすごく楽しそうにしていたし。他の奴よりはマシだが、コイツも”闇”の部分があるのか。
放「……フォンテーヌが見えたなら、僕は帰っていいかい?」
タル「ええ…?」
なんだその嫌そうな顔は。僕はさっさと帰りたいのだが。
放「…言っているだろう。僕は暇じゃないんだ。」
タル「…本当に行く気はないのかい?」
放「………………」
正直迷っている。僕はコイツのことは好きではない。が、何故か放っておけない気がする。しょうがない、こうしよう。
放「行かない。それが僕の答えだ。」
タル「………そうかい。それじゃあ俺だけで行ってくるよ。」
放「……本当に僕のことを覚えていないのかい?」
小さく呟いた。奴が振り返った。
タル「………?何か言ったかい?」
放「……いや、何も言ってないさ。」
タル「そう?それじゃあ、また何処かで!」
放「……………。ああ。」
少し寂しい気がした。そんな心は鍵をかけて閉めよう。そんなモノはいらない。
_僕には心が無いのだから。
その後、奴と会うことは生涯なかった。
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第四話・終
END1「後悔」
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