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えろたろう
あ
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はるか
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その夜、俺たちは五人でいた。
いつもと変わらない夜だった。
くだらないことで笑って、誰かが話を脱線させて、別の誰かがそれに文句を言う。結局、全員が笑ってしまって、何を話していたのか分からなくなる。
ずっと、こんな日が続くと思っていた。
明日も、その次の日も。 季節が変わっても、歳を重ねても。 五人でいられることが、当たり前なんだと思っていた。
「なあ」
隣に座っていた俺たちを引っ張って来てくれた最年長が、ふいに口を開いた。
「俺たちさ、来世でも会えるかな」
誰かが笑った。
「何それ。急にどうしたの」
「だって、せっかくここまで仲良くなったんだからさ」
「来世とか信じてるの?」
「信じる信じないじゃなくて、会いたいかどうかだろ」
そう言って、彼は笑った。 その顔を見て、胸の奥が痛くなった。 俺は笑えなかった。
来世でも。
その言葉だけが、頭の中に残った。
「……会えるよ」
自分でも驚くくらい、自然に声が出た。
「絶対?」
「絶対」
「じゃあ、また五人な」
「うん」
四人が笑う。
俺も笑った。 笑わなければいけないと思った。
この時間を壊したくなかった。 だから、何も言わなかった。
本当は、もう分かっていたから。 この夜が最後になることも。 明日には、この五人がもう同じ形ではいられないことも。 俺だけが、それを知っていた。
それでも、四人はいつも通りだった。 誰かが俺の肩に寄りかかってきて、誰かがくだらない話をして、誰かが眠そうに欠伸をする。
そんな姿を見ていると、どうしても思ってしまう。
このまま時間が止まればいい。 ずっと、このままでいられればいい。
何度も願った。 何度も祈った。
けれど、願いは叶わなかった。 夜が明ければ、俺たちは別々の道を歩く。 そして、もう二度と五人で笑うことはない。
「じゃあな」
最後にそう言って、四人と別れた。 誰も振り返らなかった。 俺も振り返らなかった。 振り返ったら、きっと離れられなくなるから。
一人になった道を歩く。
さっきまで隣にあった笑い声が、もう聞こえない。 急に、世界が静かになった。 俺は空を見上げた。 星がいくつか見えた。 綺麗だと思った。
でも、それ以上に悲しかった。
こんなにも大切な人たちに、もう一度会いたいと思うのが普通なのだろう。 きっと、そうなんだろう。 だから俺は、最後まで迷っていた。
もう一度会いたい。 また五人で笑いたい。 次の人生でも、みんなの隣にいたい。
――そう願ってしまいそうになる自分が、怖かった。
だって、また同じことになる。 また好きになる。 また大切になる。 そしてまた、失う。
だったら。
最初から出会わなければいい。 最初から、好きにならなければいい。 大切だと思わなければいい。 俺一人が寂しいだけなら、それでいい。
四人が俺を忘れて、俺も四人を忘れて。 それぞれ別の人生を歩めばいい。 そのほうが、きっと幸せだから。
涙が頬を伝った。
最後まで、笑っていたかったのに。 最後まで、五人でいたかったのに。
それでも俺は、夜空に向かって、たった一つだけ願った。
――どうか、次の人生では。
――もう、俺 たちが出会いませんように。
そう願った瞬間、世界が暗くなった。
コメント
1件
みゆ 。さん、読了しました…。 五人で過ごす最後の夜の、あたたかくて、でも切なくて、「来世でも会えるかな」って言葉がこんなに胸に刺さるなんて思わなかったです。 最後の「出会いませんように」っていう願い、自分を守るための選択なんだろうけど、それが本当に悲しくて…。 丁寧で静かな描写が、すごく心に残りました。続き、気になります…😢