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目が覚めた。琥珀さんの顔が見えた。
でも、
茜さんはいない。
ここは薄暗い牢屋の中。
あの出来事は、夢ではなかった…
わかってはいても、夢であって欲しかった。
茜さんの、笑顔が見たかった。
僕の手で…
『甘ちゃん、もう大丈夫?』
琥珀さんが、こちらを見ていた。
『あぁ、』
この世界は、残酷だ。
幸せなんてそれほど多くないのに、
辛いことばかり起こる。
誰かの指示を聞いて、奴隷のように従って、
辛いことをずっと耐えて、やっと少しの幸せを手に入れられる。
世の中には、もっと辛い思いをしている人がいるんだろう。
でも、それでも、
辛いものは辛い。
誰かにとっては大したことないとしても、
僕にとっては、かなり辛い。
そして、琥珀さんも茜さんも辛いはずだ。
耐えられないくらいに。
それが、人生なんだろうな。
『・・・』
そして、
多くの人が、
生き物の命を軽く見ている。
自分と大事な人だけは重く見て、それ以外はどうでもいいと思っているようだ。
弱くて優しい人が苦しんで、
強くて悪い人が幸せになる。
正しことをしても苦しむ。
いや、
正しい人ほど苦しむ。
誰かのために自分が苦しんでも、報われないことを知った。
なら、優しくなんてしようとは思えないよな。
損なんてしたくない。
自分から辛い道を歩きたくない。
そうだよね。
僕だって、嫌だよ。
なんで、辛い思いをさせてきた人たちを守らないといけないんだろう。
これまで、多くの人を助けてきたつもりだ。
でも、その中には、
僕のことを、人狼を悪く言う人がたくさんいた。
『は?なんでお前らに助けられなきゃいけないんだよ!』
『人狼かよ。助けたからっていい気になるなよ。』
『お前らが剣士にいるなんて、安心できねぇな。今すぐやめちまえよ。』
『人狼なんかいらない。二度と見たくない。』
色々言われた。
散々な目に遭った。
『人狼は、もう二度とここに来るな。』
『これ、お前らには似合わないと思うけど?金を払ってはくれるんだろうな?』
『人狼が3人も…迷惑料も払ってもらおうか!』
『お前ら人狼は、この島から出ていけ!』
散々な扱いを受けた。
皆を守って、助けて、自分が苦しめば、認めてくれると思っていた。
でも、変わらなかった。
結局、全て無駄だった。
何をしてたんだろ。
『甘ちゃん、辛そうな顔してる…』
琥珀さんが、優しく頭を撫でてくる。
『あぁ、辛いな…』
僕にとっての居場所を一つ奪われて、大事な人をまた1人失って、こんな薄暗くて狭い場所に入れられて、
もう、何もかもがどうでも良くなってきた。
あとは、もう…
琥珀さんくらいだろう。
琥珀さんだけは、失いたくない。
絶対に、守らないといけない。
何があろうとも、僕が守るんだ。
『ーーー』