ゼロディヴィジョンの解析室。
氷室 悠真は複数のモニターに目を凝らし、相棒・霧島 修平の残した暗号を解析していた。数行の文字列と数字の羅列、断片的な通信ログ。普通の人間なら解読は不可能だが、氷室の目は瞬時にパターンを捉えていく。
「神城、見ろ……」
氷室は画面に浮かび上がった地図を指さす。暗号が示すのは、警察内部の複数の極秘施設と、未公開の監視ネットワークの接続箇所だった。
「……裏ゼロは、警察の上層部に組み込まれている」
神城は資料を握りしめ、沈黙のまま地図を見つめる。相棒の死は偶然ではない。国家の権力構造の裏に、目に見えない敵が存在する――その恐怖を彼は全身で感じていた。
黒瀬 鷹真も現場情報の照合に加わる。
「……奴らは情報の流れを完全に掌握している。どこにいても監視されている可能性がある」
その声には冷静さの中に危機感がにじむ。無言の黒瀬は、武力だけでなく、直感でも敵を察知できる男だ。
神城は決意を固める。
「裏ゼロの正体を突き止める。表向きの秩序ではなく、闇の秩序を暴く」
氷室はキーボードを叩き、暗号をリアルタイムで解析しながら言った。
「手掛かりは断片的だが、接続箇所を追えば奴らのネットワークの輪郭が見えてくる」
モニターに映る青白い光の中、三人の影が揺れる。
東京の闇に潜む裏ゼロの存在は、もう遠くの話ではない。
次の一手を誤れば、警察組織そのものに波紋が広がる。
しかし、神城の瞳は恐怖ではなく、決意に燃えていた。
「行くぞ……奴らの影を、必ず暴く」
夜の静寂の中、ゼロディヴィジョンは、国家の闇に踏み込む覚悟を決めた。
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