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「修ちゃん!美咲!週末は酔いつぶれたみたいでホントごめんなさい!」


その夜、店に着いて早々この前の失態を二人に平謝り。


「あ~。あんたあの日ホント酷かったね~。久々あんな酔いつぶれるほど飲んだんじゃない?」

「えぇ、面目ない・・・。申し訳ございません」


ただ平謝りするだけでございます・・・。

昔の彼氏への嫌悪感とは、あそこまで正気を失くさせる威力があるのかと初めて知った。


「そんな酷い酔っ払いを樹くんがちゃんと介抱してくれたんだからね~。感謝しなさいよ~」

「えぇ。それはもう、はい・・。目が覚めたらまさかの相手に介抱してもらってました・・・」


出会った早々こんな失態を見せるとか、すでにもう女捨ててるよな。

それもちょっと色っぽい関係の相手に、元カレのことで酔いつぶれて家まで連れて帰ってもらって介抱してもらうとか・・・ないわー。

いや、まだ何も発展してないけどさ、ただドキドキを楽しむ相手なだけで。

なら余計にそんな相手に迷惑かけちゃって、もうこの先ロマンチックな関係に発展するとは思えない。

なのに、ちょっと勘違いしそうになった雰囲気は、きっとアレだな。

向こうも熱でうなされたゆえの行動で、いつもと違う感じだったのかも。

特に深い意味がないとかさ。

あっ、そもそも記憶もあんまりないかもしれないし。

うん、きっとそうだ。

いや、でも会議室でちゃんと覚えてたか・・・。

なら・・アラサー女が元カレのことで情けなく悶々としてるのが可哀想になっての同情とか。

いや、でもあのパワー注入は一体何だったのか。

あっ、また考えたら考えただけわからなくなる。


「ちょっと透子。あんた何一人頭抱えて悶々としてるのよ」

「あっ、いや。いろんな自分と過去に問いかけてた」

「何それ。そんなことよりあの日酔いつぶれて樹くん連れて帰ってもらうのも結構大変だったんだよ~」

「そうなんだ・・・。ねぇ。私かなり酷かった・・・?」

「相当飲んでたからね。最近はあそこまで酔いつぶれることなかったからさ。 自分で記憶ない?」

「ええ、まったく・・・。早瀬くん、そんな私の姿見て引いてたんじゃない・・?」

「全然。それどころか、たまたま来ただけだったのに、帰るまでずっと透子の隣にいてくれてさ。ちゃんと介抱してくれて優しかったよ樹くん」

「そうなんだ・・・」


たまたま来ただけなのに、ホント悪いことしちゃったな。

しかもこんな面倒くさいの押しつけられたのに、呆れることなく介抱してくれたんだ・・・。


そう言えば、その酔いつぶれた理由、美咲から聞いたって言ってたよね。

どこまで聞いたんだろう。

どう思ったのかな、早瀬くん・・。

もう別になんとも思ってないし、なんか昔のことにこだわってるって思われたくなかったな・・。


「あっ!てかさ!早瀬くん、私の隣住んでるってなんで教えてくれなかったの!?」

「ん? 聞かれなかったから?」


美咲がとぼけた感じで返す。


「いや、聞くワケないでしょうが。知らないんだから」

「あっ、それもそうね。いや、ほらたまたまその後知ったのよ。お隣さんだって」

「そう、なんだ」

「そうそう。だからさ、透子酔いつぶれた時、どうせお隣さんだし樹くんだしって任せちゃった」

「任せちゃった、じゃないよ。目を覚ましたら知らない部屋にいて、しかもそこに早瀬くんがいきなり登場したんだから、こっちはパニックだったよ」

「やだ♪ あんたたち、ちゃっかり一緒に朝迎えちゃった感じ?」


なぜか嬉しそうに美咲がからかってくる。


「ちょっ!言い方!いや、そんなんじゃないから!」

「でも。樹くんの家、泊めてもらったんでしょ?」

「まぁ。それはそうなんだけど」

「で。もしかして朝まで起きないとかそんなもったいないことしたんじゃないでしょうね?」

「その・・まさかだよね~。起きたらベッドに寝てたけど、なんもされてないっぽいよね~」

「は~?あんなイケメンに連れ込まれてなんもされてないの?酔ったあんたになんかしたところで罪の意識もないだろうに」

「なぜそうなる。そこは罪の意識持ってもらわないと」

「いや、そこまで恋愛遠ざかってる透子にはさ。樹くんに相手してもらってちょうどいいんじゃない?樹くん若くてイケメンだし♪」


美咲のその適当な言葉に否定したい自分もいながら、肯定したくなる自分もいたり。


「酔った女に手出すほど困ってなかったみたいよ~。そんな面倒なことしなくても相手たくさんいるだろうしね~」


美咲にそんなことを言いながらも、その言葉の意味を自分で改めて実感してしまう。


そう、だよね。

考えを変えれば、酔っていた私を介抱してくれて、全然知らない仲じゃないんだから、酔った勢いでどうにかなってた可能性もなくもないのか。

手を出さなかったのが紳士だと思っていたけど。

裏を返せば、それだけ私にも魅力なかったってことか・・・。


「まぁ。樹くんあぁ見えていい加減じゃないから、そこは透子だから何もしなかったんじゃない?」

「まぁ・・それだけ魅力感じなかったってことかもね」


なんか自分で言ってて虚しい。

いざとなったら何も手を出さず、結局私がドキドキを感じられる時にだけ相手をする。


そっか。

やっぱそれだけの関係ってことか。

彼のことを知っていくほど、更に彼がわからなくなっていく。

そして自分との距離をその分感じていく。

この瞬間思ってた以上に、ショックがっている自分がいた。


「ね~修ちゃん。早瀬くんってさ、どんな人?」


近くにいた修ちゃんになぜかそんなことを聞いてしまっている自分。


「樹?そうだな~まぁ昔からあんな感じで男前でモテてたけど、あぁ見えて案外真面目だけどね」

「へ~。やっぱ昔からモテてたんだね」

「あのビジュアルは黙ってても女の子はたくさん寄って来るから。だから今までは適当に付き合ってるみたいに見えたけどね~」


うん。昔に遡ってもそういうモテエピソードしか出て来ないよね。


「だから、そんなアイツが本気になったらどんな風になるのか、オレは見てみたいけど」


うん、あたしもそれは見てみたいかも。

本気になったら、案外大事にしたりするのかな。

てか、そもそも誰かを本気で好きになることとかあるのだろうか。


「そんな樹が、透子ちゃんとどうにかなったらオレ的には楽しみなんだけどね~」


修ちゃんが面白がってからかってくる。


「いや!それはないでしょ!そんな人が私のこと相手にするワケないない」

「でも。樹、透子ちゃんあの日口説いてたじゃん」


初めて声かけられたあの日か。


「いや。あれはさ、私の話に乗っかって面白がって楽しんでただけだと思うよ」


うん。きっとそんな彼だから。

また適当に楽しむ相手とたまたま出会っただけ。

それがたまたま私だっただけ。


「そうかな・・・。オレは案外、樹、透子ちゃん気に入ってると思うけどな」

「え~修ちゃんの勘違いでしょ~」


そう。ここでまた勘違いしてその気になったら痛い目見るのは私自身だ。


「いや。だからこそだよ。そんな樹だから、オレは透子ちゃんになんとかしてほしいんだけどね」


そんな修ちゃんの言葉に笑って答えてはいたけど。

その言葉が少し嬉しかったり、少しズキッとしたり。

早瀬くんが、本気になる相手、か・・・。


「基本アイツ自分家に女の子入れないから。そこは徹底してるみたいだね。なんでだか」

「そんな樹くんが、透子を家に入れてくれて自分のベッドで介抱してくれたって・・・なんか意味ありげ」


修ちゃんと美咲二人揃ってまた期待させるようなことを言って来る。


「まぁ、それは結果的にさ。お隣で、修ちゃん知り合いだし仕事仲間だし、仕方なく?なんじゃない?」


だけど、私はやっぱり同じように期待出来る気持ちまで持っていけなくて否定してしまう。

まだ期待するには材料が少なすぎて。

期待したところで、元々ドキドキせるだけの関係。

私は彼に対して、どこまでなら期待してもいいのだろう・・・。



本気になってはいけない恋

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