テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
7件
わー……めっちゃオフィスBLのデキがいいなこれ!!!💯 慎太郎さんの「限界だったんだわ」からの告白、めちゃくちゃ刺さった。普段頼れる先輩が震える指で触れてくるギャップがたまらん…。北斗くんが「困ってないです!」って手を握り返すところで一気に感情持ってかれたわ。2人の関係が溶けて重なる夜の静寂、最高の締め方だった🔥 次の展開めっちゃ気になる…!(200字)
「しんたろう」攻×『ほくと』受
オフィスのフロアがすっかり静まり返った午後九時。
窓の外に広がる冷ややかな夜景が、今の俺の心細さを映しているみたいだった。
デスクのライトだけを頼りに、俺は一人で必死にパソコンに向かっていた。
明日が締め切りの企画書。
俺の確認不足のせいでデータに不備が見つかり、一から修正する羽目になってしまったのだ。
焦りと疲労で、キーボードを叩く指先がかすかに震える。
『……はあ。終わんねぇな、これ』
情けなくて小さくため息を漏らしたその時、視界の端にそっと、温かい缶コーヒーが置かれた。
「寝詰めるのもいいけど、たまには息抜きしろよ。北斗」
聞き馴染みのある、低くて心地のいい声。
心臓がドクンと跳ねて見上げると、そこにはジャケットを緩く羽織った慎太郎さんが立っていた。
いつも仕事ができて、面倒見が良くて、俺が密かに憧れている大好きな先輩。
『あ、慎太郎さん。まだ残ってたんですか?』
「お前が残ってるのが見えたからな。ほら、それ飲んで一回頭休めろ」
慎太郎さんは隣のデスクの椅子を引き寄せ、俺のすぐ横に腰掛けた。
差し出された缶コーヒーの温かさが、かじかんでいた俺の手にじんわりと染み渡っていく。
『すみません、俺の不手際のせいで。慎太郎さんにまで気を遣わせて』
「不手際じゃねぇよ。お前が毎日どれだけ頑張ってるか、俺が一番よく知ってる」
慎太郎さんはそう言って、俺の乱れた髪を大きな手で優しく撫でた。
その手のひらの温もりに、胸が痛いほど高鳴る。
ただの頼れる先輩と、不甲斐ない後輩。
自分が勝手に引いていたはずの境界線が、静まり返ったオフィスの中で急に曖昧になっていく気がして、息が苦しくなった。
しばらく、キーボードを叩く音すら消えた沈黙が流れる。
缶コーヒーから立ち上る微かな香りの向こうで、慎太郎さんがじっと僕を見つめていることに気づいた。
その瞳は、いつも明るくて頼もしい彼からは想像もつかないほど、深く、どこか寂しげに揺れている。
『……慎太郎さん?』
その視線に耐えきれなくなって名前を呼ぶと、慎太郎さんはふっと視線を落とし、自嘲気味に唇を歪めた。
「なぁ、北斗。お前さ……本当に俺のこと、ただの「仕事の先輩」としか見てないんだな」
『え……?それ、どういう……』
心臓が嫌な音を立てて脈打ち始める。
慎太郎さんはゆっくりと顔を上げ、俺の目を真っ直ぐ見つめてきた。
その瞳の奥にある強い熱量に、俺は息をすることすら忘れてしまう。
「お前が他の奴と楽しそうに話していると、胸が痛かった。お前が仕事で悩んでる時、一番に頼ってほしかった。……ずっと、そう思ってた」
一言一言、自分の心を削り出すように慎太郎さんは言葉を紡ぐ。
そして、今にも消えてしまいそうなほど、切なく微笑んだ。
「俺、お前のことずっと好きだったよ」
その声が、優しく、そして酷く悲しく耳に届いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
ずっと遠い存在だと思っていた先輩からの、想定外な言葉。
嬉しさと、信じられない気持ちと、胸の痛みが一気に押し寄せてくる。
『慎太郎、さん……俺、は……』
上手く言葉が出てこなくて、ただ唇を震わせる俺を見て、慎太郎さんはさらに愛おしそうな、だけど諦めたような笑みを浮かべて、椅子の背に体を預けた。
「困らせて悪かったな。でも、もう限界だったんだわ。お前の近くにいるの」
慎太郎さんの手が、俺の頬にそっと触れる。
その指先が驚くほど微かに震えているのが伝わってきて、胸が締め付けられた。
慎太郎さんがどれほどの覚悟で、どれだけ長い間この想いを抱えてくれていたのかが、痛いほどに伝わってくる。
俺の心の中で、ずっと『先輩だから』と張り詰めていた何かが、一気に決壊した。
ただの憧れだと思い込もうとしていた感情が、熱を持って体中を駆け巡る。
『困って、ないです……!』
俺は思わず、自分の頬に添えられた慎太郎さんの大きな手を、両手で強く握り返していた。
『俺も……俺だって、慎太郎さんのこと、ただの先輩だなんて、思いたくなかった……っ』
驚きに目を見開く慎太郎さんを、俺は赤くなった目で真っ直ぐに見つめ返した。
もう、この手を離したくない。
俺の手を握る慎太郎さんの力がいっそう強くなり、引き寄せられる。
気づけば、俺は彼の広い胸の中にすっぽりと収まっていた。
「北斗、それ、本気にしていいんだな?」
耳元で囁く慎太郎さんの声は、もう切なさなんて消え失せていて、ひたすらに甘く熱かった。
二人の距離が、夜の静寂の中で、確かに重なり合っていくのを感じていた。
1
#同担拒否
紅葉🍁🐥
3,520