「、、、何かしら、なにか動いて、、、」
江川がみたものは、長い廊下の影に溶け込み、壁を蹴り、天井を蹴って近づいてくる太宰。
「っ江川、さんッ受け止めてっ、(汗)」
止まらなくなったらしい。
「わ、かったわ!よ、ッ!!」
受け止める。太宰自身が軽いため、止めるのは容易だったよう。
すぐにばっと顔を上げ、太宰は
「ここに犯人は居ない、あの死体の脈を測る部分を、、、剥がして、っ!!」
「あと、犯人は脚本家とグル、っ!!!」
息を切らし、服をぎゅぅ、と引っ張る太宰。
「、判った、福沢さんに連絡するわ。」
江川は其の服についた血について問いたかったものの、
此処まで必死に云われると了承し、此のことを後に回すしかなかった。
「、、、死体の手首、、、か、」
福沢は即座に死体に駆け寄り、手首を引っ掻く。
べり、と音がなった。思い切り剥ぐ。その時、のそり、と男が起き上がった。
「、、、いつ気付いた。」
「連れが気付いた。、、、死んでいなかったんだな。」
チラ、と管理室を覗くと何処か安心したような表情の太宰が見えた。
「、、、ふぅ、」
福沢がため息をついた瞬間、管理室のガラスを思いっきり割った。
「な、だざッッ!!!」
だんっ、と大きな音が鳴るのと同時に、散らばっていた羽がふわりと浮いた。
「早くいこう、おじさん。」
「っ、嗚呼、、、。」
福沢は、太宰といっしょにいると気が狂うな、と云いたい言葉を飲み込んだ。
「先に警察署へ行きましょう、太宰、、、さん?」
「、、、ねぇ、おじさん、紙とペンだして、」
頭の上にはてなを浮かべながらも、「嗚呼。」といいメモの一切れとボールペンを渡した。
スラスラと慣れた手つきで何かを書いた後、二回ほど折り福沢の手のひらに押さえつけた。
そして、
「全てのやることが終わったら、読んでね。」
そう耳打ちしてコートを腕に通した後、襟を立て、顔を隠した状態で小走りで向かった。
福沢はぎゅっと紙を握りしめると、焦った表情で走ってきた警官が云った。
「っ、脚本家が殺されました!!!!」
「ッ!!!」
福沢は、紙を開くのを後にして、警官の方へ向かった。
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