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『こんにちは、楠木くんと同じクラスの城本です!』


そこまで頻繁に震えるわけじゃない美鶴の携帯が何者かのメッセージを受信した。

正直誰だかわからないと詐欺とかなんか怖いので、見知った名前を出されても中々返信できずにいた。


『この間コンビニでお祭り誘った話なんだけど、どうかな?』


ああ、あの子か。

佐藤がコピー機に悪戦苦闘していたところを救った女子、綺麗なストレートの黒髪と優しげな目元の可愛い子だったな。

お祭りの話で連想したのだが、浴衣が似合いそうな子だと思った。


一応明後日だかにある7月末のお祭りには行けるっちゃ行ける。

しかし俺も含めて誘われてたとは思いもしなかった。佐藤を介して話が来なかったことからして、おそらく佐藤は俺に城本さんからの誘いを断って欲しいのだろう。


自分で言うのもなんだが、俺はそこそこに顔が整っている方だし、モテか非モテかで言われたら「モテ」の人間だ。

それでもロクに彼女ができなかったのはあまりに無愛想で生意気なせいというだけで。

なので佐藤は俺が塩対応を見せて城本さんに幻滅されておいて欲しいから、連絡先を教えて俺と繋いだのだろう。


佐藤に一応の確認もして、断る方向で固まったが、もう生意気ざかりな中学生でもない俺は、どう返信したらいいのかと考えあぐねた末、シシルにぶん投げた。


「えっなにこれ。」

「断る文面、考えて。」


困惑しているシシルだったが、女子からのメッセージだと気付くと「ハワ〜〜〜!」となんとも言えない歓声を上げた。


「ええ……断っちゃうの……?これってデートに誘ってるんじゃない?」

「知ってるよ。だから断るんだよ。」

「自分でやればいいじゃん!」

「……」


正論だ。だが内弁慶でか弱い俺には彼女の健気なお誘いを優しく断れるほどの語彙は持っていない。

そのままベッドの上から顔だけ乗り出してシシルを見つめ続けると、諦めたようにウンウンと悩み出す。


「やっぱり『ごめん、予定があって行けないんだ。』とかでいいんじゃない?」

「いや、祭り自体には行きたいんだよ。」

「じゃあ先約があったとか……」

「俺は友達が少ない。嘘ついても当日バレそうだし。」

「思ったより難しい依頼!」


「う、うーん……それじゃあ……『好きな人誘うつもりだから』とか?」

「……いいな、それ。採用。」


それなら当日1人で回っていても「あっ断られたんだ……」となって、話しかけられることは無くなるだろうし、怪しまれずに夏祭りをエンジョイできる。


早々に「ダブルデートだ!」と喜んだ友人たちのなんと薄情なことか。俺を1人で夏祭りに放るなんて。

よくやったシシル。


「お祭りかぁ……いいなぁ。」


指示通り城本さんに返信したらしいシシルは、携帯を俺の方に軽く放ってから、ため息と共につぶやいた。


「なにお前、行きたいの?」

「ンヤ……俺人混み苦手で小さい頃行ったことなくてさ。」

「ふーん。」


お祭りに行ったことがないやつなんて本当にいるのか。

少し珍しい動物を見た時と同じ感情がした。


「それじゃあついてくるか。」

「いいの?」


別にいい。

どうせ出店で焼きそばとリンゴ飴買って、後はなんとなくの空気感を味わいたいだけなので、そこに誰がいようと関係ない。

なおさら全く気を使宇必要のないシシルがいて問題があるとしたら、脳みそ小学生なこいつがテンション上がってどこか怪我でもしたら大変だな、ということくらいだ。

まあ流石にこんな小学生みたいな怪我の仕方はないだろうが。


「やった〜」と呟いて、背中でわかるくらいウキウキしているシシルは、いつの日かの夏祭りを楽しみにする小学生の俺のようだった。

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