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眠たげな両方の瞳が俺を捉える。そしてそのまま俺の腰を引き寄せた。俺は反射的に離れようとするが、それよりも早くキッドが俺の首筋に噛み付いた。その瞬間、ぞわりとした感覚が背中を走る。
頭が覚醒している時のキッドは俺に許可を取るが、寝ぼけている時は別だ。
「キッド、起きろって……ん……」
がぷがぷと甘噛みをされる。痕がつかない程度の強さだ。俺はキッドの肩を押してなんとか引き剥がそうとするが、ビクともしない。力強すぎんだろ。首元に舌が這う。思わず体が震える。
「ひう…ッ」
変な声が出た。恥ずかしくて死にそう。
俺はキッドの頭を少し強めに叩く。
「痛でっ」
「寝ぼけるのもいい加減にしろ……!!!」
「んあ……? ん、悪ィ……」
やっと目が覚めたらしい。が、まだ少しぼんやりとしている。
「夕飯」
「……食う」
キッドの両腕を引っ張って立たせる。まだ完全に意識が戻っていないようでフラついている。大丈夫かよ。
そして俺達は食堂へと向かうことにした。
「重ェ」
キッドが寄り掛かってくる。
「キッド、重い……」
ずるずると引きずるようにしながら歩く。体格が違いすぎるんだよ。俺だって身長低いわけじゃないのに、なんでこんなに違うんだ。
「遅いなとは思ったが……大変そうだな、ジェイデン」
「うあ、キラーさん……たすけて……」
「キッドは寝起きは頭が覚醒するまでが長いからな」
と、キラーさんが助けてくれる。言葉の節々から楽しそうなのが伝わってくる。いや、笑い事じゃないのですが? この巨体、支えるの大変なんですけど!?
「じゃあ俺は風呂入ってくる」
「俺も入る」
「……嫌だが」
「なんでだよ」
「いや、お前俺のことそういう目で見てるじゃん。流石に無理。あと飯食うんだろ」
「飯は後ででいい」
いくらなんでも一緒に入るのはまずいだろ。全裸という無防備な状態で己の貞操を守れる自信がない。……この船に乗っている時点で手遅れな気もするが。
「何が何でもだめだ。風呂くらい1人でゆっくり入らせてくれ」
言うだけ言って俺は風呂場に早歩きで向かった。