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**みぅ🤍🥀:** ……重かった。胸がぎゅってなった。 ライが「初めて生きていたいと思った」って言ったところ、すごく刺さったよ。 それだけマナが彼にとって特別なんだって伝わってきたのに、父上は冷酷に切り捨てろって……。 「明日までに別れを告げろ」が、あまりにも残酷すぎる。 マナを想えば想うほど、離れるしかない選択肢しか残されてないの、辛すぎるよ……。 次、どうなっちゃうんだろう。更新、待ってます。
襖の前に立つ男を見た瞬間、部屋の空気が凍りついた。
伊波ライの父――この地を治める高位貴族。
年齢を重ねてもなお鋭い目をした男だった。
静かな威圧感がある。
従者たちは一斉に頭を下げた。
「旦那様」
ライだけが動かなかった。
肩で息をしながら、父を睨み返す。
「……通せと言った覚えはない」
低い声が響く。
「若君が無理に」
「黙れ」
父の一言で、従者は口を閉ざした。
そして父はゆっくりとライを見る。
その視線は冷たかった。
「農民一人に、随分取り乱す」
ライは拳を握りしめる。
「……閉じ込める必要がどこにある」
「あるからだ」
即答だった。
「お前はこの家の人間だ。軽率な真似は許されん」
「軽率?」
ライの声が低くなる。
「人を好きになることがか」
その瞬間、従者たちの空気が張り詰めた。
父はしばらく黙っていた。
やがて静かに言う。
「本気なのか」
「……何が」
「遊びではなく、あの農民を本気で想っているのかと聞いている」
ライは迷わなかった。
「本気だ」
その答えに、父の目が細まる。
「愚かだな」
ライの胸が痛む。
けれど視線は逸らさなかった。
「身分の違いなど、お前が一番分かっているだろう」
「分かっている」
「ならば諦めろ」
その言葉は、刃みたいに冷たかった。
ライは唇を噛む。
諦められるなら、こんなに苦しくない。
会わなければよかったのなら、最初から出会いたくなかった。
けれど。
川辺で笑うマナを知ってしまった。
自分の名を呼ぶ声を知ってしまった。
もう、何も知らなかった頃には戻れない。
「……嫌だ」
父の眉がぴくりと動く。
「もう一度言え」
「嫌だ」
ライは真っ直ぐ父を見た。
「俺はマナを諦めない」
その瞬間。
乾いた音が部屋に響いた。
頬を打たれ、ライの体が傾く。
従者たちが息を呑んだ。
父がライに手を上げることは滅多にない。
ライはゆっくり顔を上げる。
口の端が切れ、血が滲んでいた。
「……お前は、家を背負う人間だ」
父の声は低い。
「感情一つで生きられる立場ではない」
「……っ」
「お前一人の問題では済まぬのだ」
ライは拳を震わせる。
分かっている。
そんなこと、痛いほど。
それでも。
「俺は……」
声が掠れる。
「初めて、生きていたいと思った」
父が目を細める。
ライは俯いたまま続けた。
「マナといる時だけ、息ができた」
部屋が静まり返る。
「屋敷の中は苦しかった。誰も本音を言わない。皆、家のために笑う」
震える声。
「でもマナは違った」
ライの脳裏に、あの笑顔が浮かぶ。
呆れたように笑う顔。
優しく名前を呼ぶ声。
「俺を、“伊波ライ”として見てくれた」
沈黙が落ちる。
父はしばらく何も言わなかった。
やがて冷たく告げる。
「なおさら切り捨てろ」
ライが顔を上げる。
父の瞳は、少しも揺れていなかった。
「情に溺れれば、お前はいずれ壊れる」
「……」
「農民一人のために、家も立場も捨てる気か」
ライは答えられなかった。
捨てられるのか。
本当に。
マナを選べば、多くを失う。
逆にマナを諦めれば、自分自身が壊れる気がした。
父は静かに背を向ける。
「明日、縁談の話を進める」
ライの目が見開かれた。
「……は?」
「断る」
「お前に拒否権はない」
その言葉に、胸が凍る。
縁談。
つまり結婚。
ライの呼吸が乱れる。
「嫌だ」
「忘れろ」
「無理だ!」
思わず叫ぶ。
すると父が振り返った。
その目は鋭かった。
「ならば、お前自身で終わらせろ」
ライが息を呑む。
「明日までに、あの農民へ別れを告げろ」
静かな声。
けれど残酷だった。
「できねば、こちらで処分する」
世界が止まった気がした。
ライの血の気が引く。
「……何を」
「言葉通りだ」
従者たちも青ざめる。
父は本気だった。
この家のためなら、農民一人消すことなど躊躇わない。
「やめろ……!」
ライが掴みかかろうとする。
だが従者に止められた。
「若君!」
「触るな!!」
必死に暴れる。
恐怖で頭が真っ白だった。
マナが危ない。
自分のせいで。
「……明日の夜までだ」
父はそれだけ言い残し、去っていった。
襖が閉まる。
静寂。
ライはその場へ崩れ落ちた。
震える指先を握りしめる。
マナを守るには、離れるしかない。
そんなの、あまりにも残酷だった。