テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
結界が破れ、
外気が森へ流れ込んだ瞬間──
エリスの身体が大きく揺れた。
核との繋がりが、
糸のように細くなる。
「……このままでは……
核が……崩れます……
繋ぎ止めるには……鏡の……前段階を……」
巫女の鏡が淡く光を帯びる。
その瞬間、
ジェイアスの声が鋭く響いた。
「エリス、触るな。
禁術は絶対に使わせない」
彼はエリスの手首を掴み、
鏡から強く引き離した。
「お前の命が削れる術だ。
俺が許すわけがない」
エリスは苦しげに息を吸う。
「……でも……
核が……落ちます……
森が……あなたが……」
「関係ない。
禁術は使わせない。
俺が止める」
ジェイアスは一歩も引かない。
声も、目も、決意も揺れない。
だが──
その瞬間、森の深部が軋んだ。
核が“現象として”悲鳴を上げたのだ。
地面ではなく、
木々でもなく、
世界そのものが震えるような揺れ。
エリスの身体が崩れ落ちる。
「……っ……核が……
限界……っ……」
ジェイアスは抱きとめたが、
その腕の中でエリスの意識が揺らぐ。
「エリス……!」
結界の破れ目から、
採掘団の先遣隊が姿を現した。
魔術機械の光を背負い、
神器を狙う兵たち。
ジェイアスはエリスを抱えたまま、
護符を展開し、
術式を重ねる。
「……くそ……
エリス、禁術は使わせない。
だが──
核が落ちる前に、俺が時間を稼ぐ」
エリスはかすれた声で言う。
「……時間……
そんな……
持ちません……」
ジェイアスは答えない。
ただ、侵入してくる先遣隊へ
護符の術式を叩きつけた。
森の深部が再び揺れ、
核が“崩落の前兆”を放つ。
エリスは禁術に触れられない。
ジェイアスは最後まで止めている。
それでも──
状況は、
ふたりを追い詰め続けていた。
森の深部が、
突然、低く唸るように震えた。
地面ではなく、
木々でもなく、
空気そのものが揺れる。
核が──
自動防衛反応を発動した。
周囲の魔力が一気に膨張し、
霧が逆流するように渦を巻く。
エリスは胸を押さえ、
息を詰まらせた。
「……核が……暴れています……
こんな反応……制御できません……!」
魔力の波が押し寄せ、
結界の破れ目から侵入した採掘団の兵たちでさえ
一瞬足を止めるほどの圧力だった。
ジェイアスはエリスを抱き寄せ、
護符を展開して魔力の暴走から守る。
「エリス、下がれ。
これはお前の身体が耐えられる規模じゃない」
エリスは首を振る。
視界が揺れ、
核との繋がりが細く震えている。
「……止めないと……
核が……壊れます……
森が……全部……」
ジェイアスは強く言い返す。
「禁術は使わせない。
前段階でもだ。
命が削れる」
エリスは震える声で返す。
「……でも……
この暴走は……
私しか……止められません……」
魔力の渦がさらに強まり、
森の奥から“裂けるような光”が走った。
核が限界を超えかけている。
ジェイアスは歯を食いしばる。
「……エリス……!」
エリスは鏡に手を伸ばす。
禁術の“前段階”──
本来なら触れてはならない領域。
ジェイアスはその手を掴み、
必死に止める。
「やめろ……!
お前が死ぬ!」
エリスは涙のような息で言った。
「……あなたを……
守りたいんです……
森も……核も……
全部……」
その瞬間、
核の暴走がさらに跳ね上がり、
魔力の波が森全体を飲み込んだ。
ジェイアスの手が、
一瞬だけエリスの手から離れる。
その隙に──
エリスは鏡へ触れた。
禁術の前段階が発動し、
周囲の魔力が反転する。
暴走する核の波と、
エリスの術式がぶつかり合い、
森が白く光った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!