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私にとっての正義は私だけのものであり、私がそれを信じていればそれでいい。
さて、そろそろ時間ですね……行きましょうか。
※※※
「来たわね」
指定された場所へ行くとそこにはすでに沙耶架の姿があった。
「えっと……あの……ごめんなさい! 呼び出したりして!」
彼女はこちらを見るなり深々と頭を下げてきた。
まるで怒られる前の子供みたいに怯えた様子を見せている。
「いや別に謝ることじゃないよ。それより用件は何?」
「そ、その……昨日助けてもらったお礼を言いたくて」
ん? 一体なんの話をしているんだろう? 昨日のことと言えば……ああ、もしかするとアレのことだろうか?
「うん、分かった。じゃあそのお礼ってことで一つだけお願いを聞いてもらえるかな?」
「う、うん! 何でも言って!」
何でもと言われても困ったなぁ。
こういう時に限って頼りにならない親友の代わりになる人はいないけど、きっとどうにかしてくれると信じているよ!
「おはようございます!」
朝っぱらから元気いっぱいの声を出して教室に入って来た少女の名前は東雲千佳子さん。
彼女もまた沙耶架と同様に完璧な美少女であり、肩口までのショートボブがよく似合っているボーイッシュな雰囲気の少女でもある。
ちなみに彼女は僕と同じクラスで友達でもあり、今年から同じクラスになったばかりの間柄でもあったりする。
この学校では一年生から三年生までの男女がそれぞれ三つのクラスに分かれているのだが、その全てをまとめる学級委員長を決める選挙が行われることになった。
立候補者が一人しかいないという状況にも関わらず全校生徒の前で演説を行うのはかなり緊張するが、何とか乗り切ることができた。
これでようやく肩の荷が下りた気分だ……いや本当に良かったよ。
「お疲れさまー! さすがは真広くんね!」
隣にいる少女――橘由佳里は笑顔を浮かべながらパチパチと拍手をする。
彼女の言う通り僕は見事当選を果たしており、こうして壇上に上がっていたのだ。
ちなみに僕以外のもう一人の立候補者は別のクラスの女子で、彼女は落選して悔しそうな表情をしていた。
「それにしてもまさか本当に勝つとは思わなかったわ」
「おいこらどういう意味だよ?」
確かに僕は生徒会の仕事に興味があったけど、そこまで意外だと言わなくてもいいじゃないか。
「だってほら、今まで一度も立候補したことなかったじゃない? てっきりそういうのには興味ないんだと思ってたんだけど……」
「いやぁ、実は俺も立候補してみようかなーなんて思ってさ!」
「えぇ!? 嘘ぉ! じゃあまさか、本当に立候補しちゃうの?」
「ああ、もう決めたよ。俺は選挙に出るぜ!」
教室の中でクラスメイトたちが盛り上がっている声が聞こえてくる。
彼らは皆、このクラスにおける生徒会長の座を争っているライバル同士だ。
といっても、今のところ候補は一人しかいないのだが。
「へえ、意外ね。あなたが立候補するなんて」
「いやまあ、なんつーかさ。たまには男らしいところをアピールしようと思ったんだよ」
「ふぅん。でも、あんまり無理しない方がいいわよ」
「大丈夫だって。こう見えても結構、喧嘩には自信があるんだぜ?」
「いや……そういう問題じゃないと思うんだけどね」