「はぁ?」
なんでこんな所に人がいるんだ
今は真冬で、絶好の季節なのに!
…….
バッ タタタッ
私はすぐさま座っていた石垣からおりて、走り出した。
「ねぇ、なんでここにいるの?」
自分の大切な時間を邪魔されるのが嫌だった
ここは私の海でもなんでもないのに。
これが独占欲ってやつ?
クルッ
「……」
立っていた人はこちらを振り返って、無言で見つめてくる。
年は私と同じくらいかな?
とても綺麗な顔立ちをした青年だった。
5秒ほど沈黙が続く
「えっとー、、」
私がもう一度聞こうとする前に、向こうが聞いてきた
「あなたは地元の人ですか?」
え?無視ですか?
って声に出したかったけどなんとかとどめた
「まぁ はい。あの、なんでこんな所に立っているんですか?」
もう一度聞いた。
頼む。今度こそ返事をくれ
「俺、最近引っ越してきて、」
は?こんな所に?わざわざ?
「で、荷物の整理で疲れちゃって散歩してたら、すごくいい所を見つけたんで」
この海は私の居場所だ!!
と、めちゃくちゃ言いたい
でも初対面だしな、それに引っ越して来た訳だ。少しくらい多めに見よう
「そうなんですか。でも夜は寒いから風邪引くよ?引っ越してきたばっかなら尚更環境にも慣れてないと思うし、帰った方がいいよ?」
うん。
とても良い言い方だと思う。
これなら優しい地元の人のまま帰らすことができる!
さあ!
帰りやがれ!
「あ、自分風邪引いたことないんで大丈夫です」
うそだ。やめてくれ。
「で、でもでも!学校とかあるんじゃない?準備とかはしっかりしといた方がいいと思うんだ!」
うわぁ、焦りすぎた。
これは感じ悪いな
「…….」
ほら黙っちゃった。
「あの、それ遠回しに帰れって言ってます?」
…….
おっふ。
なはーん。
今日土曜日だったんだ
学校の準備なんていらねぇよ!!
まさか私の学校に転校とかないよね!?←
はい。
昨日のことについて説明します。
あの青年に図星をつかれた私は、
『え、えぇ?そんなわけないジャーン汗汗』
と言い残し、走って逃げました。
私的に、これしかなかったと思う。
今日はさすがにいないよね?
大丈夫だよね?
「よっしゃーー!!」
今日はいないぞ!
思う存分みてやる。
そう思い、いつも通りの場所に座り、いつも通りの海を見た。でも、
そう思える確証がなかったけど。どうも落ち着かない。ムズムズする
ふと、青年の顔を思い浮かべる。
結構顔整ってたんだよなぁ。なんでこんなとこに引っ越して来たんだろう。あの時は散歩だと言っていたけど、もしこの海が目当てだったりしたら…
ダメだ。そんな事があったら、私が死んでしまう。
チャプン
なんとなく海の水を触ってみる。
この海は、私ひとりで、静かだから好きなんだ。あの青年に邪魔されたくない。
今まで、こんな季節でも何回か、人が来たことはある。でもそいつは地元の奴らで私への嫌がらせが目的だったから。次の日にはもう来ないから。別にいい
でもあの青年は違う。
引っ越してきたばかりで私の事も知らない。
なのにこの海を綺麗だと言った。
嫌な予感がする。
で、でももし海のない所から来たのなら確かにここは魅力的だ。
長く住んでいればその内、音がうるさいとでも言い出すんだろう。
綺麗だと思うのは、今のうちだけだ。
そう言い聞かせながら、私は家へ戻った。
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