テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ぷち
23,131
#願いを叶える
ぷち
1,691
『妖様へ願事』〜人を呪わば穴二つ〜
第二章『欲まみれの願い』
第三話 コンナノノゾンデナイ
『こんなことも出来ないのか!』
バシンっ!
『痛い、父さん!やめて!』
『うるさい!黙れ!』
バチンッ!
手で叩かれ、鞭でも叩かれる。
『お前は私の跡取りなんだ。私の子が出来損ないなんてあってはならないんだよ。』
(どうして急に…まさか、兄貴はずっと父さんからの虐待を……?)
『座れ。これが終わるまで部屋から出るなよ。』
ドアを南京錠で閉められ、内側から開けられなくなる。
(そんな、俺が望んだのは、こんな…。)
『か、母さん。父さんが俺に…』
『貴方がお父さんの言うことを聞かないからでしょう?』
『え…?母さん…?』
『貴方は長男。跡取りとして相応しくなるよう、学ぶことは沢山あるのよ。貴方は次男じゃないの。』
(そんな、母さんまで…。)
『どうして、俺は……こんなの、望んで…。』
『ログラン?お前なんで部屋から出てるんだ?』
背後に父さんの気配がして振り返る。
『父さ…』
『部屋から出るなと言ったはずだが?私の言うことが聞けないのか?』
グイッ!
髪を引っ張られる。
『痛、やめて、父さん!!』
『来い。調教し治してやる。』
ズルズル……
『離して、助けて!母さん!母さん――!!』
もう……どれくらい殴られただろうか。
痛みも感じない。
『う、うぅ…俺は、ただ…。愛して欲しかっただけなのに…。兄貴みたいに…俺の方を見て欲しかった、ただ、それだけなのに――。』
俺は涙を流す。
こんなの、俺が望んだものじゃない……。
ギリッと薬の入った瓶を握り締めた。
『それなら、消せばいいんだ…。』
俺はふらついた足で鏡の前に立つ。
残りの薬を飲んだ。
ゴク、ゴクンッ。
『ヨリ・ダリア…。ヨリ・フルーサ…。』
名前を3回唱えて俺の意識はそこで途切れた。
ボワッ……。
『欲深き魂よ、常闇で舞い散りなさい。』
『ぅ…。あれ、俺は……。』
『ログラン、やっと起きたのか?』
『あ、兄貴…?どうして…』
『何寝ぼけてるんだよ。』
『兄貴……っ!』
俺は兄貴に抱き着く。
『ごめん、ごめん…っ!俺はただ羨ましかっただけなんだ、長男だからって父さん達から愛されてる兄貴が…俺、俺…っ。』
『…あぁ、なんだ、そんなことか……。そんなの…』
グググ…ッ。
俺を抱きしめる兄貴の手が強くなる。
『あ、兄貴?痛い……』
『許さないに決まってるだろ……っ!!』
兄貴の顔が恐ろしい顔に変わる。
『うわぁぁぁあ!!!!』
ガバッと目が覚める。
だがそこには兄貴の姿はなく、暗闇のままだった。
『は…?ここは、どこだ…?俺は…。』
『やっとお目覚めかよ。』
『うわぁ!』
『うるせぇな耳元で。』
『な、お前は、あの女狐の…』
『あ?お前人間の癖に生意気なんだよ。まっ、これから死ぬやつに何言っても無駄か。』
『は…?死ぬ?どういうことだ…?』
『クス、クスッ。あはははっ!!あーおかしい…っ。』
鳥居から女狐が現れる。
『お、お前……っ。俺に何をした!』
『まだ分からないの?』
『は……?』
『貴方は両親を消した。だから貴方だって生まれなかったことになるに決まってるじゃないの。』
『っ……!!』
次回
第四話 ゼツボウヨコンニチワ
コメント
1件
うわ……重い……読んでて息が詰まりそうだった🥀 ログランの「ただ愛されたかっただけ」っていう根っこの願いが、周りの冷たさでどんどん歪んでいく感じが痛すぎる。 しかも「消したら自分も消える」ってオチ、残酷すぎるよ……。 でも、だからこそ次が気になる。第四話のタイトル『ゼツボウヨコンニチワ』も絶望感すごくて、読むのが怖いけど読みたい……。 ぷちさんの作品はいつも心の奥まで抉ってくるから、見入っちゃうな。