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コメント
7件
全部あんたのせいやで遥香
門前払いはされなかったのかな😂 凄い注目を浴びたよね〰😂😂😂
あらら,とりあえず中には入れたからそうなったのかしらねー
「遥香の細くて長い首にチョーカーリボンがよく似合っているし、大きいだけのジュエリーをつけて来る人よりも、今日のパーティーにはピッタリよね」
その“ピッタリ”と言った奥様もご満悦のようで、遥香は
「私、なんでも着こなせちゃうし、それにピンクよりブルー系の方が似合うし」
と言いながら出て行った。
本当に似合っているわ、遥香様。
「あのドレスを桑名さんが作ったってことなの?」
「いえ、リメイクですから、作ったのではないですけど……」
「田中さん、桑名さんはこう言っていますけど、私、最初の形を見たんですよ。あれは英語でワンピースをどれも“ドレス”っていう感じの、どちらかとおよばれワンピースだと思いました。それを、肩は出すわ、スカートふわふわにするわ、首にはおしゃれなチョーカーリボンがあるわ……すごいわよ。あれ、ぴちぴちのチョーカーじゃなくって、チョーカーリボンってところが、可愛いわよね。お昼間のパーティーらしいんじゃないかな」
広瀬さんに大絶賛をいただいてから、私たちは分担して業務につく。
今日の昼間は、主に1階の清掃だ。
田中さんは、ご主人様や篤久様が使われるメインのバスルーム清掃。
広瀬さんは、キッチンとダイニングの清掃。
私は、廊下と螺旋階段の清掃。
自室前の廊下から、ゆっくりと丁寧に掃除機をかける。
もう遥香は、大門様のお宅へ到着したかな……昨日検索したら、大門邸は車で20分ほどの場所にあるはずなのよね。
長い廊下の掃除機掛けはかなりの時間を要する。
ダイニングの前を通り過ぎる時、時計を見て、もう到着しているよね……と一人で頷く。
玄関ホールまで来ると、今日は磨くのではなく掃き掃除なので、すぐ隣の第一家事室に掃除機を置いてから、大理石用の箒を持って玄関ドアを開け放った。
「あつっ……」
「あ、真奈美さん、そこ開けておいてください。車に荷物を運びたいから」
螺旋階段を駆け下りて来た篤久様の声に
「はい」
と返事をして会釈すると
「体調は、大丈夫?」
すれ違いざまに小さく聞かれた。
「はい、ありがとうございます」
篤久様は頷くだけで何も言わず、駐車場に車を取りに行ったようだ。
そして玄関前に車を停めると、地下から何かを取ってきては車に積み込むという作業を繰り返している。
地下は仕事関係の物があると聞いているので、私たちは手伝うことはない。
そして私が階段の手すりを、上から拭き掃除をし始めた時に、篤久様が玄関ドアを閉めてくれたようだった。
遥香だったら
“ドアを閉めなさい、真奈美”
って、言うところだわ。
篤久様がまた地下へ行った気配が消えると、とても静かな空間で私は丁寧に手すりの片方を拭き終え、また上に上がって反対側の手すりを丁寧に拭き始める。
ガタガタッ…ゴン……ガタッ……
「真奈美ぃーっ! 真奈美ぃーっ!」
重厚な玄関ドアがおかしな音を立てたかと思えば、遥香の叫び声が聞こえてビクッとする。
どういうこと……?
あまりに早い帰宅じゃない?
行って、すぐに帰って来た?
「真奈美っ、どこっ⁉出て来いっ!」
少し距離はあるけれど、大きな屋敷中に聞こえそうな声だもの……録れてるかな。
「遥香様……?」
玄関ドアが見えるところまで私が降りた時には、何事かと思った広瀬さんと田中さんが玄関ホールに来たところだった。
「遥香?どうしたの?」
と、慌てて奥様も私を通り過ぎて、階段を駆け下りる。
「どうしたの、じゃないわよっ!真奈美のせいで、パーティーにいられなかったのよっ!」
遥香の喉を心配したくなるほど、彼女は怒り狂った声を上げた。