テラーノベル
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オレとアーヴィスは音のした方へとただただ必死に走っていた
「シレイニーちゃん大丈夫かなぁ…ッ」
「ルーナがついているから大丈夫だとは思うが…目が、やられているとなると…」
顔が歪む
アーヴィスもさっきの様子を想像したのか嫌そうに目を瞑る
「とりあえず目の前のことに集中しよう、オレらまでやられたら…ッ!えむ!危ないッ!」
「ひょぇえッ!」
オレが一声かけるとアーヴィスは華麗な身のこなしで避けてみせた
そう、銃弾が迫っていた
…危うく撃たれるところだった
しかし、焦った衝動でアーヴィスの本名を叫んでしまった
「すまん、オレとしたことが…」
「…大丈夫だよ、何とかして誤魔化そう…!」
小声で会話を交わして目の前にいる相手に向き合う
「まさか、また会うとはな…!」
挑発するようにオレは冷静を装って言う
「ハハッ、強がってたって動揺してるのがバレバレだぞ?そして…ようやく本名が掴めた、そのピンク髪の姉ちゃん、えむ、とか言うんだな?」
サァッと顔が青ざめて温度が下がっていくのが分かった
「な…ッ、!お前…!」
「なんだよ、お前がそもそも口に出したんだろう?」
「…ッ、それは…」
「あたしは大丈夫だから…!!とりあえず、あたしの名前を知ってしまった限りには眠ってもらわないとね!」
さすがアーヴィスだ。
綺麗に宙を舞って相手の背後に滑り込み、心臓がある場所ら辺に銃口を当てる
完全に勝った…!
アーヴィスもそう確信したであろうその瞬間、奴が呟いた
「いいのか?あいつらみたいに目が潰れて”死んでも”」
「…ッ!?」
えむが銃口を下に向けてしまう
「”死んで”…?まさか、シレイニーちゃんや ルーナくんが死ぬ訳じゃないよね?」
「勘がいいなぁさすが鳳家のご令嬢」
「いいから答えてッ!」
アーヴィスが見たことの無い険しい顔で声を上げる
「…お前らに目掛けて打った銃弾は緑髪の姉ちゃんの目に当たった。あの銃弾には毒が仕込まれてる。毒が入ってない状態でさえ当たれば重症を負う。そんなのが目に当たって体内にまわったら…分かるな?…即死だ。」
「…ッ!!!お前ぇえええ!」
オレは気づいたら足が動いていた
アーヴィスも銃を構えたのが目に見えた
「そんなにオレに敵意を向けたって無駄だよ。あいつらはもう…」
ドクン、とオレの心臓が大きく音を立てる
…置いてかなければよかった…!
でも後戻りはできない
思い切りナイフを相手の心臓目掛けて勢いよく刺す
何度も何度も何度も何度も
まだ足りないまだだ、こいつにはまだ必要だ
目の前が真っ赤に染まる
血飛沫が顔に思いっきりかかる
そんなのも気にせずにオレは刺しては抜いてを繰り返す
「…ん、…ラく…!…ステラくんッ!!」
ハッと目が覚めてアーヴィスの声がした方向を見やる
なんとも言えない表情で口をきゅっと結んでオレの肩を掴んでるアーヴィスがいた
「許せないのは分かるよ…ッ、でも…今のステラくん怖いよぉ…ッ」
━━━━━━━━━怖い。
そういえば、オレは一時期咲希の状態が悪化したとき、笑顔を作れないときがあった。
「天馬くんってなんか前と変わっちゃったよね」
「またすぐ戻るんじゃない?」
「でもなんか……怖い、よね。」
怖い。
「なー…あいつ、なんか怖くね…?」
「あーわかる。急に無表情になってホラーかよってなる」
怖い。
「あの人なんか怖くない…?」
「怖いから笑顔を作って」
「こっわ…」
「死んだような顔してる…怖…」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
オレは……
気づいたらオレはアーヴィスのことを抱きしめていた
「…ッステラく…ッ!」
「すまん…、オレが悪かった。だから…怖いって言わないでくれ…」
「ステラくん…」
sideアーヴィス
「ステラくん…」
震えてる。
そういえば前、怖いって言葉でトラウマできたことがあるって話してくれたよね…
ごめんね、あたしそんなことも考えずに…
そっとあたしも抱きしめ返す。
わんだほいしにぎゅーってしたことはあるけど、改めてこうやって男の人と抱き合うのって初めてかも…ッ!
今更ながらも恥ずかしくなってきた
けどステラくんがあたしを信用してくれるのが嬉しかった
…ステラくん、泣いてる
あたしと、みんなの前では
弱みも見せていいんだよ
でも、あいつだけは、あたしも許せない
だから、一緒に復讐しよう。
.*・゚ .゚・*.
「ねね…ッ」
どうしよう
今の僕に何が出来る
でも寧々の鼓動はもう聞こえない
まずい
どうすれば
その時、背中に強い痛みを感じた
「ぐ…ッげほ、ッかは…ッ 」
何か固いもの背中を思い切り叩かれたようだ
カチャ、と金属の音がした
冷や汗がつたう
「だれだ…ッ」
「これで気絶しないとは、珍しいな」
「…ッ、いいから答え…ッ」
「答える間もないだろう」
背後で引き金を引く音が聞こえた
撃たれる。
でも寧々を抱えてる状態で避けることなんて不可能だ
背中にも痛みが残っている
なんで…ッなんでこんなに計画的にしとめられてる?
今までこんなこと…!
パァンッ!!
目を瞑った
完全に撃たれた
そう思ったが、おそるおそる目を開けると痛みがなかった
でも次の瞬間目を今までに無いくらい見開いた
寧々が、
動かなくなったはずのシレイニーが背後で銃を持つ男の前に立ちはだかっていた
そのまま、シレイニーは僕をかばって撃たれ、
力無く倒れた。
「…ぇ、え…?」
僕は掠れた声を漏らすことしか出来なかった。
コメント
6件
いやーー!!寧々ちゃーーん!!許さない...