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『シロさんもナナさんも、後半忙しいんだもんなぁ~……正直言うと、物凄く辛ぇ。何が辛いって、せっかくの夏休みなのに男三人でゲーム三昧がツレェ』
『黙れグレェェェ! 貴様男の友情を何だと思っている!』
『うっるせ。ていうか本音で言えば、お前だって二人と一緒にガンサバやりたいだろうが』
『当たり前だぁぁぁ!』
「『うるっさ』」
ガンサバからログアウトした後、男三人で通話を繋ぎながら各々別の作業をしていた。
とはいえ、暇になった時間を使って何となく話している程度だけど。
「二人はバイトの予定とか大丈夫なの? 今度のイベントは、ちゃんと予定組もうかなって思ってるんだけど」
もうすぐ始まる、賞金首イベント。
コレに関しては……とにかく、プレイヤー側が忙しくなるのだ。
一度に参加出来る人数は5人までというパーティ戦を、プレイヤー同士で随時ランダムマッチ。
これ等でポイントを貯めて、運営に申請。
その後向こうから、賞金首への挑戦権が送られて来ると言う。
相手がランダムで良いのなら、それなりのポイントで済むが。
そっちでは平気で後日の挑戦権が送られて来たりするらしい。
なるべく早く、そして多くの賞金首との戦闘を望むのなら。
より多くのプレイヤー達に勝利し、とにかくポイントを集め。
“指名”挑戦権を買ってから、狙った賞金首に挑む。
こっちならなるべく早い段階でマッチ出来る。
だが相手は、賞金首は中身の居る“プレイヤー”なのだ。
いくらVRだと言っても、一日中無休で戦い続ける訳じゃない。
しかもそれなりの期間を設けているので、全員が全員毎日戦える訳では無いのだ。
だからこそ、かなり計画的に進めないと……とてもじゃないけど、“目立つ”事は出来ないだろう。
『バイトはまぁ、いつも通りボチボチだな。この前送ったシフト通りかなぁ~ヘルプがなければ』
『俺の方は、一発でドカンと来るヤツにいくつか申し込んだだけだからな。今のところ共有した日数から変更はない! 筈だ!』
「了解。でも本当に良いの? 挑戦予定、俺が組んじゃって。二人がどうしても拘りたい相手とか居れば、遠慮なく言ってね?」
こういう所は、本当に二人に感謝というか。
むしろ俺が“やりたい事”に、全力で乗っかってくれたのだ。
だからこそシロさんとナナさんが居ない時は、新しい連携さえ挑戦している訳だし。
『やはりシックス! と、言いたい所だが。今回はクロに一任しようではないか。我は、男の友情を大事にする漢だからな!』
「うん……ありがと、本当に」
『マジで感謝した声を返すな気持ち悪い!』
「おい、友情何処行ったの」
相も変わらず、出っ歯は煩いけど。
『むしろ予定全部任せちゃってすまんな。んで……そろそろ教えろよ。クロ、今回の“お前のお目当て”は誰よ』
グレーの方も、そこばっかりは流石に気になっている様子で。
そして本番も近くなってきているからこそ、ワクワクした様子を見せているのは間違いない。
俺の予想、シックスの正体は白川さん。
だからこそ、彼女の前ではあまりこういう話を出さない様にしていたのだが。
更に言えばここ最近気になって来た事、彼女と同じタイミングで忙しくなると言っていたナナさん。
彼女は動画配信者だという事は知っているが……少し調べてみた所、どうやら夏休み後半はそっちが忙しいと言う訳では無く。
むしろ配信の方も、後半は放送頻度が下がると告知している程。
こっちに関しては、完全に俺の妄想にも近くなってくるのだが……彼女の正体もまた、賞金首なのでは?
ここ最近見せる様になって来た、大袈裟な程のアクション。
しかしそれが綺麗に戦場に一致する、“普通の人”なら絶対に無理だと思える動き。
あれを見る度に思い出すのだ。
賞金首の7番目、“seven”を。
これ等の意味も含め、そして相手に俺等3人の連携を見せない為にも。
グレーと出っ歯には、ここ最近の項目はとにかく秘密にしてもらっている。
どうしたって“白川さんの関係者”って事で、俺が勝手に疑っているだけの線はあり得るのだが。
「今回俺が狙ってるのは……“全員”、だよ」
『なっ!?』
『へぇ……やるぅ』
兄貴から教わった、11番目の賞金首を選抜する為の企画。
多分それの選別に、今回のイベントが用意されたのではないか?
だからこその、少人数のパーティという人数制限。
より目立ち、そして成果を収める為には……今居る賞金首を、全員狩る。
それが叶えば、間違いなく運営は俺達のパーティに注目する筈だ。
とんでもない夢物語だって、分かっては居るのだが。
それでも。
例え周りから無理だと笑われても……俺は、その席を目指したい。
仲間に頼って、情けないと後ろ指を指されたとしても。
これら全てが“実績”となり、更にはソレを認めてくれる可能性があるのなら。
この夏に、俺は“勝ち取りたい”のだ。
付き合わせちゃうみたいで、友人二人には申し訳ないんだけど……なんて、思っていたのだが。
『よく言ったクロ! そうだ、漢ならそれくらい言わなければな! 我々はナンバーズキラー! 全ての賞金首を蹴散らして、その頂点に立ってやろうではないか!』
『であれば、トリオパーティの訓練ももうちょっと時間増やすか。それに、全員同じ戦法で勝てる訳がない……戦術、もっと増やした方が良くね?』
それこそ笑われたりとか、無理だって否定的な言葉の一つでも飛び出すかと思ったのだが。
出っ歯もグレーも、全く否定の声を上げなかった。
ホント、なんて言うか……俺は、友人に恵まれた気がする。
急に合宿へ誘っても一緒に来てくれるし、こうして無茶を言っても付き合ってくれるんだから。
もしも前回の遠征が俺一人だった場合……多分、何も得られずに帰って来たんじゃないかな。
それを考えたら、一緒に来てくれた全員に感謝しか無いと言うものだ。
「ありがと、二人共。俺が考えた攻め方の資料も共有するから、後で確認して。それから……賞金首の前に、一般のプレイヤーに勝たないとそもそもポイントが貯められない。そっちでも、気を抜けないから。物凄く忙しくなると思うけど……良い?」
『モチのロンだ! この夏に、全力で魂を燃やそうでは無いか! 俺達は、ガンサバに名を残すプレイヤーになるぞ!』
『ま、やるだけやってみるさ。どーせバイトとゲーム以外、予定なんか無いからなっと~』
という事で、その日は遅くまで三人で話し合う事になってしまった。
昼間は皆で遊んで、夕方から兄貴に指導してもらって。
夜にはこんな作戦会議をしているんだから、何と言うか。
俺の夏休み、相当ゲーム三昧だよね……。
傍から見たら、もう少し有意義に時間を使いなさいよって言われそうだけど。
それでも、今やりたい事は……やっぱり、コレなので。
でも、今の内にやっておきたい事がもう一つ。
「忙しくなる前に……どうにか……」
『ん? どした、クロ』
「あ、いや。何でもないよ? ホント、何でもない」
俺の机に置きっぱなしになっている、ゴツイハンドガンケース。
この中には、白川さんに渡そうと思っているソレが入っているのだが……。
あの、ですね。
プレゼントって、どうやって女の子に渡したら良いんですか?
「ね、ねぇ二人共……もしも、というか。物凄く妄想垂れ流しの話で良いんだけどさ……二人だったら、女の子にプレゼント渡す時って……どうする?」
本当に何となくと言うか、俺だけでは答えが出てこなそうだったので。
お二人にも、意見を貰おうかなって思っただけなのだが。
『俺等にソレを聞くのかよ……って感じではあるけど。俺だったら多分どう頑張っても格好良くならねぇから、とにかく“やる”とか言って無理にでも渡しちゃいそうだなぁ』
と、グレーさんは仰いましたよと。
すると。
『フッ! その程度何でもないわ! スタイリッシュに登場して、コレを君に……とイケボで言ってから渡し、すぐさま去れば良いのだ!』
「『現実を見て?』」
『妄想垂れ流しで良いって言ってたじゃないですかぁぁぁ!? どうしてそこで急にリアルを見せるんですか!? 男の友情は無かったんですかぁぁぁ!?』
「『うるっさ……』」
とりあえず、出っ歯はいつも通りだった。
はぁ……そうなると、ホントどうするべきかな。
賞金首イベントも近いから、白川さんが忙しくなる前にどうにかしたい所なのだが――
『つっても、シロさんなら大丈夫じゃね? 遠慮はするだろうけど、お前が渡すなら何とかなるだろ』
『フンッ! それこそ今更だな! 男ならスパッと行くが良い、なぁにをいつまでもウジウジやっているのか』
「だからソレが簡単に出来たら、こんな苦労してないって……ん? 待った。なんで普通に白川さんの名前出て来たの?」
『『え、違うの?』』
「ぃぇ、合ってるんですケドね……?」
いや、ね? こう、ね?
物凄く自然にバレてらっしゃいますけども。
何だコレ滅茶苦茶恥ずかしいじゃん!
俺って、そんなに分かりやすいかな!?
何かを秘密にする事、こんなに苦手な人だっけ!?
コメント
1件
お疲れさま!第163話読んだよー! いやー、男三人でゲーム三昧の夏、めっちゃ良いな!クロが「全員」狙うって宣言した時の流れ、グレーも出っ歯も即座に乗ってくれて、ホント良い仲間だなって思ったわ。友情ってこういうことよな。 で、最後のプレゼントの話!「なんで白川さんの名前出てきたの?」からの「え、違うの?」の流れ、草。バレバレすぎて笑ったけど、そういう初心なクロも可愛いじゃん。夏のイベント、全力で頑張ってくれ!応援してる🔥
しるあっと
1,500
柘榴とAI

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柘榴とAI

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