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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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『白川さん、急にすみません。そろそろ忙しくなる時期だと分かってはいるんですけど……近い内に、少し時間を頂けないでしょうか?』
朝、急に黒沢君からメールが来た。
なんだかいつもとは違うと言うか、普段より随分と固い印象だったので。
「あっ、えっと。もしもし、白川ですけども……黒沢君?」
ちょっと心配になってしまい、そのまま電話を掛けてしまった。
結果、なんだか向こうから凄く慌てた声が返って来て。
『も、もしもし!? ま、まさか電話くれるとは思わなくて……驚いた』
「ぇと、すみません……何だかいつもと違ったので、何かあったのかなって。少し心配になってしまったので」
『こ、こっちこそごめん! 夏休みの後半は忙しくなるって聞いてたのに、迷惑じゃなかっ――』
『こらぁ現太! アンタ早くご飯食べちゃいなさい!』
『ちょいちょいちょい! 今弟は将来の嫁候補と電話中! 母さんもう少し声を抑えて――』
なんか、後ろから色々聞こえてきます。
最後に聞えて来たの、9Kかな……?
『ご、ごめん……騒がしくしてしまいまして』
「いえいえいえ! こちらこそ! また、時間を置いてから連絡した方が……良い、ですよね?」
というのも、こっちも料理中だったりする訳で。
本日はお兄ちゃんもお休みなので、ちょっと遅い時間に朝食。
とは言っても既に作り終わっており、後は食卓に運ぶだけなんだけど。
『えと! まだ予定的に大丈夫だったら……で、良いんだけど。午前中とか、少しガンサバに入れる? ホント、すぐ済む用事だから……』
「ガンサバですか? わかりました。こっちも用事を終わらせたらすぐログインしますね」
どうやら用事というのはゲームの事だったらしく、これと言って何か問題が起きた訳では無さそうだ。
思わずホッと息を零してから、約束だけ取り付けて通話を切った。
「夢月、どうした?」
キッチンから私の声が聞こえた事を不審に思ったのか、兄がひょこっと顔を出して来たけど。
「ううん、何でもない。今日の買い物、少しだけ時間をズラして良い? 友達が、少しガンサバにログインして欲しいんだってさ。すぐ済むって言ってたけど」
「それは構わないけど……また、黒沢君か?」
「うっ!? ……ハイ、ソウデス」
私が友達と言うと、イコール黒沢君ってすぐバレるのもどうなのだろう。
それだけ私の友好関係が狭いって事を意味すると同時に、男女間って事もありお兄ちゃんもちょっと微妙な反応をするので。
此方としては、何となく恥ずかしくなってしまうのだが。
「お前からしたら口煩いって思われるかもしれないけど……ちゃんと、気をつけるんだぞ? 夢月は女の子なんだからな?」
「し、心配し過ぎだよお兄ちゃん。大丈夫だってば、特に黒沢君なら。でも、ありがと。ちゃんと気を付けます」
そんな会話をしてから、一緒に朝食を運び始めるのであった。
でもホント、改めてどうしたんだろう?
急ぎの用事じゃないのなら、こんな風に連絡してくるとは思えないんだけども。
◆
「試しに、で……良いんだけど。ソレ、使ってみてくれない?」
「え、あ、え? 良いんですか? こんな凄いのをお借りしちゃって……」
「ぁ、いえ……一応、プレゼントです……もう、所有権、シロさんに移してあります……」
「へぁっ!?」
ものっ凄く変な声を上げてしまったけども。
だって、渡されたのが……見ただけでも凄くカスタムされていると分かる、ハンドガン。
ガンサバってレアパーツなんかはドロップ扱いだから、本当に小さなパーツ一つでもレアなモノは凄く貴重なのだ。
店売りされている物や課金という手段だってある訳だが、それじゃ手に入らない品は数多くある。
私だってガンサバプレイヤーなのだ、そういう項目に一応目は通してあるけど。
この銃に使われているパーツ、見た事が無い品がかなり沢山使われている気がする。
「い、頂けません! こんな凄いの! 絶対クロさんが使った方が良いです!」
「いや、そのぉ……ですね。それは“オマケ”と言いますか……シロさんに“試して”欲しいから作ったと言うか。ホ、ホラ。俺はハンドガンなら“こっち”があるし」
そう言って腰のホルスターから、昔の6keyが愛用していたハンドガンを見せる。
アレを掴んでいる黒沢君っていう光景に、未だに慣れない気はするけども。
なんて言うか……やっぱり、似合ってる気がする。
私のメインキャラとはもちろん雰囲気は違うんだけど、彼が掴んでいると本当に特殊部隊の人って感じがして格好良いと思います。
そして、今回渡されたハンドガン。
こちらも、その銃に負けないぐらい派手というか。
凄く格好良かった。
更に言うなら……これは、“私の為”に黒沢君が組んでくれた様なので。
「で、であれば……えっと。使ってみても……良いですか? でもちゃんとお礼はしますからね!? 何が欲しいのか、ちゃんと考えておいて下さいね!? 今度お出かけした時、しっかりお礼しますからね!」
「わ、わかりました!」
そんな訳で、また黒沢君からハンドガンを頂いてしまった。
ガンサバで46leatherを作った初日、彼から頂いた銃を未だに愛用しているので。
こっちもまた、随分と愛着が湧いているんだけど。
何となくあの時の事を思い出してしまって、ふにゃっと表情が緩んだのが自分でも分かる。
初めて友達が出来たって、一緒にゲームが出来る人が、同じ事をして遊べる人が出来たんだって。
そう実感した気がして、凄く嬉しかったんだ。
そして今回もまた、というかもう一度。
あの時と同じ気持ちがぶり返して来て、思わず頂いた銃に指先を触れてフフッと変な笑い声を洩らしていると。
「何だか、最初の頃みたいだね」
「ぇ、えとっ! あはは……私も今、それを思い出してました。ありがとうございます、本当に。アレからずっと、私は“楽しい”を貰ってばかりです」
「そういう事なら、此方こそ。でもシロさん? 街中で銃を出してると、どうなるんだっけ?」
「ハッ! すぐホルスターに仕舞う、ですね!」
慌てて新しく頂いた銃を、隠す様にして腰の後ろへと装備するのであった。
などとやっていれば、二人してプッと吹き出してしまった。
何だか本当に、あの頃に戻ったみたいだ。
銃のゲームは初めてで、あっちもこっちも全然分からない事だらけで。
ずっとずっと、色んな事をこの人から教えてもらってばかり。
色んな楽しさを教えてもらって、リアルでもたくさんお話してくれて。
そんな人に支えられていたから、私も6keyという賞金首を頑張れたのだろう。
前までの私だったら、多分イベントの度にヒーヒー言い続けて、何度か経験した後に逃げ出していた可能性だってあるのだ。
でも、このゲームは凄く楽しいから。
裏でも表でも、色んな意味で私をワクワクさせてくれる事がいっぱいだから。
そして何より、いっぱい一緒にゲームしてくれる友達だって出来たから。
多分今年の私は、人生の中で一番幸せな瞬間を味わい続けているのだろう。
「それじゃ、一回ソレを試す為に射撃場に行こうか。それから……午後に、ちょっとだけ。本当にちょっとだけで良いんだけど……時間って、取れたりする?」
「はい、大丈夫だと思います。食材とかのお買い物に行くので、その前か後なら。どこかのステージ攻略とかですか?」
とりあえず頂いた銃を試してみたくて、ソワソワしながら彼と一緒に歩き始めてみれば。
相手は、ちょっとだけポリポリと頬を掻いた後。
「出来れば……その、リアルで。でも本当に、時間とか取らせないので! ホントすぐ済む用事なので!」
「えと、はぁ。分かり、ました? 今日はお兄ちゃんもお休みなので、もしかしたら送迎とか頼めるかもしれません」
「うっ!? いや、そうだな……うん。もしもお兄さんが良いって言ってくれたら、是非そうしてもらおう。前回の事もあるし、無理だったら俺がバイクで迎えに行くから」
「それはちょっと申し訳ないというか……黒沢君も、ちょっと心配性です」
なんか、勢いが凄いけども。
やっぱり、忙しい用事だったりするのだろうか?
兎にも角にも、私達は一旦射撃場へと向かって新しいハンドガンを試した。
お、おぉぉ……カスタム拳銃って、賞金首装備以外では初めて触ったに等しいんだけど。
凄い、これは凄い銃だって分かる。
そんな事をやりつつ、お昼の時間までは黒沢君と一緒にガンサバ内で過ごすのであった。
コメント
1件
え〜〜!!第164話、読み終わったよ〜!!💕💕 朝から黒沢くんの急なメール、しかも電話しちゃうシロさんかわいすぎるんだけど!?!?😭💖 お互い料理中で、後ろからお母さんと弟くんの声が聞こえてくるのがめっちゃリアルで和んだよ〜 そしてそして…新しいハンドガンプレゼント!!しかも「試してほしい」って照れながら渡す黒沢くん、もう完全に恋する男子じゃん…!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!? あっ、興奮しすぎて取り乱した!!ごめん!!(笑) でも本当に、最初の頃を思い出すシーンがエモすぎてやばいよ…「楽しいを貰ってばかり」ってシロさんの言葉に、こっちまでじーんとしちゃった😢💕 二人の関係が変わらず温かいのが伝わってきて、読んでて幸せな気持ちになれる回だったよ! 次回、リアルで会う話も出てきて続きが気になりすぎる…! お兄ちゃんの登場も含めて、次はどうなるんだろ〜〜!!✨