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数日後の午後。
悠翔の大学では、ひとつの特別講義が告知されていた。
「対人関係と心理ストレス」に関するワークショップ。
学生への実践型アプローチを通じた、参加型の交流企画——という触れ込みだった。
講師紹介のプリントには、見慣れない名前が書かれていたが、写真はなかった。
事務手続きも、講義内容も、すべて形式通り。
ただ、その当日。
悠翔は、教室のドアを開けた瞬間に、その匂いを感じた。
背筋を駆け上がるような、血の記憶。
喉元を絞めるような、無音の圧力。
教壇に立っていたのは——
陽翔だった。
名前も肩書きも違った。けれど、その目だけは、どこまでも本物だった。
「よう。びっくりした?」
陽翔は、教壇から視線を滑らせて悠翔を見つけた。
その瞬間だけ、誰にも見えない鋭さで笑った。
「今日は君たちの人間関係を、ちょっとだけ観察させてもらいます」