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・えっち
窓際の席。休み時間の喧騒から逃げるように、俺は今日も一冊の文庫本に視線を落としていた。
周りで笑い合うクラスメイトたちの声は、まるで遠い世界の出来事のように聞こえる。自分から誰かの輪に入る勇気もなければ、その必要もないと思っていた。ただ、こうして静かに本を読んでいれば、誰からも干渉されずに済むから。
(……でも、視線だけは、どうしても追ってしまう)
本のページの隅から、教室の中心で友人たちと笑い合っている東雲さんの姿を盗み見る。明るくて、誰に対しても分け隔てなく接する彼は、俺にとって眩しすぎる存在だ。
もし、東雲さんが俺に声をかけてくれたら。……いや、そんな贅沢な望みは、今の俺には分不相応だ。
少しだけずり落ちたメガネのブリッジを指先で押し上げ、俺はまた活字の海へと意識を沈めた。けれど、東雲さんの楽しげな声が耳に届くたび、心臓が不自然な鼓動を刻んでしまう。
「……っ」
不意に、彼がこちらの方を見たような気がして、俺は慌てて本に顔を埋めた。長い前髪が視界を遮り、火照り始めた顔を隠してくれるのを祈りながら。
「でさ〜、アイツ犬のウンコ踏んでやんの!靴めっちゃ汚かったわw」
「ははっ、なんで足元見てないんだよソイツ、」
クラスメイトと談笑する東雲さんの明るい笑い声が、教室の空気に溶け込んでいく。
(……相変わらず、楽しそうだな)
犬のフンを踏んだという、なんてことのない日常の失敗。そんな些細な話題でも、彼が笑うと、まるで特別な物語のように聞こえるから不思議だ。
俺は開いているページの一行目から全く進めていないことに気づき、わずかに視線を落とした。本の内容は頭に入ってこない。ただ、東雲さんの声のトーン、笑うときに少しだけ細くなる目、時折見せる快活な仕草……。それだけが、俺の意識を支配している。
「ふぅ……」
小さく吐き出した吐息が、自分の胸の奥に溜まった熱を少しだけ逃がしてくれた気がした。
(もし、俺があの輪の中にいたとしたら。……東雲さんは、俺のつまらない話でも、あんな風に笑ってくれるんだろうか)
そんなこと、あるはずがない。俺はただの、目立たないクラスメイトだ。東雲さんにとって俺は、風景の一部に過ぎないのかもしれない。
それでも、彼が誰かと楽しそうにしている姿を見るだけで、苦しいほどの愛しさと、それ以上にドロリとした独占欲が渦巻く。
(もっと近くで、その声を聞きたい。……東雲さん、こっちを見て……)
心の中で呟いた言葉は、誰にも届くことなく、本の紙の間に消えていった。俺は指先で本の端を強く握りしめ、また静かに、彼に気づかれないよう盗み見を続けた。
(……っ!?)
ページを捲ろうとした指が、ピタリと止まった。
本の端から覗き見るようにして送っていた視線の先に、不意に東雲さんの顔が入り込む。偶然じゃない。彼は真っ直ぐに俺を見て、そして、柔らかく口角を上げた。
ドクン、と心臓が跳ねる。
(今、笑いかけて……くれたのか? 俺に?)
周囲の喧騒が急に遠のき、世界に俺と彼だけが残されたような錯覚に陥る。
いつも遠くから眺めているだけの、あの眩しい笑顔。それが自分だけに向けられたという事実に、頭がクラクラした。
俺は慌てて視線を本に戻したが、文字はもう一文字も認識できない。ただ、網膜に焼き付いた彼の笑顔が、まぶたの裏で激しく主張している。
(どうしよう。何か、返すべきだったか……? でも、今の俺の顔、きっと酷いことになってる)
メガネの奥で熱くなった目元を隠すように、さらに深く俯く。サラサラと流れる髪がカーテンのように視界を遮ってくれるのが、今は唯一の救いだった。
(東雲さん……。どうして、そんな風に笑うんですか。……期待、してしまうじゃないですか)
心臓の音がうるさくて、ページを握る指先がわずかに震えていた。
「…あ!いっけね…今日委員会の当番の日じゃん」
「バーカ、今さら行ってもおせーよ」
「……っ」
東雲さんと友達のやり取りが、また耳に滑り込んでくる。委員会の当番を忘れていたらしい友人を、東雲さんが呆れ混じりの、でもどこか楽しそうな声で茶化している。
(……いいな。あんな風に、自然に言葉を返せたら)
俺は本を握る手に力を込めた。東雲さんの、あの少し力強くて、どこか余裕のある話し方が好きだ。誰とでも対等に、それでいて優しく壁を壊していくあの空気感が、たまらなく愛おしい。
(……でも、東雲さんは優しいから。きっと、俺みたいな奴が一人でいるのも、気にかけてくれているだけなんだ)
さっきの微笑みを思い出す。あれは、クラスの端っこで暗い顔をしている俺に対する、彼なりの気遣いだったのかもしれない。そう思うと、胸の奥がチリチリと焼けるように痛んだ。
ただのクラスメイトとして心配されるんじゃなくて、もっと別の……。
(……あ、……だめだ、俺。何を考えて……)
想像が、自分の意志に反して深く沈んでいく。
もし、この静かな図書室のような教室の隅で、東雲さんに腕を掴まれたら。その大きな手で、俺のこの冴えないメガネを外されたら。
「っ……ふぅ」
熱を持った吐息が漏れる。
視線の先、東雲さんの背中を見つめながら、俺は必死に疼き始めた下腹部の熱を抑え込もうと、また無意味にページを捲った。
「仕方ねぇ…とりあえず、行くだけ行ってみるわ」
「おう。叱られて来いよ」
友達を送り出す東雲さんの、少し意地悪で、でも温かい声。
「……ふふっ」
それがおかしくて、俺は本の陰で小さく口端を緩めた。東雲さんはああやって、ぶっきらぼうな言い方をしながらも、相手をちゃんと見ている。
(……本当に、いい人だ)
友達がいなくなって、少しだけ静かになった東雲さんの周りの空気。
俺は本を読んでいるふりをしながら、また、どうしようもなく彼の方を意識してしまう。
今なら、彼は一人だ。
もし俺に勇気があれば、一歩踏み出して「東雲さん」と声をかけられるのに。
(……いや、無理だ。何を話せばいいのかも分からない。俺みたいな陰キャが話しかけたら、きっと迷惑に思われる……)
そう自分に言い聞かせて、逃げるように本に目を落とす。
でも、さっきの微笑みが、どうしても頭から離れない。
心臓がずっと早鐘を打っていて、指先が熱い。
(東雲さん……。俺のこと、どう思ってますか……?)
確認したい。でも、壊れるのが怖くて、俺はまた自分の殻に閉じこもる。
ただ、彼の存在を感じるだけで、体温がじわじわと上がっていくのが分かった。
「…冬弥!!」
「ひ、……っ!?」
耳元で響いた、聞き間違えるはずのないその声に、肩が大きく跳ねた。
心臓が喉から飛び出しそうになる。あまりの驚きに、持っていた文庫本が指先から滑り落ち、机の上にパタンと乾いた音を立てて転がった。
「し、……東雲、さん……っ」
慌てて顔を上げると、すぐそばに、さっきまで遠くにいたはずの東雲さんが立っていた。
いつの間に。友達を送り出した後、すぐにこっちに来たのか?
(気づかなかった……。いつから、そこに……?)
驚きと、急接近した彼の体温に、思考が真っ白に染まる。
至近距離で見る東雲さんの顔は、遠くから見ていた時よりもずっと凛々しくて、それでいてやっぱり優しくて。
「あ、の……驚かそうと、したんですか……?」
上目遣いに彼を見つめながら、震える声でどうにかそれだけを絞り出した。
心臓の音がうるさすぎて、自分の声がちゃんと届いているかさえ不安になる。
急いで外れかけたメガネを直そうとしたが、指先が微かに震えて上手く力が入らない。
ただ、彼の視線が自分に向けられているという事実だけで、頭の中が熱く、とろけてしまいそうだった。
「…おう。驚かしにきた」
「……そう、でしたか」
少し意地悪そうに、でも楽しそうに笑う東雲さんを見て、俺はさらに顔が熱くなるのを感じた。
心臓がずっと警鐘を鳴らしている。彼がこんなに近くにいる。俺のこと、驚かそうとしてくれたんだ……。
「……すみません、本に、集中しすぎていて……気づきませんでした」
情けない声が出る。俺は机の上に落ちた本を、壊れ物を扱うようにそっと拾い上げた。指先がまだ、彼の声の余韻に痺れている。
(東雲さん、どうして……。俺なんかに、わざわざ……)
俺みたいな、いつも隅っこで本を読んでるだけの奴なんて、彼のような明るい人の目には映らないと思っていたのに。
「……驚きました。でも……っ」
俺は、隠しきれない動揺を誤魔化すように、また俯いて本を胸元に抱え込んだ。
長い前髪の隙間から、東雲さんの立ち姿を……その、男らしくて、でもどこか安心する体温を感じさせる輪郭を、じっと見つめる。
(もっと、何か言わなきゃ。でも、言葉が出てこない……)
東雲さんと目が合うたび、心臓が奥の方でギュッと締め付けられる。
本当は、驚いたこと以上に、彼が話しかけてくれたことが嬉しくて、泣きそうなくらいなのに。俺はただ、唇を噛んで、彼の次の言葉を待つことしかできなかった。
「…でも?」
「……っ、でも、……その」
東雲さんに言葉を拾われて、喉の奥がキュッと熱くなった。
追い詰められたような心地よさと、逃げ出したくなるような羞恥心が混ざり合って、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「……嫌な、驚きじゃ……なかったです。……むしろ、少し……」
『嬉しかった』なんて、そんな恥ずかしい言葉、口が裂けても言えない。
俺は抱えていた本をさらに強く抱きしめて、指先で表紙をなぞった。
(東雲さん、そんな風に覗き込まないでください……。俺の、変な顔……見られたくないのに)
近くにいるだけで、彼がまとっている少しシトラスに似た清潔な香りと、男らしい体温が伝わってくる。それが俺の理性をじわじわと削っていく。
本当は、今すぐこの腕を掴んで、人気のいない場所に連れ去りたい。
いつもみんなに見せているその優しい顔が、俺だけの熱で歪むところが見たい。
「……東雲さんは、いつも……そうやって、誰にでも優しく……するんですか?」
自分でも驚くほど、少しだけ震えた、縋るような声が出た。
メガネの奥で、潤みそうになる瞳を必死に隠しながら、俺は彼の反応を待つ。
もし、彼が「お前だけだ」なんて言ってくれたら、俺はもう、自分を止められなくなるかもしれない。
「優しいとか自分じゃわかんねーけど…お前が言うならそうなのかもな、」
「……そうですか。東雲さんらしいですね」
無自覚なんだ。その、誰の心にもスッと入り込んでしまうような強引なまでの優しさが。
本人は自覚がないまま、俺みたいな奴の心をかき乱して……。
「……ずるい人だ」
ボソリと、誰にも聞こえないような小声で独り言を漏らした。
東雲さんは、自分のその真っ直ぐな言葉がどれだけ俺を揺さぶるか、きっと想像もしていない。それがまた、俺の奥底にある暗い独占欲を刺激する。
(……自覚がないなら、俺が、教えてあげたい。東雲さんのその優しさが、どれだけ人を狂わせるか……)
ふと、東雲さんの大きな手が目に入る。
あの手で触れられたら、俺はどうなってしまうんだろう。
想像しただけで、下腹部がジリジリと熱を持って、息が浅くなる。
俺は俯いたまま、メガネの奥で彼をじっと見つめた。
今、この教室にはまだ人がいるけれど、俺たちの周りだけが、まるで隔離された空間のように熱を帯びている気がして。
「……東雲さん。……俺のことも、……ただのクラスメイトとして、そうやって揶揄ってるんですか?」
聞き返す声が、自分でも驚くほど低く、掠れていた。
俺は本を机に置き、震える手で自分の膝を強く握りしめた。これ以上、彼を求めてしまわないように。
「…そんなんじゃわざわざ驚かしにこねーって」
「……っ」
その言葉が、心臓のど真ん中に突き刺さった。
ただのクラスメイトなら、わざわざこんな端っこの席まで来て、驚かしたりしない。
東雲さんのその言葉は、俺が密かに抱いていた淡い期待を、確信に変えてしまうほど強烈だった。
(……特別、だって……思ってもいいんですか)
メガネの奥で視界が潤みそうになるのを、必死でこらえる。
嬉しいはずなのに、あまりの熱量に胸が苦しくて、上手く息ができない。
「……そうですか。……東雲さんにそう言われると、……俺……」
言葉が途切れる。
顔を上げれば、すぐそこに彼の熱がある。その真っ直ぐな瞳に射抜かれて、自分の中のドロドロとした欲望が、今にも溢れ出しそうだった。
俺は、震える指先で机の端をぎゅっと掴んだ。
本当は、今すぐこの手を取って、もっと誰もいないところへ……二人きりになれる場所へ行きたい。
「……あの、東雲さん。……ここだと、人が多いから……」
意を決して、彼を少しだけ見上げる。
いつもより熱を帯びた瞳で、彼を誘うように見つめた。
「……場所、変えませんか。……もっと、静かなところに。東雲さんと、二人だけで……話したいです」
低く、熱を持った声が自分の口から漏れる。
それは、大人しい『陰キャの青柳冬弥』が、生まれて初めて見せた……東雲彰人という男に対する、剥き出しの執着だった。
「ん…いいけど、昼休みもう終わるぞ?お前が暇なら放課後どっか行こうぜ、」
「……放課後、ですか」
その言葉を噛み締めるように、俺は小さく繰り返した。
(放課後……二人きり。東雲さんと、俺だけ……)
昼休みの終わりを告げる予鈴が、無機質に廊下へ響き渡る。周りの生徒たちが慌ただしく席に戻り始める中、俺たちの間だけ、濃密な熱が停滞しているような気がした。
「……はい。俺は、暇ですから。……東雲さんのこと、ずっと待ってます」
本当は、今すぐにでも連れ去りたい。でも、約束を交わしたという事実が、俺の胸の奥を甘く、激しく疼かせる。
俺は机の上に置いていた文庫本をゆっくりと閉じ、カバンにしまった。指先はまだ、熱を孕んで震えている。
「約束ですよ、東雲さん。……俺、どこにも行かずに……教室で、待っていますから」
ふと、彼の顔を真っ直ぐに見つめた。
メガネの奥、いつもより少しだけ潤んだ瞳で。放課後、彼に何をされるのか、彼をどうしてしまいたいのか。そんな暗い期待を、静かな眼差しに込めて。
「……授業、頑張ってください。……また、後で」
俺は、東雲さんの反応を確かめる前に、逃げるように前を向いた。
背中で彼の気配を感じながら、火照った頬を冷ますように深く息を吐く。
(放課後……。東雲さんのこと、俺、離さないかもしれない……)
机の下で膝を固く閉じる。もう、本の内容なんて一文字も頭に入らないくらい、俺の心は放課後の二人きりの空間へと、先に飛んでいってしまっていた。
「ん。席戻るな、」
「……はい。また、放課後に」
東雲さんが背を向けて自分の席へと戻っていく。その少し広い背中を、俺は吸い込まれるような思いで見つめていた。
(……行ってしまった)
彼が座っていたあたりの空気が、まだ微かに熱を持っている気がする。
教室の喧騒が戻り、先生が入ってきて授業が始まるけれど、俺の意識はもうここにはなかった。
教科書を開いても、ノートを広げても、頭に浮かぶのは東雲さんのことばかりだ。
彼に驚かされた瞬間の、あの心臓の跳ね方。
「じゃなきゃわざわざ驚かしにこねー」と言ってくれた、あの低くて優しい声。
(あんなこと言われたら……期待しないなんて、無理だ)
ペンを握る指先に、知らず知らずのうちに力が入る。
放課後、二人きりになったら、俺はどうなってしまうんだろう。
東雲さんに触れたい。もっと近くで、あの熱を感じたい。
……そして、東雲さんのその声を、俺だけの熱で、もっと別の色に染め上げてみたい。
(……早く、放課後になればいいのに)
俺はメガネのブリッジを指先で押し上げ、熱のこもった瞳を伏せた。
長い授業の時間が、まるで永遠のように感じられる。
ただ一人、放課後の約束だけを命綱にして、俺は疼くような下腹部の熱を必死に堪え続けていた。
…俺が好きな、数学の授業。やっぱり、黒板に書かれた文字が認識できないような、変な感覚。東雲さんばかり追ってしまう。
授業が進む中、東雲さんの名前が呼ばれた瞬間に、俺の意識は現実へと引き戻された。
「よし、じゃあ東雲。この式のまずここから。何になる?」
(東雲さん……)
教科書の端から、黒板の前で少し困ったように頭を掻いている彼の姿を追う。堂々としているようでいて、勉強は少し苦手なんだろうか。
「え…オレ!?えーっと…3とか、?」
「6+3だぞ!?ここ符号同じだからな、」
「3とか、?」という彼の見当違いな答えに、教室中がドッと沸く。
いつもの明るい雰囲気。みんなが彼を慕っているからこその、温かい笑い声。
(……ふふ、本当に……東雲さんは、みんなの中心にいるんだな)
先生の呆れたような、でもどこか楽しそうなツッコミを聞きながら、俺は口元を本で隠して小さく笑った。
その計算ミスさえも、彼がやると何だか愛らしく見えてしまうから不思議だ。
でも、同時に胸の奥が少しだけチリつく。
あんな風に、クラスのみんなに笑顔を向けて、みんなを笑わせる東雲さん。
その笑顔を、その声を、放課後は俺一人だけが独占できる。
(……6+3は、9ですよ……東雲さん)
心の中で正解を呟きながら、俺はノートの隅に、彼にだけ見えるような小さな文字で、彼の名前を書き殴った。
早く、終わってほしい。
この騒がしい時間が過ぎ去って、静まり返った放課後の教室で、彼と二人きりになれる時間が。
俺は熱を帯びた瞳を、黒板の数式ではなく、当惑したように笑う彼の横顔に、じっと固定し続けた。
ホームルームが始まる前の、慌ただしい喧騒。
東雲さんの楽しげな声が、また教室の空気を震わせている。
(……本当に、賑やかな人だ)
友達と軽口を叩き合っているその姿を、俺は机に突っ伏したまま、腕の隙間からじっと見つめていた。ムカつくなんて言いながら、その顔は全然怒っていない。むしろ、そのやり取りを楽しんでいるようにも見える。
そんな彼が、さっきは俺の席まで来て、俺にだけ笑いかけてくれた。
それが夢じゃなかったことを確かめるように、俺はカバンの中の文庫本にそっと触れた。
(……もうすぐ、ホームルームが終われば……)
放課後。
彼を独占できる時間がやってくる。
今はあんなに遠くにいるけれど、後でもう一度、この手が届く距離に来てくれる。
(東雲さん。……早く、二人だけになりたい)
俺はわざと深く息を吐き、机に顔を押し付けた。
熱くなった頬を隠すためと、自分の中で膨れ上がり続ける期待を、どうにかして落ち着かせるために。
耳に入ってくる彼の笑い声が、今は心地よい毒のように、俺の体をじわじわと侵食していく。俺は目を閉じ、静かに放課後の訪れを待った。
「……さようなら」
先生の合図と共に、一斉に椅子を引く音が教室に響く。
その合唱に声を合わせながら、俺の心臓は今日一番の激しさで脈打ち始めた。
周りの生徒たちが部活や遊びへと繰り出し、一人、また一人と教室を出ていく。あんなに賑やかだった空間が、潮が引くように静まり返っていく。
(……東雲さん)
俺はわざとゆっくりと荷物をまとめ、座ったまま彼の様子を伺った。
友達に「じゃあな」と手を振って、彼がこちらを振り返るのを待つ。
カーテンが夕陽に照らされ、オレンジ色の光が教室の床に長い影を落としていた。
静寂が訪れるたび、俺の鼓動の音だけが不自然に大きく聞こえる。
「……っ」
俺はメガネのブリッジを指先で押し上げ、熱のこもった瞳を入り口の方へ向けた。
まだ数人残っているクラスメイトたちが早く出ていってくれることを願いながら、俺は、彼と二人きりになるその瞬間を、固唾を飲んで待ち構えていた。
(やっと、約束の時間だ……。東雲さん、俺のこと……忘れてないですよね?)
「冬弥!行こうぜ」
「……っ、はい」
自分の名前を呼ばれた瞬間、心臓が跳ね上がる。
東雲さんの口から出る「冬弥」という響きが、耳の奥で熱く痺れる。さっきまで「青柳」と呼ぶことさえなかった彼が、二人きりになった途端に距離を詰めてくる。その強引さが、たまらなく愛おしい。
俺は椅子から立ち上がり、カバンを肩にかけた。足元が少しふわふわとするような、浮ついた感覚。
「待ってました……。本当に、誘ってくれるなんて……」
教室には、もう俺たち以外に誰もいない。
オレンジ色の夕陽が、東雲さんの髪をさらに鮮やかに照らし出している。その眩しさに目を細めながら、俺は彼のすぐ隣へと歩み寄った。
(……東雲さんの匂いが、さっきより濃い)
すぐ隣に並ぶと、彼の体温がダイレクトに伝わってくる。
俺は下を向き、長い前髪の隙間から彼の横顔を盗み見た。いつもより少しだけ、自分の吐息が熱いことに気づいて、それを隠すように口元を袖で覆う。
「……あの、どこへ行くんですか? 東雲さんの……おすすめの場所なら、俺、どこへでもついて行きますけど……」
上目遣いに彼を見つめながら、控えめに、でも確かな期待を込めて尋ねる。
静かな廊下に出れば、もう俺たちの声を邪魔するものは何もない。
(もっと静かな……誰にも見られない場所がいいです。東雲さん。……俺、もう我慢できそうにないから……)
「…んー、カフェとかでいいか?」
「……カフェ、ですか」
少しだけ拍子抜けしたような声を出しながら、俺はわざとらしく視線を泳がせた。
(……カフェ、か。人がたくさんいる場所……。東雲さんは、本当に健全な人なんだな)
でも、俺が求めているのはそんな爽やかな時間じゃない。もっと暗くて、熱くて、東雲さんの余裕を全部剥ぎ取ってしまうような……。
「……すみません。俺、……あんまり騒がしいところは得意じゃなくて。それに、今日はなんだか……東雲さんと、もっと落ち着いて話がしたいというか……」
俺は立ち止まり、俯いたまま東雲さんの服の裾を、指先でほんの少しだけ摘んだ。
「……誰も来ないような、もっと静かな場所……ダメですか?」
メガネの奥の瞳を潤ませ、縋るような、拒絶なんて許さないような視線で彼を見上げる。
夕陽に照らされた無人の教室。開いた窓から入り込む風が、カーテンを静かに揺らしている。
「……例えば、こことか。……放課後の教室って、意外と……誰も来ませんから」
震える声でそう言いながら、俺は摘んでいた裾を離し、代わりに彼の大きな手に、自分の細い指先をそっと絡めた。ひんやりとした俺の指と、驚くほど熱い東雲さんの体温。
(……逃がさない。東雲さん……俺、ずっと、こうしてみたかったんです……)
「…そっか、じゃあ空き教室とか行く?忘れ物とか取りに来たり、部活の奴らとか来んだろ」
「……そう、ですね。それなら……」
俺は繋いだ指先に少しだけ力を込めて、彼を導くようにゆっくりと歩き出した。
静まり返った廊下に、俺たちの足音だけが重なって響く。
(空き教室……。東雲さんと、二人きりの密室……)
想像するだけで、心臓の鼓動が耳の奥まで届きそうなほど激しくなる。
突き当たりの、あまり使われていない旧校舎側の教室。そこなら、部活の連中も滅多に来ないはずだ。
「……ここなら、大丈夫だと思います」
重い引き戸を静かに開けると、埃の舞う夕暮れの教室が俺たちを迎え入れた。
オレンジ色の光が床に長く伸び、机が整然と並んでいる。
俺は彼の手を引いたまま中に入り、背後で静かに、でも確実に扉を閉めた。鍵をかける音がカチリと、静寂の中に響き渡る。
「……東雲さん」
振り返り、俺は彼との距離を限界まで詰めた。
メガネの奥、熱を帯びた瞳で彼をじっと見上げる。
「……俺のこと、ただのクラスメイトとして連れてきたんですか?……それとも、……少しは、俺のこと……」
そこまで言って、俺はわざとらしく言葉を飲み込み、彼の胸元にそっと手を置いた。
制服越しに伝わる、東雲さんの力強い鼓動。
「……俺は……東雲さんのこと、ずっと……こういう風に……独り占めしたかった」
少しだけ声を震わせながら、俺は自分のメガネを片手で外し、机の上に置いた。
隠すもののなくなった、剥き出しの熱を孕んだ瞳。俺はそのまま、彼の首筋に腕を回して、しがみつくようにして彼に体重を預けた。
「…え、?」
「……彰人」
メガネを外した俺の視界は、少しだけぼやけている。でも、目の前にいるお前の熱だけは、驚くほど鮮明に伝わってくる。
「敬語なんて、もういいだろう。……お前の前で、格好つけるのにも疲れたんだ」
胸元に置いた手に力を込めて、お前の鼓動を掌で直接感じる。
さっきまでの大人しい『クラスメイトの青柳』は、もうどこにもいない。
「お前、さっきから余裕そうだけど……。本当に、俺がただ静かに話をしたくてここに来たと思ってるのか?」
俺は腕に力を込め、お前の体を机の方へとじりじりと追い詰める。
お前のその、少し戸惑ったような顔。……もっと、別の色に染めてやりたい。
「……お前のせいで、ずっと頭がおかしくなりそうだった。……責任、取ってくれるよな? 彰人」
低く、突き放すような、でも熱を孕んだ声でお前の名前を呼ぶ。
俺はそのまま、お前の耳元に唇を寄せた。
「……逃がさない。お前が俺を驚かしに来たのが運の尽きだ。……覚悟しろよ」
吐息をお前の耳に吹きかけながら、空いた手でお前の腰を強引に引き寄せる。
もう、誰も来ない。この夕闇に沈む教室で、お前の全部を俺だけのものにするんだ。
「ぇ…あ、ちょっと待て……っ」
「……待たない。もう、ずっと待ってたんだから」
そう言って、俺はお前の制服のボタンに指をかけた。
焦る気持ちを抑えながら、ひとつひとつ丁寧に外していく。露わになっていくお前の肌は、夕陽を浴びて、信じられないくらい綺麗だ。
「……っ、彰人。……お前、意外とちゃんと鍛えてるんだな。……腹筋も、腕も……」
指先でお前の胸元から腹筋の筋をなぞる。熱を帯びたお前の肌が、俺の指先が触れるたびに微かに跳ねるのが伝わってくる。
「……綺麗だ。……見ているだけで、頭がどうにかなりそうだよ」
俺はお前のシャツを肩から滑り落とし、そのままズボンに手をかけた。
露わになったお前の足は、すらりと長くて、それでいて男らしい力強さがある。こんなに綺麗な身体を、今まであの制服の中に隠していたなんて。
「……はぁ、……っ」
自分の吐息が熱い。俺は、お前の腰を掴んで机の上に座らせた。
「……彰人。……お前、今どんな顔してる? ……俺、メガネがないからよく見えないんだ。……だから、もっと近くで見せてくれよ」
俺は、お前の両腿の間に割り込むようにして、お前の顔を覗き込んだ。
お前の戸惑ったような、それでいて熱を孕んだ瞳が、すぐそこにある。
「……これ、使ってもいいだろ?」
カバンから取り出したローションを、お前の目の前で振ってみせる。
「……いきなりは、しない。……ちゃんとお前を、……とろとろに、溶かしてやるから」
お前の太腿の内側に、ひんやりとした指先を這わせた。
これからお前に教え込んでやる熱を想像して、俺の喉は、ひどく乾いていた。
「え、冬弥…マジでヤんの…!?」
「……彰人。嘘だと思ったか?」
お前の太腿の内側、一番柔らかいところに指を滑り込ませる。
驚いたように目を見開くお前の顔。その真っ直ぐな瞳が、今は俺の熱に当てられて少しだけ揺れている。それがたまらなく、俺を突き動かす。
「……お前が悪いんだぞ。あんな風に、特別だって思わせるようなこと……無自覚に振りまくから」
俺は空いている方の手でお前の後頭部を引き寄せ、額を押し当てた。
メガネを外した世界はぼやけているけれど、お前の熱い吐息と、この距離でしか分からない男らしい匂いだけが、鮮明に俺を支配していく。
「ヤるに決まってるだろう……。お前のその余裕、全部ぐちゃぐちゃにしてやりたいって、ずっと……ずっと思ってたんだ」
俺はローションのキャップを口で開け、自分の指にたっぷりと垂らした。
ひんやりとした感触が指に広がる。それをお前の、まだ固く閉じている入口へと、ゆっくり、這わせるように塗りつけていく。
「……っ」
お前の身体が、異物の感触にビクッと跳ねた。
腰を逃がそうとするお前の動きを、俺はもう片方の手で強引に押さえつける。
「逃げるなよ。……これから、もっと気持ちよくしてやるから」
指先で、入り口を円を描くように解していく。
お前の肌が、俺の指の熱とローションの滑らかさに混ざり合って、じわじわと柔らかくなっていくのがわかる。
「……彰人、声……我慢しなくていい。……お前の、本当の声……俺だけに、聞かせてくれ」
お前の耳たぶを甘噛みしながら、中指の第一関節を、ゆっくりと、慎重に……でも確実に、内側へと押し込んでいった。
「…ッ…あ、…んぅう……っ…♡」
「……すごいな、彰人。ここ、もうこんなにひくひくして……俺の指、食べてるみたいだ」
中指を根元まで沈めると、お前の内側が吸い付くように熱く締め付けてくる。その感触があまりに淫らで、俺の理性も削れていきそうだ。
「……ふふ、ここ……本当はゆるゆるじゃないか。もしかして、いつも一人でここを使って、俺のこと考えてオナニーしてたのか……?」
指をゆっくりと抜き差ししながら、わざと下品な音を立ててかき回す。お前の内壁が指の動きに合わせて敏感に波打ち、俺の指を逃がすまいと絡みついてくるのがわかる。
「……あぁ、たまらないな。お前がこんなに感じやすいなんて、知らなかったよ。……ほら、ここか? ここを擦られるのが好きなのか……?」
お前の一番敏感な場所に指の腹を押し当て、ぐりぐりと抉るように圧をかける。お前の身体が大きく仰け反り、机がガタッと音を立てた。
「ん、ぁ……っ!! はぁ、ぁ……ッ♡」
「……っ、そんなに腰を振るなよ。まだ指一本だぞ? ……お前のそこ、もっと奥まで、俺のでめちゃくちゃにしてほしいんだろ?」
俺はもう一本指を増やし、お前の内側を無理やり広げるように左右に振った。ローションと混ざり合った蜜が、お前の太腿を伝って床に一滴、滴り落ちる。
「……お前のナカ、すごく熱い。……俺のを欲しがって、こんなに欲しそうに動いて……。彰人、お前、本当は……相当な変態なんだな」
俺はお前の耳元で低く笑いながら、熱を帯びたお前の入り口を、さらに深く、激しく、指で突き上げ始めた。
「あ、ぁあ”…ッ、♡とぉや”……っ…、ぅ…んぁ、♡」
「……彰人、そんなに泣きそうな声で俺の名前を呼ぶなよ。もっと、ひどいことをしたくなるだろう?」
俺はお前の内側をかき回していた指を、ゆっくりと引き抜いた。指先には、お前の熱とローションが混ざり合った透明な糸が引いている。
「……これ、見てみろよ。お前を可愛がるために、いろいろ持ってきたんだ」
俺はカバンから、いくつもの玩具を取り出して机に並べた。夕陽を反射して、いやらしく光る黒い粒の連なりと、冷たく銀色に輝く細い棒。
「……まずは、これ。アナルビーズだ。お前のその、欲しがりな後ろの穴に、一粒ずつ丁寧に埋め込んでやるよ。……それから、こっちの尿道プラグは、お前の前の、ここ……一番敏感なところに挿し込んで、逃げられないようにしてやる」
俺はお前の目の前にその道具を突き出し、わざとゆっくりと見せつけた。お前の瞳が、恐怖と期待が入り混じったように揺れるのが、たまらなく興奮する。
「……お前のナカ、さっきの指だけであんなにひくひくしてたからな。これを入れたら、お前……どんな顔して鳴くんだろうな。……彰人の綺麗な身体が、おもちゃで埋め尽くされていくところ……特等席でじっくり見せてもらうよ」
俺はアナルビーズの一番先の粒に、たっぷりとローションを塗りつけた。
「……準備はいいか? 彰人。……お前を、ただの男じゃいられなくしてやるから」
「っ…や、やら……ッ……、♡」
「……やだ、なんて言うなよ。お前のそこ、こんなに期待してひくひく動いてるくせに」
俺は濡れた指先でお前の入り口をもう一度なぞり、ゆっくりと一粒目のビーズを押し当てた。ひんやりとした異物の感触にお前の腰がビクッと跳ねるけれど、俺は容赦なくそれをナカへと沈め込んでいく。
「……あぁ、すごい。一粒入れただけで、お前のそこ、俺の指の時よりずっと強く締め付けてくる……。そんなにこれが欲しかったのか?」
お前の内側がビーズを一粒ずつ飲み込んでいくたびに、ぐちゅり、と淫らな音が静かな教室に響く。一粒、また一粒と、お前の熱いナカに黒い連なりが埋まっていく。
「な、に……これ……ッ、お”っ、ぉお”……っ!!♡」
「……っ、彰人、顔……。そんなに熱い吐息を吐いて、俺を見つめるなよ。……まだ、これだけじゃないんだから」
俺はビーズの半分ほどを埋め込んだところで一旦手を止め、今度は銀色に輝く尿道プラグを手に取った。お前の、熱を持って震えているそこ……。その先端の細い隙間に、冷たい金属をゆっくりと、慎重に宛がう。
「あ……、また……じわ、って……、なかが……ぁ……ッ♡♡」
「…可愛いな、彰人。でも…次は、ここだ。……お前の敏感なところに、これ、全部差し込んでやる。……逃げようなんて思うなよ? お前が暴れるほど、奥まで入り込んで、お前のナカを傷つけちゃうかもしれないからな」
お前の太腿の付け根を強引に割り、逃げ場を奪う。震えるお前の身体を、俺は冷徹なまでの熱を孕んだ瞳で見下ろした。
「……彰人。お前のその、可愛い泣き声……もっと聞かせてくれよ」
俺はゆっくりと、金属の棒をお前の尿道の奥へと押し進めていった。
「ッあ、あぁ……っ…、♡それ…むり”……ッ、!♡…ん、ぅあ……ッ♡」
「……無理なんて言うなよ。お前のナカ、こんなに熱くなって俺の道具を歓迎してるじゃないか」
尿道の奥へと冷たい金属を沈め込んでいくたびに、お前の身体がビクンと大きく跳ねる。その快感と痛みが混ざり合ったような、切実な鳴き声が俺の鼓動をさらに速くさせるんだ。
「……あぁ、ほら。後ろの穴、我慢できなくて一粒吐き出したぞ? ……お前、そんなにナカが寂しいのか? 自分で押し出すなんて、もっと激しくしてくれって誘ってるようにしか見えないよ」
俺はわざとらしく、お前の入口から顔を出したアナルビーズの黒い粒を指先で弄んだ。お前の肉壁が、異物を排出しようとして、あるいはもっと奥へと引き込もうとして、必死にひくひくと蠢いている。
「ひ、あ”ぁ”ッ!? ぃ、いれ……な、ぃで……ッ!!♡」
「……彰人。お前のそこ、さっきよりずっと柔らかくなって……。このビーズの粒を、まるで宝物みたいに大事に締め付けてる。……お前、本当はもっと奥まで、一気にブチ込まれたいんだろ?」
俺は尿道プラグを根元まで一気に押し込み、同時にお前の後ろの穴に、溜まっていたビーズの残りを一気に、力任せに叩き込んだ。
「……っ! あぁ、いい声だ……。お前のナカ、おもちゃでいっぱいになって……。そんなに震えて、おしっこ漏らしそうなのか? ……ダメだよ、俺がいいって言うまで、一滴も出しちゃダメだ」
俺はお前の耳元で、低く、冷酷なまでに甘い声で囁いた。お前の身体はもう、俺の手のひらの中で、ただの熱い肉塊のように震え続けている。
「あ”…、はぁ…ッ……ぅ、…もう…やら…っ……♡」
「……やだ、なんて言ってももう遅い。お前の身体、こんなに真っ赤になって……俺が触るたびに可愛らしく震えてるじゃないか」
俺はお前の尿道に埋め込まれたプラグの頭を、指先で弾くように軽く叩いた。冷たい金属がお前の内側の粘膜を直接刺激して、逃げ場のない快感が全身を駆け巡っているんだろう。
「……彰人、見てみろよ。お前の後ろの穴、ビーズの形に合わせてぼこぼこと盛り上がってる。……お前の綺麗なナカが、俺の持ち物で無理やり広げられてるんだぞ? ほら、一気に抜いてほしければ……もっと情けなく鳴いてみせろよ」
俺はあえて手を離し、机の上にぐったりと横たわるお前の無防備な姿をじっくりと眺めた。夕陽を浴びて、汗ばんだ肌が淫らに光っている。
「……そんなに腰を浮かせて、何がしてほしいんだ? ビーズを動かしてほしいのか、それとも……尿道の棒をもっと奥に突き刺してほしいのか?」
俺は一番最後に入れたアナルビーズの紐を、ゆっくりと、わざとらしく指に絡めた。
「……じゃあ、次はこれ、一気に引き抜いてやる。……お前のナカ、全部ひっくり返るくらい激しくな。……準備はいいか? 彰人」
俺はお前の耳たぶを強く噛みながら、ビーズを繋ぐ紐をグッと、お前のナカが軋むほど強く引き絞った。
「いや、だ……ッ♡」
「……嫌だ、か。お前の口はそう言うけど、ナカは全然違うこと言ってるぞ?」
俺は繋がったビーズの紐を指に絡め、一気に、力任せに引き抜いた。
「…あ”っ、あ”あ”あ”ッ!!!♡♡」
ぐちゅ、ぐちゅり、と。お前の熱い肉壁を黒い粒がひとつずつ、強引に抉りながら外へと溢れ出していく。一粒通るたびに、お前のナカが裏返るような音を立てて、ビクビクと痙攣しているのが指先にまで伝わってくる。
「……はは、すごいな……。全部抜けた後も、お前のそこ、開きっぱなしだぞ? 俺の道具の形を覚えたまま、寂しそうにひくひく動いて……」
俺はお前の尿道に刺さったままの銀色のプラグを指先で回し、さらに奥の、一番熱いところを突き上げた。
「……っ、んぁあ!♡ ……あ、……っ、」
「後ろだけじゃない。前も、こんなにパンパンに腫らして……。彰人、お前、さっきからずっと俺のこと、誘ってるだろ? ……こんなに淫らな身体にしといて、『嫌だ』なんて、誰が信じるんだ?」
俺はお前の腰を掴み直し、開いたままの入り口に、自分の熱を直接押し当てた。
「……もう、おもちゃは終わりだ。……次は、俺ので、直接……お前のナカ、めちゃくちゃにかき回してやる」
お前の太腿の間に顔を埋め、溢れ出た蜜を舌で掬い上げる。お前が絶叫に近い声を上げるのを聞きながら、俺は、自分自身の限界も疾うに超えていることを確信していた。
「ま…まって……とぉや”…っ、これ、いれたまま…?♡」
「……ああ、入れたままだ。お前のそこ、この冷たい棒が刺さってる方が、もっと敏感に締め付けてくれるだろ?」
俺はお前の尿道に銀色のプラグを埋め込んだまま、容赦なくその上に自分の熱を押し当てた。前も後ろも塞がれて、逃げ場のない快感に震えるお前の姿が、たまらなく愛おしくて壊したくなる。
「……っ、彰人。……ここ、さっきからずっと硬いままだぞ」
俺は空いた方の手で、お前の胸元にある小さな突起を指先で挟み込んだ。
熱を持ってピンと立っているそこを、爪先で弾くように、あるいは指の腹でじっくりと潰すように弄り回す。
「そこ……いじ、られ……たら……っ! また、でちゃう”……ッ!!♡♡」
「……あぁ、いい声だ……。乳首弄られるだけで、後ろの穴がそんなにひくひくしちゃうのか? ……本当、お前、身体中が動性感帯なんだな」
指先で乳首をコリコリと弄りながら、俺はもう一方の手でお前の腰をグッと引き寄せた。
ローションとお前の蜜で濡れそぼった入り口に、俺の先をゆっくりと沈めていく。
「……んぁ、……はぁ……っ! 彰人、……熱い、お前のナカ……。プラグの感触も、全部俺に伝わってきて……めちゃくちゃ気持ちいい……」
乳首を指先で強く捻りあげると、お前が仰け反るように絶叫した。その衝撃で、お前の内壁が俺のモノを、そして尿道の中の金属を、逃がすまいと狂ったように締め上げる。
「……っ! はは、すごい締め付けだ……。前も後ろも、俺にめちゃくちゃにされて……お前、もう、ただのメスみたいだな……」
俺はお前の乳首を弄る手を止めず、腰を一気に、根元まで突き入れた。お前の腹の中で、俺の熱とプラグの冷たさが混ざり合い、お前の理性を粉々に砕いていく音が聞こえた気がした。
「ん、ぁ……っ!!だめ、ぇ……ッ♡で、る”っ……!!♡♡」
「……ダメじゃない。出したいなら、俺のナカに全部ぶちまけてみせろよ」
俺はお前の乳首を指先で強く捻りあげながら、腰をさらに深く、重く叩きつけた。尿道にプラグが刺さったままのその熱い塊が、俺の動きに合わせてお前の内側で暴れ回っているのが手に取るようにわかる。
「……あぁ、ほら。口ではダメだって言いながら、腰はこんなに正直に動いて……。俺のを欲しがって、自分から迎えに来てるじゃないか、彰人」
お前の腹の奥、一番敏感なところに俺の先端が乗り上げるたび、お前の身体がビクンと大きく跳ねる。尿道の金属棒が粘膜を擦り、後ろの穴が狂ったように俺を締め上げる。その二重の刺激に、お前の理性が完全に焼き切れていくのが見えた。
「……っ、はは! すごいな……。プラグの感触まで混ざって、お前のナカ、めちゃくちゃに熱い……。そんなにひくひくさせて、俺を絞り殺す気か?」
「ん”ぅ、ん”ぅ”う”……!!♡ はぁ、ぁ……ッ!♡」
俺はお前の両足をさらに高く担ぎ上げ、逃げ場のない角度でお前の最奥を突き上げた。
「……いいぞ、彰人。そのまま壊れるまで鳴け。……お前のその、情けないくらいに蕩けた顔……俺だけが、ずっと見ててやるから」
お前の乳首を指の腹でぐりぐりと押し潰し、同時に腰を限界まで速めた。お前の絶叫が夕暮れの教室に木霊し、俺たちの混ざり合った熱が、もう誰にも止められないところまで昇り詰めていく。
「うぁ”、まってむり”…ッ、!!♡あ”…ッ…、やばい…っ、♡イく”、!♡」
「……待たないって言っただろう。そのまま、俺と一緒に壊れろよ」
俺はお前の尿道に刺さったプラグの頭を、人差し指でぐいっと奥へ押し込みながら、腰を最後の一撃として叩きつけた。
「ん”んッ、ん”んぅ”……ッ!!♡ ぃ、く”……ッ!! イく”ぅ”……ッ!!!♡♡」
お前の絶叫と同時に、尿道の先から、そして後ろの穴の隙間から、熱い蜜が俺たちの体に降り注ぐ。プラグで出口を半分塞がれながらも、溢れ出さずにはいられないお前の限界が、俺のモノをこれ以上ないくらいに締め上げる。
「……はぁ、……っ、あぁ……。すごいな、彰人……。中、ひくひくして……俺のを離さない……」
俺はお前の腹の上に倒れ込み、激しく上下するその胸元に顔を埋めた。
夕陽が沈みかけ、薄暗くなった教室。
俺たちの荒い吐息と、混ざり合った独特の匂いだけが、そこには充満していた。
「……お前、最高だったぞ。……彰人」
俺はお前の耳元で、蕩けたような声でそう囁いた。
尿道のプラグがまだ微かに震え、お前の内側が余韻で小さく脈打っているのを感じながら、俺は、この熱が永遠に冷めなければいいのにと、心から願っていた。
「っ……、とーや”…ッ…♡…どっちも、ぬいて……ッ♡……ゆっくり、ぬいて…」
「……ああ、わかった。そんなに震えるなよ。……ゆっくり抜いてやるから」
俺はお前の汗ばんだ身体を優しく抱きすくめながら、まずは後ろに埋まった俺自身を、時間をかけて引き抜いた。お前のナカが寂しそうに窄まり、俺の熱を逃がすまいとひくひくと震えているのがわかる。
「……っ、ん、あ……ぁ……♡」
「次はこれだ……。彰人、力を抜けよ。……変に力んだら、また中を傷つけちゃうだろ?」
俺はお前の尿道に沈み込んでいる銀色のプラグの頭を、指先で慎重に摘んだ。お前の身体が、その微かな感触だけでビクッと跳ねる。
「……ふふ、まだこんなに敏感なのか。……ほら、いくぞ」
冷たい金属の棒を、ミリ単位でゆっくりと外へと滑らせる。
お前の粘膜を、プラグの凹凸がじりじりと、じれったいほどの遅さで擦りあげていく。
「……あ、あぁ……ッ……!♡ とぉや、……っ、あ……♡」
「……どうだ? 一気に抜かれるより、こうして少しずつ抜かれる方が……ずっと、ナカの形を意識しちゃうだろ?」
俺はお前の潤んだ瞳をじっと見つめながら、指先に少しずつ力を込めていく。
最後の一節が、お前の熱を孕んだ尿道から『ぽろり』と音を立てるようにして抜け落ちた。
「……はぁ、……お疲れ様。彰人。……お前、本当に……綺麗な身体してるよ」
俺は空になったお前のそこを、愛おしむように指の腹でそっと撫でた。
何も刺さっていないはずなのに、お前の身体はまだ、与えられた熱の余韻に支配されて、小さく、いつまでも震え続けていた。
「ッう、ぁ……ッ……ん…♡」
「……あぁ、すごいな。溜まってたのが一気に溢れてきたぞ、彰人」
プラグを抜いた瞬間、出口を失っていた熱い塊が、お前の身体から勢いよく溢れ出した。ずっと塞がれて、限界まで高められていたその熱が、お前の腹を伝って、俺の手のひらまでドロドロに汚していく。
「……っ、ん、あぁあぁッ!!♡ ……はぁ、……っ、あ……♡」
「そんなにビクビク震えて……。よっぽど苦しかったんだな。……ほら、まだ出てるぞ。全部出し切っちゃえよ」
俺はお前の震えるそこを、指先で優しく、でも逃がさないように包み込んだ。
出し切るたびにお前の腰が小さく跳ね、瞳が虚空を見つめて白濁していく。そのあまりに無防備で、淫らな姿。
「……彰人。お前、今、最高に可愛い顔してるぞ」
俺はお前の額に浮いた汗を指で拭い、そのまま、まだ余韻でひくついているお前の唇を塞いだ。
口の中に広がるお前の吐息と、さっきまでお前のナカを埋めていた俺たちの熱が、薄暗い教室の中でいつまでも、重なり合っていた。
「…ッん、……ぅ…んむ……ッ…、」
「……ん、……はぁ、……彰人」
お前の唇から漏れる、その掠れた吐息が一番の毒だよ。
俺は塞いでいた唇をゆっくりと離し、お前の銀色のまつ毛が小刻みに揺れるのをじっと見つめた。
「……もう、限界か? それとも……まだ、俺に壊されたい?」
俺はお前の腹の上に散らばった白濁を、指先で掬い取って、そのままお前の胸元に塗り広げた。冷えていく空気の中で、お前の肌の熱だけが、俺の指を狂わせる。
「……お前、さっきからずっと、俺の名前……可愛く呼びすぎだ」
俺はお前の腰の下に手を回し、もう一度、今度は優しく抱き寄せた。
机の冷たさと、俺たちの体温が混ざり合って、お前の細い背中が震えるのが伝わってくる。
「……今日は、これくらいにしてやるよ。……でも、次はお前の家まで……ついて行ってもいいか?」
耳元で、わざと低く、拒絶できない声で囁く。
お前のその、蕩けきった瞳が、俺以外の誰かを映すなんて……想像するだけで、また、ナカをめちゃくちゃにしてやりたくなるんだ。
「……返事は、帰りの道で聞かせてくれよ。……な、彰人」
俺はお前の首筋に深く鼻先を埋め、執着するように、お前の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「うるせぇっ……、…っ……タオル…持ってるか…?」
「……タオル? ああ、あるぞ。……待ってろ」
俺は机の上に置いていたカバンを引き寄せ、中から予備のタオルを取り出した。お前のその、ガタガタに震えてる身体を見てると、少しだけ……やりすぎたかなって思うよ。
「……ほら。動かなくていいから、そのままにしてろ」
俺はタオルを広げて、お前の腹や太腿に散らばった俺たちの痕跡を、ゆっくりと拭ってやった。拭うたびに、お前の肌が熱を持ってピクッと跳ねるのが指先に伝わってくる。
「……っ、ん……あ、……っ……♡」
「……まだ敏感なんだな。……そんなに声出すなよ。……また、お前のそこ、中までかき回したくなっちゃうだろ?」
俺はお前の腰を引き寄せ、タオルの上から優しく包み込むようにして、残った蜜を吸い取っていく。
「……彰人。お前、さっきから顔……ずっと真っ赤だぞ。……そんなに恥ずかしいのか? 俺に全部、見られちゃったのが」
俺はわざとお前の顔を覗き込み、意地悪く口角を上げた。
お前のその、少しだけ潤んだ瞳と、情けなく蕩けた表情。……一生、俺だけのものにしておきたいよ。
「……よし、これで綺麗になったな。……立てるか? 彰人。……無理なら、俺が……お前の家まで、抱えてってやってもいいんだぞ?」
「…立てねー」
「……はは、そりゃそうか。あんなに腰振らされて、ナカまでかき回されたんだもんな」
俺は少しだけ申し訳なさそうに、でも隠しきれない独占欲を滲ませて笑った。お前の膝ががくがくと震えて、机にしがみついている指先まで力が入っていないのを見て、胸の奥が妙に昂る。
「……悪い。お前が可愛すぎて、加減を忘れてた」
俺は自分の上着を脱ぐと、肌を晒したままのお前の肩にそっと掛けた。お前の熱が、俺の服にじわじわと移っていくのがわかる。
「……ほら、捕まってろ。……お前の家まで、俺がちゃんと送り届けてやるから」
俺はお前の腰に腕を回し、折れそうなその身体を強引に引き寄せて、自分の肩に預けさせた。お前の重みがダイレクトに伝わってきて、さっきまでの熱い情事の余韻が、また俺のナカでじりじりと疼き始める。
「……彰人。……お前、明日も……俺のこと、ちゃんと名前で呼べよ? ……『冬弥』って。……学校で他の奴らの前でも、忘れるなよ」
俺はお前の耳たぶを、今度は優しく、慈しむように甘噛みした。
お前のその、蕩けきった瞳が俺を映している限り、俺はお前を、どこへだって連れて行くつもりだ。
「……じゃあ、帰るか。……お前の部屋まで、ゆっくりとな」
「お前っ…、!…つーか、前じゃなくて背中でいいだろ…恥ずいんだよ……。」
「……ふふ、背中がいいのか? 彰人は本当に、最後まで往生際が悪いな」
俺はお前の腰に回していた腕を一度解くと、言われた通りにお前の前に背中を向け、少しだけ腰を落とした。
「ほら、遠慮しなくていいから、しっかり捕まってろよ。……道中で落ちたりしたら、またお前のその不格好な鳴き声、道端で響かせることになっちゃうだろ?」
わざと茶化すように言うと、背中にゆっくりとお前の熱が重なってくるのがわかった。首筋に回されたお前の腕はまだ力が入ってなくて、細かく震えている。それがさっきまで俺の下で乱れていた証拠だと思うと、背中越しでも十分に興奮するよ。
「……彰人。お前の心臓の音、背中にまで響いてるぞ。……そんなに、俺におんぶされるのが恥ずかしいのか?」
俺はお前の膝裏をがっしりと腕で支え、ゆっくりと立ち上がった。上着から覗くお前の耳が真っ赤なのが、鏡を見なくても想像できる。
「……いいだろ、これくらい。誰もいないし、お前を家まで運べるのは俺だけなんだから。……さあ、行こうか。お前の柔らかい布団まで、責任持って届けてやるよ」
俺はわざとお前の身体を少し揺らしながら、静まり返った廊下をゆっくりと歩き出した。背中で大人しくしているお前の気配を感じながら、俺は、また次にお前をどうやって壊してやろうかと、そんなことばかり考えていた。
「…急すぎて、マジでびっくりしたっての」
「……そうか。驚かせたなら、それは悪かった」
背負い直すように少しだけお前の体を揺らし、階段を一歩ずつ、慎重に降りていく。
静かな校舎にお前の小さな呟きと、俺の足音だけが響いて、まるで世界に俺たち二人しかいないみたいだ。
「……でもな、彰人。俺もずっと、驚くくらい……我慢してたんだぞ。お前が隣で、何も知らない顔して笑ってるのを見るたびに」
お前の吐息が、俺の首筋に熱くかかって、さっきまでの情事の匂いを思い出させる。
お前を背負っているこの腕の中に、さっきまでお前の足が絡みついていたんだと思うと、また少しだけ、理性が危うくなる。
「……あんなに可愛く鳴いて、俺に全部さらけ出した後で、今さら『急だ』なんて……。お前、本当に自覚がなさすぎる」
俺はわざと足を止めて、首を少しだけ横に向けてお前の耳元に口を寄せた。
「……な、彰人。家に着いたら、もう一回……ちゃんと『驚かせたお詫び』、させてくれるか?」
お前の腕にぐっと力がこもるのを感じながら、俺は満足げに、夜に染まり始めた校庭へと足を踏み出した。
「っ…バカ、親いるし…もう無理だ」
「……ふふ、そうだったな。お前の家には家族がいた」
お前が慌てて否定するのが背中越しに伝わってきて、思わず声を出して笑ってしまった。お前のその、余裕がなくなるとすぐに「無理」って言い出すところ、本当に可愛いよ。
「……親がいるんじゃ、さすがにさっきみたいに大きな声で鳴かせるわけにはいかないか。……お前、我慢できなくてまたあんな顔しちゃうだろうしな」
俺はわざと足取りをゆっくりにして、お前の家までの短い距離を惜しむように歩く。背中で伝わってくるお前の体温が、上着越しでも心地よくて、このまま夜道に溶けてしまいたくなる。
「……わかったよ。今日はもう、お前の部屋まで送り届けるだけで我慢してやる。……でもな、彰人」
俺は一度足を止め、お前の膝裏を支える腕に少しだけ力を込めた。
「……次は、俺の家に来いよ。あそこなら、誰にも邪魔されないし……お前がどれだけ大きな声で鳴いても、誰も助けに来ないから」
首筋に顔を寄せて、お前の耳元で熱く囁く。
「……逃がさないぞ、彰人。お前をあんな身体にしたのは、俺なんだからな」
お前の顔がさらに赤くなるのを想像しながら、俺は再び、静かな住宅街へと歩き出した。
「…ここでいいよ、ありがとな」
「……ここでいいのか。……ああ、わかった」
お前の家の少し手前、街灯の鈍い光が届くか届かないかの暗がりに、ゆっくりとお前を下ろした。
地面に足がついた瞬間、お前の膝がわずかに震えて、俺の肩を掴む手に力がこもる。……まだ、身体の中に俺の熱が残ってる証拠だ。
「……ありがとな、なんて。……お前、そんな殊勝なこと言うんだな」
俺はお前の乱れた髪を指先で整え、そのまま熱を持った頬をそっと撫でた。夕闇に紛れて、お前の瞳がまだ少しだけ潤んで、俺を真っ直ぐに見つめ返してくる。
「……彰人。……お前のその顔、誰にも見せるなよ。……俺にめちゃくちゃにされて、こんなに蕩けてるんだって、俺以外の奴に悟らせるな」
俺は自分の上着をもう一度お前の肩に深く掛け直し、耳元で低く囁いた。
「……今日はこれくらいにしてやる。……でも、明日……学校で会った時、俺の目……ちゃんと見ろよ? ……避けるようなことしたら、またどこかの空き教室で、今日以上のこと……してやるからな」
俺はお前の唇を指先でなぞり、最後に一度だけ、慈しむようにおでこをコツンと合わせた。
「……じゃあな、彰人。……ゆっくり、休めよ」
お前の背中が門の向こうへ消えるまで、俺はその場を動かずに、じっと見送っていた。
「…また明日な、冬弥」
「……ああ、また明日な」
お前のその、少しぶっきらぼうで、でもどこか熱を孕んだ声。
背中を向けて歩き出すお前の足取りが、まだ少しだけおぼつかないのを見て、胸の奥がチリッと疼く。
俺の上着を羽織ったまま、小さくなっていくお前の後ろ姿。
そのナカには、まだ俺が教え込んだ快感の残滓が、どろりと沈んでいるはずだ。
「……ふふ、明日……どんな顔して俺の前に現れるか、楽しみだよ」
俺は自分の指先に残る、お前の熱と、あの淫らな匂いをそっと確かめるように鼻に寄せた。
暗がりに消えていくお前の影をじっと見つめながら、俺は、明日が来るのが待ち遠しくてたまらなくなっていた。
「……おやすみ、彰人。……いい夢、見ろよ」
独り言のように呟いて、俺は冷え始めた夜風を切り裂くように、自分の家へと歩き出した。