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佐野side
🤍「ただいまー」
入っていいかわからず、玄関の前でキョロキョロしているとなんでそこにいるのと言わんばかりの柔太朗がこっちを見ている。
🤍「入らないの?」
🩷「いいの?」
🤍「ここまで連れに来といてダメっていう奴いる?」
🩷「じゃあ、お邪魔します」
バタバタバタバタ)
妹「お兄ちゃん!漫画パチるな!」
妹ちゃんが柔太朗に漫画を催促する。
妹「あー、もう、まじで心配した
誰に貸したか忘れて大焦りしたんだから!」
🤍「ごめんって」
妹「詫びスイーツは?」
🤍「え?」
妹「いやいや、こういうのってお詫びの品あるでしょ?」
🤍「妹にわざわざお詫びって…」
妹「きゃっ!佐野くん!」
あ、今気づかれたみたいです
妹「連れてくるなら言ってよ!」
🤍「だってこの前は連れてこいって」
妹「だから、連れてくるならちゃんと前もって言ってってこと!
すっぴんだし、こんな服…」
🩷「久しぶりだね、お邪魔します」
妹「兄がお世話になってます
あの、兄いつも大丈夫ですか?
兄、佐野くんのこと大…」
🤍「うわぁーーーー」
妹「うるさっ」
柔太朗の大声久々だな
妹ちゃんは何言いかけてたんだ?
母「なに、玄関先で騒いでるのよ」
奥からエプロン姿の柔太朗の母が出てきた。
母「あら、佐野くんいらっしゃい」
🩷「ご無沙汰してます
これつまらないものですけど…」
母「あら、そんなのいいのに
ごめんなさいね、いつも柔太朗が迷惑かけて」
🤍「いつの間にそんなの」
🩷「ご実家行くなら必須だろ?」
🤍「結婚の挨拶みたいじゃん…」
妹「ブフッ」
母「もう、やーねぇ
佐野くんが結婚相手なら安心なんだけど…
さっ上がって?
ケーキあるから」
🤍「ちょっとママ!」
今のって…
俺、結婚のご挨拶はクリアってことか?
いや、柔太朗のお父さんが残ってるか…
🤍「はやちゃん?」
🩷「ん?」
🤍「何つったってんの?」
柔太朗からゆっくり手を差し伸べられる。
俺はその手を取ると、ゆっくりと握り返された。
優しく、温かいその手は祝福を表しているかのようだった。
柔太朗の育った家…
色々な場所が気になってキョロキョロと辺りを見回す。
🤍「ふふっ、そんな気になる?」
🩷「初めて来るし、一応?」
母「柔太朗の部屋でも行ったらいいのに」
妹「あー、あれね」
🩷「なんかあるの?」
🤍「えっ、部屋はちょっと…」
母「片付けといたけど?」
🤍「一旦確認してくるから!」
🩷「おぅ…
そんなに見られたくないもんでもあんのか?」
無言で走り出す柔太朗。
妹「お兄ちゃんにとって佐野くんは憧れの人だからねぇ」
🩷「まあ、尊敬はされてる感じはするけど…」
妹「尊敬ねぇ…」
妹ちゃんは自室に戻ろうと立ち上がる、溜息を一つ落とした気がしたけど、柔太朗のママが話し始めていたのでそこまで気にならなかった。
母「帰ってこないね」
🩷「はい…」
母「見に行ったら?
どうせ見られて困るものなんて今更置いてないわよ」
🩷「じゃあ、失礼します」
階段を上がって突きあたりの部屋を目指す。
隙間が開いている扉から中を覗き込むと、しゃがみ込んで何かゴソゴソとしている。
🩷「じゅうたろ?」
音が聞こえるかのようにビクッと身体を跳ねさせた柔太朗が首をゆっくりとこちらへ向ける。
🤍「来ちゃったんだ…」
昔読んだ鶴の恩返しで、襖から中を覗き見た旦那が機織りをしている鶴を見てしまったシーンのような、不思議な雰囲気に包まれる。
🩷「ごめん、嫌なら中見ないから」
🤍「いいよ、入って…」
中に入ると、俺らのグッズとポスターがズラりと並んでいた。
🩷「どの家も一緒だな…」
あれ?このポスター…
それは柔太朗加入前に撮影があった映画の等身大ポスターで、 そこに映るのはまだ身体が出来上がっていない幼い顔の自分。
🩷「これってさ」
🤍「あぁぁ!」
何故かしまったという顔をする柔太朗。
🤍「なんか、昔スタッフさんにもらったんだよねぇ」
ついででもらったという割には特等席のような場所を陣取るポスター。
🤍「妹がほしいって…」
🩷「お前の妹、舜太推しじゃないっけ?」
🤍「あ、いや、その…」
少しずつ柔太朗の耳が赤くなる。
やっぱりそうなのか?
自惚れじゃないか?
🩷「柔太朗にとって俺って…」
🤍「憧れだよ!
ずっとかっこいい俺のお兄ちゃんだ、よ…」
少し詰まった言葉のように感じるけど、本心なんだろう
🩷「そうだよな
俺も柔太朗は可愛い弟だし」
本心じゃない
やっぱり自惚れだった
俺はそのパンドラの箱をもう二度と開けないと誓って何錠もの鍵をかけた。
山中side
咄嗟についた嘘。
後悔なのか、涙が出そうになる。
どうしても勇気が出ないんだ
何年も隠し貫き通してきたこの硬い殻は今更すぐに破れないんだろう
バレバレの気持ちに早く気づいてくれと願いながらも天邪鬼のように言葉が口から出てしまう。
二人とも向かい合ったまま、数分間立っている。
顔は見れない。
自分がどんな顔なのか、はやちゃんがどんな顔なのか知りたくない、知られたくないからだろう
妹「ご飯できたって…」
扉の向こうから声がする。
🤍「ご飯だって?」
何もなかったかのように声を出す。
🩷「え?あ、マジで?」
🤍「口に合うかわかんないけど食べる?」
🩷「食う食うっ!」
いつものはやちゃんに戻った。
これでいいんだろう
そう思いながら、足早に降りていく勇ちゃんの後ろをぼんやりと眺めていた。
コメント
4件
投稿ありがとうございます! 柔ちゃんと勇ちゃんのすれ違いがめっちゃもどかしいです笑 慌てて隠しちゃう柔ちゃん可愛いすぎるし、勇ちゃんはその自惚れあってるよー!!って言いたくなります笑 引き続き応援してます!!笑

うわぁぁあ、気づいてぇ、自惚れていいんよはやちゃん……😭 続きが気になりすぎです、 天才ですか!?!
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るななっち
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