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「ランガ山道をこのまま進んでいくと、次第に道幅が狭くなって、細い一本道になっていくんですの。両側は岩壁で逃げ道はなし。しかし、頭上は開けているので、そこを通過した時に巨大な鳥類のモンスターが荷馬車を破壊しにやってくる。そう報告を受けましたわ」
アルメダは私の後について、ランガ山道を進みながら説明をしてくれた。
「説明は助かる……けど、ついてきていいの? もしかしたら、かなり危険かもしれない」
「でも、最強の赤フードさんが守ってくれるのでしょ? 聞きましたわよ、この前はスキル研究所を守ったとか。あそこのエルス、すごくあなたのこと気に入っていたわよ」
その噂は、私もその場で聞いていたので知っています。
と言うわけにもいかず、ため息を一つ吐き、襲撃された地点まで歩いていく。
万が一の時は、アルメダを優先的に守らなくては。
それにしても、やはり被害を受けたのはヤーク家の貿易商人のみだという。
だとすれば、一番有力なのは商売敵が直接、または誰かを雇って妨害している可能性だ。
それがとてもわかりやすい、のだが。
少し嫌な予感がしていた。
それを感じたのは、さっきアルメダの馬車の前で話していた時だ。
今、馬車は使用人に任せ、ランガ山道の入口に置いてきている。
……気のせいだといいのだけど。
「この辺り、ですわね。おそらく」
しばらく緩やかな斜面を進んでいくと、急に道幅が狭くなった。それでも、馬車が二台分くらいは並んで通れそうだ。
谷の底、とでも言ったらイメージしやすいかもしれない。頭上は開け、陽の光が差し込んできている。
ここで空を飛ぶモンスターと戦うのは、少し面倒かもしれない。
そう思った時だった。
私が発動していた『敵意把握』によって、視界の中に真っ赤に染まった影が映り込む。
真上だ。
「アルメダ!」
私はとっさに叫ぶと、アルメダの華奢な身体を抱いて横に跳び、頭上からの急降下攻撃を回避した。
「あ、ありがとうですの……」
いきなりのことに混乱している様子のアルメダから優しく手を離すと、私は剣を抜く。
「あんたがヤーク家を襲っているモンスターね」
「ギャァァァ!!!」
そうやって荒々しく叫ぶ姿は確かに鳥類。
だが、大きさが普通じゃない。翼を広げると、山道の幅ギリギリの巨大サイズだ。
「アルメダ、少し離れてて!」
「は、はいですの!」
私はアルメダに指示を出すと、巨大な化け物鳥と向き合う。
「ねえ、大きな鳥さん」
剣を構える。
「一つ、確かめたいことがあるんだけど――いいかな?」