アンコールの1曲目は、リオの最大のヒット曲。
この歌は、ライブでは必ず歌う。
ヒット曲で盛り上がったところで、あたしの歌を歌うことになっていた。
ここからが、本物のサプライズ。
キャアーーー!!
リオちゃーん!
歌い終えて、叫ぶみんなへ、ありがとうー!と、大声で応える。
そうして、マイクを手に持ち直すと、あたしは口をひらいた。
「今日は、みんなに聞いてほしい歌があります。
初めて、あたしが作った歌です。
聞いてください」
小さくひと息をついてから、あたしは歌のタイトルを発表した。
「曲名は、『REAL』です」
作曲はまだうまくはできなかったから、自分で歌ってみながらメロディーをつけた。
譜面がないから、バックバンドは付かない。アカペラで歌う、初めての自分の歌。
あたしは大きく息を吸い込んで、歌い出した──
「REAL」
1
見つめてる REAL
深く 遠く 遙かなる思い
過去の自分から
逃れようとして もがき 足掻いて
這い上がろうとしてる
たったひとつの あたしのリアル
何度も水を掻いて
前に進もうとして
激しい水の流れに 押し戻されて
それでも ひたすらに泳いでいく
あたしのリアル
2
目をそむけてる REAL
近く 浅く 切なる願い
未来の自分へ
逃げのびたくて 迷い ためらって
辿り着こうとしてる
たったひとつの あたしのリアル
〈Refrain〉
何度も水を掻いて
前に進もうとして
激しい水の流れに 押し戻されて
それでも ひたすらに泳いでいく
あたしのリアル
たったひとつの あたしのリアル