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-登場人物-
黒崎陽菜 日本人
性別 女性(26)傭兵。
愛銃 M16A4
M9。
性格 冷静だが短気な所がある。
スナネコが好き。
一人称は俺。
エミリー・ローガン
アメリカ人
(22)
性別女性
傭兵、元医者。
性格 心優しい、冷静。
愛銃 M4A1。
好きな物
お花
マリア・デルガド(29)
メキシコ人
性別 女性
傭兵・狙撃手。
性格 狂人・変人。(おバカ・天然)
狙撃手モードになると
冷酷かつ残忍になる。
好きな物
好きになったモノ全部。
愛銃
TAC-338
M82A1
SIG MCX。
M45A1。
『弾が尽きたその先で』
新しい任務は、最初の時点では“軽め”のはずだった。
ターゲットはとある武装組織の補給拠点。
破壊して写真を撮れば報酬確定、そんな簡単な話。
のはずだった。
だが現場へ向かう途中、妙な胸騒ぎは確かにあった。
それが嫌な形で的中する。
◆想定外の敵数
最初の見積もりは10〜15人。
だが蓋を開ければ、俺の目の前にいたのは 30を超える武装兵 だった。
「情報の精度、もうちょいマシになんねぇのかよ」
愚痴りつつも撃つ。
M16A4に装着したMROサイトを覗き込み、次々と敵を落としていく。
レーザーサイトが正確に敵の胸元を示す。
フォアグリップを握る手は安定し、リコイルは読みきれている。
だが敵は減らねぇ。
建物の影から影へ、砂煙の中から湧いてくるように兵士が出てくる。
物陰に滑り込みながら、俺は弾倉を抜いて確認した。
「ラストか」
フルリロードのマガジンは一本。
それを撃ち尽くしたら、M9だけになる。
まあ、それも想定済みだ——と思っていた。
◆弾切れ
最後のマガジンも残りわずか。
敵が斜面の上から三人同時に飛び出した。
シュパッ、シュパッ、シュパッ!
撃ち倒す。
その反動に合わせて俺は岩陰に転がり込んだ。
そして—
カチッ。空撃ち。
「クソ…終わったな」
俺はM16A4を背中へ回し、M9を抜いた。
だがその時、足音が聞こえた。
今までのザコの足音とは違う。
規律のある、落ち着いた足取り。
余裕すら感じるステップ。
砂嵐の向こうから現れたのは——
黒いタクティカル装備に身を包んだ男。
全身の動きが洗練されている。
顔を見る前に分かる。
(こいつ、リーダーか)
男は一歩、俺との距離を詰めた。
そして、
ゆっくり右手を腰へ伸ばす。
引き抜いたのは、鈍く光る コンバットナイフ。
「せめて最後は刃物で殺してやるよ、嬢ちゃん」
「俺は嬢ちゃんじゃねぇよ…」
言い終わる前に、男が飛び込んできた。
◆ナイフ同士の死闘
俺も即座にナイフを抜き、構えを取る。
男は重心が低い。
手数も多い。
何より“刺す”という意志が強い。
金属音と、砂を蹴る音だけが荒野に響く。
キンッ!
キィンッ!
ガッ!
男のナイフが俺の喉を狙い、
俺の刃は男の顎下を狙う。
紙一重でかわし合う。
(こいつ、強ぇ)
その瞬間、俺の握っていたナイフが弾かれた。
「ッ!」
刃が回転しながら砂へ刺さり、俺の横に転がる。
男は勝利を確信したようにニヤリと笑った。
「終わりだ」
男の刃が俺の胸へ急降下する。
俺はM9を抜いて撃とうとしたが
リーチが間に合わない。
(まずい!)
◆近接の極致、敵の刃が迫るその刹那—
ドンッ!!
突然、俺の視界の右から影が飛び込んできた。
黒い髪が風を切り、砂煙を巻き上げて着地したその人物は——
「何やってんのよ、陽菜」
マリアだった。
TAC-338も背負っていない。
手にあるのはたった一本のナイフと、自身の体だけ。
だが彼女の表情は、戦闘モード特有の冷えた顔。
敵のリーダー格が驚く間もなく、
マリアのナイフが閃いた。
カッ、カッ、キンッ!
わずか三歩。
その三歩の間に、
・敵の手首関節を壊し
・武器を落とさせ
・膝へ蹴りを入れ
・首元へナイフを当てる
全てが一瞬だった。
男の膝が地面に落ち、マリアのナイフの刃が喉元へ触れる。
「終わりよ」
静かな声。
砂漠に落ちる影が震えた。
男は抵抗する間もなく沈黙した。
◆戦闘後、即席CQB講座
呼吸を整えている俺を、マリアが横目で見た。
「ナイフ、飛ばされたでしょ?」
「ああ」
「手首の角度、悪すぎるのよ。
刺すより、まずは“残す”動きを優先しなきゃ」
マリアは俺の手を掴む。
その動きは力強く、しかし滑らかだった。
「こうよ。
指の力じゃなくて、前腕で支える。
ナイフの背を手のひらに押しつける意識。
取り落とされにくいでしょ?」
確かに安定する。
「お前、…なんでCQBまで上手いんだよ」
「スナイパーだけだと、生き残れない世界もあるのよ。
あたしが昔、痛感したこと」
その言い方は、過去の重さを感じさせた。
「じゃ、続きは自主練でよろしく。
陽菜が死ぬと、救いに行くのが面倒だから」
「…誰が死ぬかよ」
「ふふっ、知ってる」
マリアは軽く手を振り、去っていった。
俺はしばらくその背中を見ていた。
(結局、お前に助けられてばっかだな)
降り積もる砂の音が、妙に静かだった。
◆マリア・デルガド ― 新たな任務
砂漠地帯の夜は骨の底まで冷える。
マリア・デルガドはヘッドセットを調整し、SIG MCXのスリングを肩に掛け直した。
「目標建屋、風速1.6。問題なし」
TAC338 は遠距離用。
だが今回の任務は、敵工作員の回収と機密破壊 ― つまり建物内部に突っ込む可能性が高い。
だから、彼女は初めてMCXを正式運用していた。
建屋内に侵入。
敵は三人。
暗闇の中、マリアの影が跳ね、一瞬で終わった。
・一人はサプレッサーの一撃
・二人目は首を抱え込んで投げた瞬間、短く鳴ったMCX
・三人目は飛びかかってきたが、逆に床に叩きつけられ気絶
任務は予定よりも早く終わった。
「さて、引き上げるか」
その横顔は、普段の“変人スナイパー”と呼ばれる姿とはまるで違う、冷たく研ぎ澄まされた軍人の顔だった。
◆陽菜 ―新たな任務
俺はM16A4のMROサイトを覗き込みながら、廃工場に潜入していた。
今回の任務は 武器密輸ルートの破壊。
順調に進んでいた
“その瞬間”までは。
「クソ、まだいたのか」
コンテナから敵がわらわらと湧いてくる。
ざっと十人以上。
弾倉は残り一つ。
やがて―― 弾切れ。
敵のリーダー格がニタつきながらナイフを抜いた。
「女、ここで終わりだ」
「上等だよ」
俺はM16を放り、ナイフを抜いた。
狭い鉄骨の間でナイフが火花を散らす。
互角――のように見えたが、相手は明らかに近接戦闘のプロだった。
刃が弾かれ、俺のナイフが床を転がる。
「しまっ――!」
組み伏せられ、喉元に刃が迫る。
必死にリーダーの腕を押さえこむが、力が負ける。
さらに最悪なことに、敵の増援が背後から近づく足音。
詰んだ―
そう思った瞬間。
空気が、裂けた。
マリアの影
「…離れろ」
低く、冷たい声。
銃声ではない。“何か”が空を裂いた音。
マリアだった。
SIG MCXを片手に、リーダー格の腕を掴み、驚くほど簡単に捻り折る。
「ぐあッ!!」
そのままマリアは敵を床に叩きつける。
三秒もかからない。
増援が突入してくる。
マリアはMCXを手放し、素手で突っ込んだ。
近接格闘術―軍隊式
CQB。
陽菜が息を呑むほどの、無駄のない殺人の動き。
・首を刈り
・足を払って顎を砕き
・相手を盾にし
・その背後の二人を床に沈める
敵十数人が、数十秒で全滅した。
息一つ乱さない、まるで戦闘マシンだ。
◆陽菜とマリア
「マリア。助かった」
俺が言うと、マリアは珍しく目をそらした。
「ん…まあ、暇だったし」
明らかに照れている。
「暇で敵基地に突っ込む奴がどこにいる」
「私」
即答だった。
俺は吹き出しそうになる。
だが、先ほどの戦闘を思い返し、思わず真剣な声が漏れた。
「すげぇよ、お前。あの動き…どうなってんだ」
「別に。ただのCQB。
その…あなた、ナイフ落とすの早すぎ」
「言うなよ…!」
マリアがくすっと笑う。
そして、俺の腕の傷に気づき、急に真顔になった。
「陽菜、痛むだろ」
「大丈夫だ。かすり傷だ」
「嘘つけ。治るまで、しばらく私の基地で世話してやる」
「は?」
「文句ある?」
少しだけ赤い顔で、視線を逸らすマリア。
なんだよ、それ。
俺は少し笑ってしまった。
「…ありがとな、マリア。本当に助かった」
「まあいいや。
歩ける?」
マリアはそっぽを向いたまま、俺の腕を引いた。
その横顔は照れ隠しをしているようにしか見えない。
《変人スナイパー・マリア復活編:砂漠の石油王》
◆ 砂漠のど真ん中、マリアは今日も狂っていた
ギラギラと照りつける太陽。
地平線の先まで続く砂の海。
そのど真ん中で。
なぜか 巨大な手製のドリル*を地面に突き刺し、ゴゴゴゴ……と音を立てて回している女が一人。
もちろん、マリア・デルガドだ。
「くっ、もう少し…もう少しで出るはず!!」
彼女は額に汗を流しながら、何かのナンバリングの入った赤いレバーを握っていた。
「この地形、地質、温度……全部計算済み…!
さあ来い、私のオイルフィールド!!」
砂漠で私的に石油を掘ろうとしているらしい。
完全に狂気。
本人は本気だが、当然出てくるものなど何もない。
ドリルは途中で砂に埋まり、空転している。
「おかしい…地層は完璧なはずなのに
ちょっと奥にズレたら埋蔵量がすごかったり
するんだよね?」
呟きながら、その“ちょっと奥”とやらにドリルを引きずり始める。
砂漠で、ドリルを引きずるスナイパー。
世界一意味の分からない絵面だ。
◆ 陽菜 任務帰り
俺は新たな任務を終え、疲労困憊のまま帰還ルートを歩いていた。
M16A4をスリングに掛け、汗をぬぐいながら砂丘を越える。
「…やっと帰れる
今日はもう誰にも会いたくねぇ」
そう思った矢先だった。
―ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
地響きのような音が砂丘の向こうから響いてくる。
嫌な予感しかしない。
「…まさかな」
だが、その “まさか” だった。
砂丘を越えた先で、ドリルを砂に突き刺し、うなり声を上げながら奮闘する
マリアの後ろ姿が見えた。
俺は頭を抱えた。
「はぁ。マリア…何してんだアイツ」
◆ 再会
マリアがこちらに気づく。
「あ、陽菜!ちょうどいいところに!」
「ちょうどよくねぇよ」
「いやぁ、見ろよ、このドリル。私、今日から油田王になるから」
「なるわけねぇだろ!!」
素で突っ込んでしまった。
マリアは真剣な顔でうなずき、手元のメモ帳を広げる。
「ここら一帯は大昔、海が近かった可能性がある。
つまり有機物の堆積が…」
「そのレベルの専門知識どこで仕入れたんだよ!」
「ネット」
「信じるなよ!!」
マリアは胸を張る。
「でものんびり構えてもいられないからね。
石油が出たら陽菜にも分けてあげるよ。
私の資産が十億ドルになったら護衛雇うから!」
「なんで俺を雇わねぇんだよ」
「陽菜は…えっと。そういうのじゃないから」
なぜか目をそらして言葉を濁す。
意味が分からん。
◆ 当然結果は…
ドリルのモーターが急に止まった。
バチンッ!
マリア
「あっ…ちょっ…止まった!?うそ!?」
動かそうとするがピクリともしない。
「…マリア、それ、もう砂に詰まってるだろ」
「嘘っ!?…あっ…完全に固着してる!?」
マリアは肩を落とし、砂にしゃがみ込む。
「うう…石油王計画…失敗…」
「当たり前だろ……」
呆れながらも、なんとなく放っておけなかった。
「とりあえず帰るぞ。こんなもん置いてけ。
俺、帰りてぇんだよ」
「ドリル…置いてくの?」
「捨てろ!!」
「うぅ…私の石油」
砂漠の風が吹き抜けた。
変人スナイパーはしょんぼりとドリルの取っ手を撫でている。
その姿を見て、俺はまた深くため息をついた。
「はぁ。お前ってほんっと、なんなんだよ」
「スナイパー」
「それは分かってる!」
◆ 夕暮れの砂漠
帰路、俺は歩きながらぼそりと言った。
「マリア。死ぬほど疲れて帰ってきて
お前が石油掘ってる姿見るとは思わなかったよ」
マリアは自信満々に笑った。
「驚いた?褒めていいよ?」
「褒められるわけねぇだろ」
「えへへ」
呆れと、少しの安心と。
疲れた心が、ほんの少し軽くなっている気がした。
◆ 新たな任務、開戦
砂漠の朝は冷たく、乾いた空気が肺を突き刺す。
俺はM16A4を握りしめ、目標地点へと歩を進めた。
今回の任務は、武装組織《ラ・マルカ》の拠点を単独で急襲し、通信設備を破壊すること。
敵は中規模、武器も最新とは言えないが、数は多い。
「また一人で山ほど相手にしろってか。
ほんと、俺の使い方雑すぎんだろ」
愚痴りながら砂丘を越えた瞬間
パシュッッ!!
頭上をかすめる弾丸が砂を跳ね上げた。
「ちっ…もうバレてんのか!」
俺は即座に地面に伏せ、MROサイト越しに敵を捉えた。
砂丘の影で5人――いや、6人。狙撃位置にもう1人。
「めんどくせぇ」
呼吸を整え、俺は、トリガを引いた。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
一気に3人を沈める。
敵は応戦しながら散開し、包囲を試みる。
「数で押す気かよ…」
俺はフォアグリップを握り直し、砂埃の向こうの影へ駆け込む。
足元を掠める弾。
背後で砂柱が弾ける。
息を乱しながら、俺は走り撃ちで2人を倒す。
残りは狙撃手。
砂丘の上――見つけた。
「あそこか…!」
敵狙撃手が銃口をこちらへ向ける。
だが―俺の方が速い。
ダンッ!
敵狙撃手が崩れ落ちると同時に静寂が戻った。
「はぁ。やっと片付いたか」
汗を拭いながら周囲を警戒し、通信設備へ向かう。
爆薬をセットし、離れた地点から起爆。
ドォォォォン!
砂煙が上がり、任務は完了した。
「よし帰るか」
だが、この後――
地獄のような“別の戦い”が待っているとは思いもしなかった。
◆帰路、そして“変人”との遭遇
任務帰り、夕陽が沈みかけていた。
俺は汗と砂で汚れた服を払いつつ歩いていたが―
前方の砂丘で、奇妙な影が動いているのに気づいた。
「また嫌な予感しかしねぇ」
近づくと、その影が両手を広げて叫んだ。
「陽菜ーー!!見て見て!!今度こそ完璧!!」
マリアだった。
そして、彼女の手には…
大きな“黒光りするサソリ” が掴まれていた。
陽菜
「は?」
マリア
「可愛くない!?この子ね、逃げ足速いけど根はいい子で…」
「よくねぇよ!!なんで捕まえてんだよそれ!!」
マリア
「だってペットにしようと思って」
「その発想どっから出てくんだよ!!」
マリアは悪びれるどころかドヤ顔でサソリを持ち上げる。
◆ 地獄のサソリ事件**
マリア
「ほら陽菜、ちょっと近くで」
「絶対やだ!!」
マリア
「大丈夫、毒はちょっとしかないから」
「“ちょっと”が致命傷なんだよ!!」
マリアが俺の方へ近づいたその瞬間――
サソリが手からスルッと落ちた。
そして――
俺の服の中にスッ……!!
「――――ッッ!?!?」
一瞬、心臓が止まった。
背中を這う生温かい感触。
(やべぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!)
「ちょ、待て、待て待て待てッ!!やべぇ!!やべぇ!!」
マリア
「陽菜、あははははは!!落ち着いて!!」
「落ち着いてられるかぁぁぁ!!!!!」
サソリが背中から腰へ、腰から腹へ、服の中を自由に移動し始める。
マリアは腹を抱えて笑っている。
「陽菜っ、声っ…ヒィ…
今一瞬、完全に女の子の悲鳴だったよ!!」
「黙れぇぇぇ!!助けろ!!殺すぞマリア!!」
マリア
「ダメだって、サソリが怒るから」
「俺が怒ってるんだよ!!!!!」
マリアはようやく近づき、俺の服を軽く引っ張りながら言う。
「陽菜、動かないで。刺されたらほんと危ないから」
「分かってるよ…!!早く出せ!!」
マリアは器用な指先でサソリをつまみ上げ、無事救出。
「はい、おしまい。陽菜、よく耐えたねー」
「二度と見せんな」
マリア
「でも可愛かったよ?さっきの悲鳴」
「忘れろ!!」
マリア
「“ひゃっ…!!”って言ったよね?」
「言ってねぇぇぇ!!!!!」
マリア
「いや言った。あれ録音しておけばよかった」
「マリアァァァァ!!!!」
◆ 夕暮れの二人
サソリに刺されなくて済んだものの、精神的ダメージがでかすぎた。
俺は砂漠に座り込み、頭を抱えた。
「…今日は散々だった」
マリアはサソリを瓶に入れながら微笑む。
「でも任務は成功したんでしょ?
戦果とサソリ、どっちもゲットじゃん」
「“サソリ”はいらねぇよ…」
マリア
「陽菜、今日もお疲れ。
また変なの捕まえたら見せてあげるね」
「絶対に見せるな!!、変なのはお前だ!!」
マリアが満面の笑みを浮かべる。
「じゃあ、またね。陽菜の悲鳴…思い出してニヤけちゃいそう」
「マジで忘れろーーーーッ!!」
砂漠に俺の叫びがこだました。
**長編ミリタリーアクションストーリー・陽菜一人称(俺)**
砂漠の夜は静かすぎて、逆に耳が痛ぇ。
そんな中、俺はクライアントから新たに渡された任務資料を開く。
目的は二つ。
武装組織《レッド・フラグ》前進拠点の電子データ奪取
敵指揮官の排除
依頼料は高い。
代わりに――準備された戦力は俺だけ。
「……まぁ、いつも通りってわけだな」
M16A4を肩にかけ、MROサイトの点灯を確認。
レーザーサイト、フォアグリップ――どれも調子はいい。
サイドアームのM9も新品みてぇに整備したばかりだ。
今回は長丁場になりそうだ。
俺は砂丘の影から暗闇を睨み、息を潜めて前進した。
作戦エリアに近づくと、夜風に混じって聞こえてくる。
エンジン音。
交信。
足音。
ガチャつく金属音。
「……おいおい、おかしいだろ。こんなに人いたか?」
事前情報では、敵は”十数名”だったはず。
だが実際は――ざっくり数えても三十以上。
「クライアント、絶対俺に死んでほしいだろ……」
悪態をつきながらも、やるしかねぇ。
砂丘の陰からM16A4を構え、呼吸を深く吸う。
「まずは外側から削る。焦るな、いつも通りだ」
俺は一人ずつ、音を殺して仕留めていく。
**ダンッ、ダンッ**
消音器がない分、発砲は最小限。
狙って、動線を読み、次々と敵が沈む。
だが――敵は多い。
群れみてぇに湧いてくる。
その時、砂嵐が吹き始めた。
「チャンスだな」
視界が悪くなるのは、敵も同じだ。
俺は風と砂を利用して、敵陣へ潜り込んだ。
◆ 拠点内部へ
敵拠点の外壁は鉄の簡易バリケード。
巡回が3人いる。
「やるなら、一瞬だ」
砂嵐の中、影のように近づく。
まず後方の首を手刀で落とし、
動揺した2人を近距離射撃で制圧。
ダンッ! ダンッ!
音は砂嵐に吸われ、誰も気づかない。
俺はバリケードを抜け、建物内部へ侵入した。
中は薄暗く、発電機の音が響く。
目標のデータ端末は奥の部屋。
だが問題は、そこへ続く廊下に
“軽機関銃持ち”が2人いることだ。
「あれは真正面から行くと蜂の巣だな」
壁に張り付き、タイミングを測る。
一瞬
2人が互いに視線を外す。
俺はそこへ飛び込み、
足元へM9を滑らせるように連続射撃。
パンパンッ!
弾丸は正確に膝を砕き、2人は倒れ込む。
「膝が弱点だって、昔
教官も言ってたっけな」
倒れた敵を無力化し、さらに奥へ進む。
ついにデータ端末を発見。
USBデバイスを差し込み、転送開始。
「よし、あと3%、2%…」
だが―
重い足音。
7、いや8人か?
近い。
まずい。
俺はデータを回収し、窓を蹴破って外へ飛び出した。
◆ 退路なし
砂嵐は弱まり、視界が戻り始める。
最悪だ。
包囲網の中にいる。
「やれやれ、本気で数量詐称だな」
敵は十数人
今は三十人
実際には五十以上―
「ふざけんなよっ!」
俺は
M16A4を握り直し、深く深呼吸した。
ダンッ! ダンッ! ダダダッ!
土煙の中、俺は戦場を縦横に走り抜ける。
レーザーサイトで素早く敵の位置を補足し、
フォアグリップで制御しながら連射。
一歩進むたびに、命が削れる。
地面に伏せ、転がり、飛び込み、
MROの赤点で頭の位置を追う。
だが、敵の数は減らねぇ。
「くそ…! どこまで湧くんだよ!」
マガジン交換―残りは2本。
少なすぎる。
敵の銃弾が肩をかすめ、砂が跳ねた。
(やべぇ…本気で死ぬかもな)
でも――足は止まらない。
◆ 最後の反撃
敵が連携し始めた。
遠距離狙撃、近距離突撃、挟撃。
完全に“俺を仕留めるため”の動きだ。
「上等だ。全員倒して帰る」
最後のマガジンを装填。
M16A4が重く感じる。
砂丘の影から、俺は最後の奇襲を仕掛けた。
ダダダダダッ!
砂煙の中、赤点が敵を貫く。
一人、また一人――
確実に仕留めていく。
胸が焼けるように熱い。
息が詰まり、視界がぼやける。
けど―止まれない。
◆ 終わりの見えた戦い
最後の敵は、背後からナイフを突き立ててきた。
俺は咄嗟に肘打ちを叩き込み、
後ろ回し蹴りで倒す。
息を荒げて周りを見渡す。
誰も立ってない。
「終わった…のか?」
砂漠の夜風が冷たく吹き抜ける。
俺は地面に座り込んだ。
腕には小さな切り傷、肩は撃たれかけ。
それでも、立って生きてる。
任務は―
「完了…だな」
◆ 砂漠の月の下で
月明かりの下、俺は装備を点検する。
M16A4のボルトに砂が詰まり、
M9のスライドは熱で真っ赤に近い。
「よく頑張ったな、相棒」
武器に声をかけて、俺は立ち上がる。
歩き出した先、誰もいない砂漠。
一人。
でも―これが俺の仕事だ。
「さて…帰るか」
薄い雲が月を覆い隠し、
砂漠は再び静寂に包まれた。
俺はその静寂の中を、ただ歩く。
次の任務が、また来るまで。
砂漠の夜明け前。
冷えた空気を吸いながら、俺は任務概要を最後に確認した。
* 目的:補給線を構築している敵工兵部隊の無力化
* 敵推定人数:20〜25名
* 作戦開始時間:夜明け前の暗闇
「数はまぁ、いつものことだな」
M16A4のボルトを引き、作動確認。
M9の弾倉を二つ装着。
問題なし――のはずだった。
俺は砂丘を越え、敵の臨時キャンプへ接近する。
◆ 最初の奇襲
夜明け前の薄暗さは、狙撃も警戒も緩む絶好の時間だ。
俺は
M16A4を構え、見張りをひとり仕留める。
タンッ
静かに崩れ落ちる見張り。
この調子で――と思った矢先だ。
ガッ…カチッ。
M16A4のトリガーを引いても
音が―しない。
「は?」
もう一度ボルトを引く。
ジャリ…ジャリ…。
嫌な音。
違和感の塊。
砂だ。
砂が詰まり、作動しない。
「このタイミングでかよ…ッ!」
フルダストカバー開きっぱなしのクセが仇になったらしい。
周囲に敵の気配。
もう隠密は終わった。
◆ M9での反撃
M16A4を背中へ放り、M9を抜く。
パンッ! パンッ!
近距離の敵を正確に撃ち抜く。
M9は軽い、取り回しがいい。
ただ
火力も、持久力も、ない。
敵が3人倒れた頃には、
キャンプ全体が慌ただしく動き出していた。
「来るな…来るなよ…!」
パンパンパンッ!
敵が次々に駆け上がってくる。
俺は遮蔽物を渡り歩きながら
正確に相手を撃ち抜く。
だが―
マガジン1本目が空に。
カチンッ!!
「早いっての!!」
2本目を入れ、また撃ち続ける。
ブローバックの反動で手が痺れる。
パンッ パンッ パンッ
最後の1発で敵の喉を撃ち抜いた。
―カチッ。
M9は沈黙した。
「弾切れ…最悪だ!」
◆ 包囲網
今、手元にあるのは、
役立たずになったM16A4と
弾切れのM9だけ。
視界の向こうから、
じわじわと敵が包囲を狭めてくる。
AKの独特な金属音が響く。
「マジで終わるかもしれねぇな」
そう思った、その時だった。
倒れた敵兵のすぐ横に
AKM。
木製ストックの古めかしい外見。
だが、砂漠でも壊れない“あの”銃。
「借りるぞ」
俺は地面へ滑り込みながらAKMを掴む。
重い。
だが、ずっしりした頼もしさ。
マガジンは半分ほど残っている。
セレクターを下へ――
フルオート。
◆ AKM、火を噴く
「行くぞ…ッ!」
トリガーを引く。
ダダダダダダッ!!
M16A4より荒々しい反動。
低い銃声。
空薬莢が大量に飛び散る。
撃つたびに肩へ衝撃が走る。
けど、それがいい。
敵の体勢が一気に崩れる。
AKMの弾は重く、
遮蔽物ごと敵を貫く威力がある。
「やっぱすげぇ火力だな…!」
敵が散り散りに逃げようとする。
俺は追撃しながら、慎重に射線を変える。
ダダダッ!
木壁越しに2人撃ち抜く。
ダダダダッ!
走る影を倒す。
タンッ―タンッ!
最後の敵を単発で仕留めると、
戦場は静寂を取り戻した。
荒い息だけが残る。
「助かった…本当に」
砂漠の真ん中で座り込んだ俺の横に、
AKMだけが静かに転がっている。
◆ 第二の相棒
M16A4は砂だらけで、再使用には分解整備が必要。
戦場では使い物にならない。
M9は弾切れ。
でも――AKMは違う。
どれだけ地面に叩きつけられても、
どれだけ砂が入り込んでも、
動く。
「お前、化け物かよ」
俺は
AKMを持ち上げる。
重い。
だけど、その重さが安心に変わる。
「今日から…第2の相棒だな」
木製グリップは敵兵の汗で少し湿っていたが、
それでもしっかり手に馴染む。
空を見上げると、
薄い砂煙の向こうに太陽が昇り始めていた。
「任務完了…帰るか」
AKMを肩にかけ、俺は歩き出した。
砂漠の朝日が、
新しい相棒の鉄の肌を赤く染めていた。
◆ 砂煙の中の点検作業
前回の任務で砂詰まりを起こしたM16A4。
そして、生き延びるきっかけになったAKM。
俺は砂漠の岩陰で簡易キャンプを張り、
まずは道具を広げた。
「さて、まずは壊れちまった相棒の治療だな」
M16A4を分解し、
ガスチューブ、ボルトキャリア、アッパーを徹底的に調べる。
ジャリッ……ジャリッ…
予想以上の砂だった。
「こりゃあ撃てないわけだ」
クリーニングロッドで丁寧に砂を掻き出し、
溶剤を染み込ませたブラシで磨く。
M16A4は繊細で、手間はかかる。
だが、丁寧に扱えば抜群の精密性が帰ってくる。
仕上げにオイルを薄く塗る。
「よし。復活」
次にAKM。
こちらは――
「お前、分解する意味あんのか?」
と思うほど単純な構造だ。
ガスピストンは多少砂が入っても動くし、
ボルトも強引に作られている。
だが、相棒として迎えた以上、
適当に扱うわけにはいかない。
俺は丁寧に布とブラシで砂を落とし、
アクションにオイルをさす。
「うん。まぁ、問題なく動くな」
AKMはやっぱり頑丈すぎる。
◆ さすらいの武器商人
整備を終えた頃、
遠くの砂丘の向こうから、砂煙とともに影が現れた。
ラクダか?
違う。トラックでもない。
サンドバギー。
しかも――迷彩塗装。
ボンネットに銃弾の跡。
後方には木箱が山積み。
「誰だ?」
バギーが目の前に止まると、
フードを深くかぶった男が降りてきた。
顔は布で隠している。
「お前……武器商人か?」
「さぁな。砂を歩けば武器が必要だ」
声は低く、年齢不明。
ただ者じゃない。
◆ スモークランチャー
男は俺のAKMを見ると、
しばらく無言で眺め、ニヤリとした。
「悪くねぇな、そのAKM。
だが…ひとつ足りない」
「足りない?」
武器商人は木箱をひとつ開け、
奇妙なアタッチメントを取り出した。
ミニスモークランチャー。
AKM専用に加工された、カスタム品だ。
「こいつを付ければ、近距離で煙幕を張れる。
逃走にも、陽動にも使えるだろう」
「値段は?」
「タダだ。気に入った」
「は?」
男は俺の反応を気にせず、
慣れた手つきでAKMのアンダーバレルに装着した。
カチン
完璧に噛み合った。
「こいつは一期一会だ。
砂で拾った命(AKM)、砂で強化しろ」
◆ マガジンと弾薬
男はまた荷台を漁り、
AKマガジンを4本取り出す。
さらに7.62×39mm弾の箱を5つ。
「いやいや、多すぎだろ。俺は払えねぇぞ」
「タダだと言った。
ここを歩いてる奴は、金より縁が大事だ」
意味不明だが…悪い気はしない。
「お前、名前は?」
「名前なんざ…砂に置いてきたよ」
男はバギーに戻り、エンジンをかける。
「またどこかで会うかもな。
会わねぇかもしれんが」
砂煙を巻き上げながら、
武器商人は一瞬で視界から消えた。
「なんだったんだ、あいつ」
答えは砂しか知らない。
◆ 試射とカスタム完成
俺は装備の確認をする。
M16A4→ 完全復活
AKM→ 新・相棒
* スモークランチャー
* 予備マガジン×4
* 弾薬
武器商人の一言が頭に残る。
“砂で拾った命、砂で強化しろ”
「確かに、そうだな」
AKMを構え、
距離120mに置いた石を狙う。
ダダッ!
石が粉々に砕けた。
「やっぱ、頼りになるな」
次に、スモークランチャー。
ポンッ!
白煙が一気に広がる。
「これは…使える」
追われた時、
攻める時、
逃げる時。
選択肢が一気に増える。
◆ さすらいの縁
バギーの軌跡は、
もう砂に消えて見えない。
だが、あの男は確かに言った。
「またどこかで会うかもしれん」
「もしまた会ったら…礼ぐらい言わねぇとな」
砂漠の風が吹き抜け、
AKMの木製ストックを優しく撫でる。
M16A4とAKM、
二本の相棒を抱え、
俺は次の任務地へ向けて歩き出した。
砂を踏む感触は重くない。
新しい相棒とともに、
俺はまた砂の戦場に戻る。
◆ 新たな任務 ― 二つの相棒を背負って
依頼主からのブリーフィングは簡潔だった。
「砂漠地帯に潜む新興武装組織の拠点を叩け」
標的は軍事物資の密輸基地。
敵は多く、地形は複雑。
長距離、近距離、奇襲、籠城戦――全部起こりうる。
「なら、両方持ってくしかねぇな」
俺はM16A4を肩に掛け、
新たな相棒となったAKMを背中にスリングする。
M16A4(MROサイト・レーザー・フォアグリップ)
→ 中〜遠距離の精密戦闘が得意
AKM(スモークランチャー付き)
→ 近距離突入・悪環境・乱戦向け
二つの銃はまるで正反対の性格だ。
だが、今の俺にはどちらも必要だった。
◆ 標的への接近
夜明け前。
砂漠の薄闇を切り裂きながら、俺は敵の基地へと近づく。
双眼鏡で確認すると、
武装ゲリラが数十名。
巡回も多く、
狙撃手が塔に一人。
「まずは遠距離。M16A4の出番だな」
俺は伏せてM16A4を構え、
呼吸を整え、スコープ越しに狙う。
MROサイトは近距離用だが、
慣れれば中距離の狙撃もこなせる。
敵哨戒兵の頭部がサイトに収まる。
「行くぞ」
パシュッ
サプレッサー越しの静かな銃声。
敵は崩れ落ちる。
続けざまに二人目、三人目。
すべて一撃で倒す。
「やっぱり精密さじゃM16A4が一番だ」
敵の外周警戒が薄くなったところで、
俺は基地に接近した。
だが――。
◆ 予想外の乱戦
基地の入口近くまで来た時、
突然、警報が響き渡った。
ビィィィィィィィ!!
「チッ…バレたか!」
四方から敵兵が飛び出す。
数が多い。
M16A4のマガジンを入れ替えながら応戦するが――
ジャム。
「クソ、またか!」
砂漠では、どれほど整備していても
M16A4は時に気難しい。
俺は即座に判断し、背中のAKMを引き抜いた。
◆ AKMの火力解放
「出番だ!」
ダダダダダッ!!
7.62mmの重い反動が腕に伝わり、
敵兵の身体を容易く吹き飛ばす。
弾一発の威力が違う。
近距離、乱戦、悪環境――
ここではAKMが最強。
敵が十人以上押し寄せてくる。
俺は冷静にマガジンを交換し、
遮蔽物を使ってAKMの制圧射撃を続ける。
ダダダッ! ダダダッ!
空薬莢が砂に散らばる。
だが敵はまだ来る。
その時――俺はAKMのアンダーバレルを触り、思い出した。
「そういや、お前には新しいオモチャがあったな」
スモークランチャーを起動し、
敵のど真ん中に向けて発射する。
ポンッ!
大量の白煙が広がり、敵が混乱する。
「今だ!」
煙幕を利用して、
俺は逆に敵の背後へ回り込み、
近距離からAKMを浴びせた。
ダダダダダッ!!
敵は次々倒れていく。
◆ 中距離戦へ戻る
敵の大半を排除したあと、
俺は奥の倉庫へ進む。
そこには――残党が狙撃的なポジションで陣取っていた。
AKMでは正確に撃ち抜けない距離だ。
「戻るぞ、相棒」
俺は再びM16A4を構え、
MROサイトを調整して中距離で狙う。
狙撃手が身を出した瞬間――
パシュッ
額を撃ち抜く。
続けて複数のターゲットを正確に仕留めていく。
近距離はAKM、
中距離はM16A4。
状況次第で武器を即座に切り替える。
それが今の俺の戦い方だ。
◆ 最終局面 ― 二挺の共闘
残るはリーダー格だけ。
奴は装甲車の後ろに隠れ、
重機関銃を構えていた。
「真正面からじゃ勝てねぇな」
俺はM16A4で牽制しながら、
AKMにスモークランチャーをセットする。
ポンッ!
白煙が装甲車の周りを覆う。
リーダーが視界を失ったその瞬間――
俺はAKMを片手で抱え、全力で駆ける。
反対側へ回り込むと、
煙の中で敵が慌てて銃を探しているのが見えた。
「遅ぇんだよ!」
至近距離、
AKMの7.62mmを叩き込んだ。
リーダーは倒れ、
敵組織は壊滅。
◆ 戦場の静寂と二挺の意味
血と砂の匂いが消えていく中、
俺は二挺を並べて腰を下ろした。
M16A4は繊細で優秀な狙撃役。
AKMは荒れた場所での信頼できる強打者。
どちらか一方では足りない。
それが今日、身にしみて分かった。
「どっちも相棒だ。お前らのおかげで生き延びた」
銃は返事をしない。
だが、冷たい金属はなぜか温かかった。
俺は二挺を背負い、
夜明けの砂漠へ歩き出した。
次の任務がどんな地獄でも、
この二つがあれば乗り越えられる。
◆ 「一丁でやれ」
新任務のブリーフィングで、指揮官の口から出た言葉に
俺は思わず耳を疑った。
「今回はAKMのみで任務を遂行しろ。
理由は後で説明する」
「AKMだけ…? 本気かよ」
通常は複数武器を使い分けて戦う。
だが今回は例外らしい。
標的は、山岳地帯に拠点を置く「灰色の屑ども」と呼ばれる武装派。
装備は旧式だが、とにかく数が多い。
小隊単位で動き、奇襲を得意とする。
俺はAKMを手に取り、ボルトを引いた。
「いいぜ。お前一丁で全員倒してやる」
その時、副官が笑いながら言った。
「敵が使ってる弾薬もAK系が多い。現地調達しやすいからね」
なるほど。
弾切れの心配が少ないわけか。
俺は深く息を吸い、任務へ向かった。
◆ 侵入 ― 暗闇に潜るAKM
夜、山岳の麓。
月明かりだけが石の斜面を照らしている。
敵拠点までは約800m。
そこに至るまで、見張りが三ヶ所。
M16A4が使えないなら、
距離を詰めるしかない。
「静かにいくぞ」
AKMにサプレッサーを装着し、
伏せたままゲリラ監視兵に近づく。
距離25m。
ヘッドショットを狙う。
**パシュッ**
サプレッサー越しの乾いた音。
一人倒れる。
残り二人を、岩場に沿って移動しながら
短射で仕留める。
**パパッ!**
弾薬は敵から回収する。
AK系の30連マガジンは本当に山ほど落ちている。
「楽だな、弾だけは」
俺はそう呟き、山の奥へと進んだ。
◆ 谷間の罠 ― 四方からの銃撃
拠点手前の谷に入った瞬間。
足元で音がした。
**カチッ**
「地雷か!」
反射的に横へ飛び込む。
ドンッ!!
爆風が背中を叩く。
耳鳴りの中、敵の怒号とAKの連射音が響いた。
四方から十数人が襲ってくる。
「人数多すぎだろ…!」
俺は素早く岩陰へ隠れ、
AKMのセレクターをフルオートに叩き落とす。
遮蔽物の横から身を半分だけ出し、
一気に制圧射撃――。
ダダダダダッ!!!
7.62mm弾が岩を砕きながら
正面の敵を薙ぎ払う。
左側から回り込む敵へは
腰撃ちで応戦。
ダダン! ダダダッ!
AKMの反動は大きいが、
近距離なら十分当たる。
敵が後退した瞬間、
俺は前へ出る。
足元には敵の死体が転がり、
そのポーチには30連マガジンがぎっしり。
「助かるぜ…補給完了だ」
弾をポーチに詰め込み、谷を抜けた。
◆ 拠点内部 ― 罠だらけの迷路
敵拠点は洞窟に作られた迷路のような構造だった。
壁には古いランプ、地面は砂と木片。
進むたびに銃声が響く。
三人、五人、また三人
とにかく多い。
だが、AKMは止まらない。
ダダッ!
パパパッ!
ダダダダッ!!
反動に腕がしびれても、
アドレナリンが痛みを消し去る。
右角を曲がる度に、
俺は敵の顔面に7.62mmを叩き込んだ。
敵の兵士が叫ぶ。
「一人だぞ! 囲め!」
「囲んでくれてありがとな」
俺は床に転がっていた
敵のRPGの弾頭を掴み、壁に投げつけた。
ドンッ!!
爆発で灯りが吹き飛び、洞窟が暗闇に沈む。
その瞬間――
ダダダダダッ!!
ダダッ! ダダッ!
俺は暗闇の中で敵の足音だけを頼りに撃った。
光はない。
だが、AKMは信頼できる。
目を閉じても撃てるほどになじんだ重量と反動。
この銃は「荒れた戦場に強い」と言われる理由が、
よく分かる。
◆ 最深部 ― 奴らのリーダー
洞窟の奥、広い空間に出た。
中央には即席の司令室。
そこに、現地武装組織のリーダーがいた。
重機関銃、装甲板、護衛が3名。
正面突破は難しい。
「けど…やるしかねぇな」
AKMのマガジンを交換し、
深呼吸して突っ込む。
まずは、護衛
膝撃ちで低い角度から連射。
ダダダダッ!
足元を撃ち抜けば
…。
護衛の一人が倒れ、
残り二人が反撃。
その瞬間、俺は滑り込むように地面を転がり、
AKMを横撃ちで撃ち上げた。
ダダン! ダダダッ!
二人目、三人目、倒れる。
リーダーは重機関銃を向けて咆哮した。
「そんなもん撃たせるかよ!」
俺は左に飛び込み、
遮蔽物から身を出して単発で頭部を狙う。
パスッ!
一発で仕留めた。
そして――洞窟に、静寂が訪れた。
◆ 任務完了 ― AKMだけで生き延びた俺
洞窟を出て月明かりの下へ戻ると、
背中のAKMがやけに重く感じた。
身体は汗と血でベタつき、
腕は反動で震えている。
だが、達成感はあった。
「AKMだけで、本当に全部やっちまったな」
信頼性、火力、環境適応力。
どれもM16A4にはない「泥臭い強さ」だ。
銃を肩に担ぎ、無線を入れる。
「こちら陽菜。任務完了。生還した」
俺は歩き出す。
敵の死体の中から拾った弾薬が、
ポーチの中でカラカラと揺れた。
戦場の匂いがまだ離れない。
だが
俺の相棒は、確かに今日も俺を生かしてくれた。
◆ 任務ブリーフィング ― “黒い峰(ブラック・ピーク)
作戦司令室は薄暗く、プロジェクターの光だけが地図を照らしている。
砂漠と山岳が入り交じる複雑な地形。その中央に、黒く塗られた山があった。
「お前が行く。潜入メインの作戦だ」
司令官は地図を指差しながら続けた。
「標的は《黒い峰》にある敵秘密研究施設。
中には武装警備、監視システム、罠すべて揃っている」
施設内にいる研究者とデータを回収して脱出する。
極秘任務。
増援は期待できない。
「また一人で、か」
司令官は頷く。
「お前以外に適任はいない。
M16A4に加え、AKMの携行許可も出す。使い分けろ」
俺は二丁の銃を見下ろしながら言った。
「了解だ。潜入から殲滅まで全部やる」
今回は単なる戦闘任務じゃない。
静かに入り、必要なものを奪い、静かに出る…はずだった。
◆ 潜入開始 ― 夜の断崖
夜。黒い峰の南側。
垂直に近い断崖絶壁にワイヤーで降下していく。
月は雲に隠れ、視界は最悪。
風が強く、岩肌に身体がぶつかりそうになる。
「潜入なんて、何年ぶりだ」
10m、20m、30m降りたところで、
崖の中腹に人工的にくり抜かれたメンテナンストンネルを発見した。
俺は壁を蹴って飛び移り、
グレーチングをこじ開けて中へ滑り込む。
中は薄暗く、金属の匂いが漂っていた。
本格的な敵地潜入はここからだ。
◆ 静かなる排除 ― 研究施設の影
音を立てずに進む。
監視カメラは、死角から死角へ移動して回避する。
やがて、二人の武装警備兵が巡回してきた。
(正面突破はダメだ。静かに行く)
俺は背後に回り、
M9のサプレッサーを取り付ける。
パシュッ、パシュッ
二人の警備兵は音もなく倒れた。
それから先は、
設備室 → 電源室 → 廊下
と、迷路のような構造が続く。
途中、レーザーセンサーを見つけた。
床の埃の積もり方がわずかに違う。
光源は見えないが、そこに“ある”。
「幅50cm。くぐれるな」
床ギリギリまで身体を伏せ、
蛇のように滑り抜ける。
さらに進むと、扉越しに敵の会話が聞こえた。
「ドクターはすぐデータを完成させるらしい」
「完成すれば、この武器で世界が変わる」
(研究者は生きているな)
俺は拳銃に代えてナイフを握り、
扉の陰へ素早く回り込んだ。
警備兵が出てきた瞬間――
スッ(喉に一撃)
声すら出させず排除した。
◆ そして、バレた
研究室前の部屋で、
手錠姿の研究員を発見した。
「た、助けてくれ君は…?」
「救出に来た。喋るな。」
手錠を外し、端末からデータをダウンロードする。
残り15%……
まだだ、まだ終わらない。
そのとき――
施設全体にアラームが鳴り響いた。
ウウウウウウウウウウッ!!!
研究員が顔を青くした。
「見つかった!」
「黙ってろ。ここからが本番だ」
床が揺れ、
重武装の敵部隊が通路に殺到してくるのが聞こえた。
潜入任務は、静かに終わる予定だった。
だがもう関係ない。
◆ 殲滅戦開始 ― M16A4とAKMの切り替え
俺は即座にM16A4を構え、
研究室の扉を盾代わりにしながら射撃した。
ダダダッ!
正面から突っ込んできた敵三名倒れる。
マガジン10発残。
「ここでM16A4は厳しいな」
近距離戦と数の暴力が始まるなら、
火力と貫通力のあるAKMの方がいい。
俺は背中のAKMを抜いた。
カチン(装填)
「来いよ、まとめて相手してやる」
敵が閃光弾を投げ込み、
部屋が白く光った。
視界が奪われても、
俺は暗闇で戦う訓練をしている。
敵部隊が突入してきた瞬間――
ダダダダダッ!!!
AKMの7.62mmが壁ごと敵を貫く。
あっという間に五人倒れた。
狭い廊下では、
AKMの破壊力がまさに鬼神のようだった。
ダダッ!
ダダダダッ!
撃つ度に血しぶきが飛び散り、
敵は後退を余儀なくされる。
だが敵の増援は止まらない。
「博士を守れ!」
「言われなくても守る!」
俺は研究員を背に、
AKMをフルオートで撃ち続けた。
◆ 脱出 ― 地下水路の死闘
データのダウンロードが完了。
俺は研究員を連れて、
施設の裏側の地下排水路へ走った。
だが…
「そこだぁああ!!!」
敵が追ってきた。
しかも
RPGまで撃ち込もうとしている。
「やべぇ…!」
俺は研究員を押し倒して遮蔽物の陰に飛び込む。
**ドゴォォン!!**
排水路の壁が吹き飛び、
水と瓦礫が降り注いだ。
視界が土煙で真っ白になる。
敵の咆哮が近づく。
「ここが正念場だな…!」
俺はAKMのマガジンを叩き込み、
煙の中へ踏み込む。
ダダダダッ!!!
ダダン! ダダダッ!
近距離での撃ち合い。
敵は10人以上。
だが狭い排水路では、
火力勝負が全てだ。
AKMの銃声が排水路内で反響し、
次々と敵が倒れる。
最後の一人が逃げようとした瞬間――
パパッ!
短射で後頭部を撃ち抜いた。
呼吸が荒い。
腕が震える。
だが、勝った。
「行くぞ博士。出口まであと少しだ」
◆ 朝焼けに照らされて
地下排水路を抜けると、
砂漠の朝焼けが広がっていた。
ヘリが待っている。
研究員を押し込んだ瞬間、
俺の全身から力が抜けた。
「よく生きて戻った!」
司令官の声が無線越しに聞こえる。
「潜入任務のはずだったんだけどな。
結局、総力戦になっちまった」
ヘリの中から黒い峰を見ると、
遠くで爆発が続いていた。
俺はAKMの重みを肩で受けながら、
静かに呟いた。
「次は…もう少し静かな任務にしてくれよ」
だが心の奥では知っている。
俺は、静かな任務なんて似合わない。
◆ 消えた村の謎
■ 砂嵐の中の“依頼なき任務”
俺は砂漠の小さな町で、久しぶりに休んでいた。
依頼もなく、金も少し残っていた。
たまの休息…のはずだった。
だが、食堂で耳にした話が気になった。
「北の山岳地帯の村が、一夜で消えたらしい」
「武装集団だ。住民を皆殺しにして物資とか…
略奪したってよ」
胸の奥がざわついた。
「あぁ、こういうのを放っておける性格じゃないんだよな、俺は」
報酬はなし。
司令官もクライアントもいない。
ただの独断行動。
俺はM16A4とM9を携え、
ラクダすらいない砂漠を徒歩で北へ向かった。
■ 廃村 ― 血の跡
日暮れ前、噂の村に到着した。
瓦礫。
焼けた家。
銃痕。
そして、まだ乾ききらない血。
俺の中で何かが静かに燃えた。
「犯人ども、まだ近くにいるな」
不自然に残された足跡。
重火器を運んだ跡。
そして、村外れの砂に半ば埋もれたタバコの吸殻。
匂い、形状
黒海周辺のゲリラが使う銘柄。
「ターゲット決定。俺の任務だ」
俺はそのまま山岳地帯へ追跡を開始した。
■ 敵拠点 ― そして罠
2時間後、山肌に隠された敵の小規模な前線基地を発見した。
テントが数十張り、車両、火器、警備。
数は20〜30人。
報酬なしでやる仕事じゃない。
だが俺は構わない。
「夜まで待つ。静かに切り崩す」
夜、月が雲に隠れた瞬間――
俺はM16A4のMROサイトを覗き、
サプレッサー付きで警備兵から仕留めていった。
**パシュッ**
**パシュッ**
二人倒した。
三人目も倒した。
しかし——
四人目を倒したところで、
地面に“わずかな金属の反射”が見えた。
(何だ?)
踏み込んだ瞬間。
**カチッ**
「ッ!!? しまっ——」
ドォォォン!!
仕掛けられていたクレイモアが爆発した。
俺は吹き飛ばされ、地面で転がった。
腹部に焼けるような痛み。
左足に金属片が刺さっていた。
耳鳴りがひどく、視界が揺れている。
だが、終わりじゃなかった。
「侵入者だ!!!」
「殺せ!!!」
敵基地全体が俺に気づいた。
最悪だ。
完全に罠にかかった。
■ 迫る敵部隊
木箱の陰に転がり込んだ俺に、
弾丸が雨のように降り注ぐ。
バババババッ!!
ドドドドッ!
腹は裂け、足は動かない。
耳鳴りでM16A4の音すらまともに聞こえない。
敵は十数人がかりで迫ってくる。
「クソ! まだ死ねねぇ!」
俺は痛む体を引きずりながら、
M9を抜き、遮蔽物から撃ち返した。
パンッ! パンッ!
三人倒した。
だが距離が近い。
押し切られる。
敵が投げ込んだ手榴弾が転がってきた。
「畜生ッ!!」
俺はとっさに拾い、
逆方向へ投げ返した。
**ドガァアア!!**
爆風で再び吹き飛ばされる。
体は限界に近い。
敵の足音が迫る。
「生きて捕らえろ!!」
最悪の展開が目前に迫っていた。
■ 命懸けの撤退
俺は痛みに耐えながら、
基地の裏側の岩場へ転がるように逃げた。
ドドドドドッ!!!
敵の銃撃が背中に降り注ぐ。
左足がもう動かない。
肺の奥が焼ける。
視界が暗くなる。
「まだ死ぬわけには、いかねぇ」
腹の傷口に圧力をかけながら、
岩陰へ身を隠した。
敵は包囲しようとしてくる。
夜風が血の匂いを運ぶ。
ここで捕まれば、
死ぬより酷い目に遭うだろう。
(これはもう“任務”じゃない。
生き延びる戦いだ)
右手に残ったM9は弾が二発。
M16A4のマガジンは残り半分。
敵はまだ十人以上。
俺は自分に言い聞かせた。
「ここから後編だ。絶対に生き抜く」