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そうすると彼女の方からキスをしてきた。そして円を描くように腰を動かし始めた
その仕草でもうポンッと北斗の頭が爆発した
二人は荒々しく、完全に調和して、お互いの体をぶつけあうのを楽しんだ
アリスはまるで神が自分のために、特別にあつらえたようだった
ぴったりと寸分の隙間もなく、滑らかでよく濡れていた。一突きごとの摩擦がたまらなく気持ちがいい。腰を激しく動かすのが止まらない、突いても突いても足らない、もっとほしい
これまで見つからなかった、自分の魂の半身がやっと見つかった。そんな気分だった
ヤバイ・・・泣きそうだ
ゆっくり楽しみたい、この感覚を1秒でも長く引き伸ばしたい
北斗はそう思ったが、アリスが悲鳴のような声をあげ、北斗を包んでいる部分が初めてキツク収縮し出した
ああ・・・これだ!このために生きてたんだ!
これを求めていた!
そう叫びそうになるのを堪えて、北斗は心と魂のすべてを彼女の中に注いだ
一瞬だけ気を失ったのかアリスの上になったまま、完全に身体と思考は停止した。先ほどの煌めく絶頂感の余韻にずいぶん浸っていた
息が苦しくて肺が熱い、体の震えはしばらく続いた
やっと震えが収まってくると、しがみつくように彼女のお尻を掴んでいた指の力を少し緩めることができた
どさりと彼女の横になり、彼女と自分の噴き出した精液で汚れているモノを綺麗に拭いた後、彼女のびしょびしょになっている股間も綺麗にしてあげた
そして彼女を抱き寄せ、感謝の思いで彼女の髪と背中を撫でた
いつも馬にしていることだ、人間には「手当て」と言う言葉があるように、手の平からヒーリングパワーが出ている
北斗の想いもしゃべらなくても何度も、この撫でさする事で動物とコミニュケーションを取って来た
しかし彼女は人間だ、彼女が少しでも嫌な気持ちや痛い思いをしたなら謝らなければ
どうしても彼女に伝えたかった
普段の自分はとても淡白で、こんな頭がおかしくなったイノシシみたいなやり方で、愛を交わしたりしないんだと・・・
やがて呼吸は落ち着き、なんとか北斗は口を開いたのだが
彼女からは柔らかな寝息が聞こえてきていた、彼女は熟睡していた
北斗はにっこり笑った。そして彼女を腕に抱き寄せくしゃくしゃになった上掛けを引っ張り上げる
頭を腕にのせ、寒くないように彼女の肩まで、そっと上掛けで包んであげた
夜明けに目覚め、彼女の優美な顔を見下ろし、指でそっと輪郭をなぞった
そして彼女が目覚めたら、何を話そうかと思った途端に、例の緊張が自分の中で走った
彼女が目覚め、あの可愛らしい瞳で自分をじっと見て、何か話しかけたらと思うと心臓がドキドキし出した
彼女が話しかけたら、自分も返事をしなければならないだろう
愚かにも彼女を自分のものにしたら・・・体が結ばれれば・・・
二人が一つになることで、自分の緊張による喉のつかえがとれて、自由に言葉が出てくると考えていた。彼女と笑いながら朝まで語り合う二人を夢見た
しかしそうはならなかった・・・
「吃音症きつおんしょう」・・・(どもること)
大人になってずいぶん克服はしたものの、子供の頃はひどかった
言葉と言葉の間があいてしまい、大勢の人にバカにされた、特に父の苛立ちはひどかった、何度も折檻された
父は痛めつければ、泣き叫ぶだろうと考えていた
しかしそうはならず、ただ黙って折檻に耐えているだけの、強情な子が出来上がった
北斗からすれば叩かれれば、叩かれるほど言葉は出てこなかった
窓に立ち、楽しそうに中庭で直哉と話しているアリスをじっと見つめる
本当ならアリスと一緒にいたい、いつも一緒に過ごしたい
だが・・・アリスはたくましい不屈の精神の男と結婚したと考えている
彼女が自分の正体を見抜く時が必ず来る
言葉につっかえる自分を見て、アリスの顔から父のように苛立ちと、軽蔑の表情を向けられたら、きっと自分は耐えられずどうにかなってしまうだろう
自分の過去・・・欠点を知ってしまえば、彼女は嫌悪感を抱き、遅かれ早かれここを去ってしまうだろう
死ぬほど怯えている
それでもいつまでも彼女を避けてはいられない
いずれ二人っきりになると、上手く話せないことがバレてしまう・・・・
やはりこの結婚はまちがいだったのだろうか・・・こんな自分が結婚して、理想の妻を娶れるなんて・・・
アリスが直哉の冗談に笑っている。会話が世界で一番困難な自分にとって、どうして彼らはいとも簡単に、会話をはずませられるのだろう
一番望んでいることは妻と会話すること
一番恐れていることも妻と会話すること
欠点を隠すのは卑怯でバカらしいことだ、そんな自分に愛想をつかせて去って行くならば、それまでの縁なのだ
いずれ彼女には真実を話さないといけない、すべてを話すべきだ
でも今日は無理だ、明日も無理かもしれない
大きなため息をついて、机に向かおうと体を回すと北斗はハッとした。そして一気に優しい気持ちになった
明が北斗の執務机に座り、足をブラブラさせてこっちを見ている
「アキ・・・俺の執務机に座るのは、行儀が悪いぞ 」
明がニッコリと微笑んで北斗を見たので、北斗も笑みを返した