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1月半ば。寒さが一段と厳しくなる中、いよいよ共通テスト当日がやってきた。
陽も澪も、そして迅や花も、それぞれ緊張を押し殺しながら会場へ向かっていた。
受験生として最後の大きな試練。
それぞれの想いを胸に、静かに、真剣に、自分自身と向き合う時間が始まった。
——会場入りする直前。
陽はそっとポケットに入れたメッセージアプリを確認する。
そこには、澪から届いた短い応援メッセージがあった。
『陽なら大丈夫。落ち着いて、頑張ってね!』
小さなスマホの画面を見つめ、陽は心の中で強く頷いた。
(大丈夫。澪が応援してくれてる。オレは負けない)
同じ頃、澪もまた陽の存在を思い浮かべながら、自分を奮い立たせていた。
——試験開始。
試験用紙が配られ、静かな空気の中でペンを走らせる音だけが響く。
(今までやってきたことを信じろ)
(焦らず、ひとつずつ……)
緊張で手が震える瞬間もあった。
それでも、陽も澪も、何度も何度も心の中で自分を励ましながら、問題に向き合っていた。
迅も花も同じだ。
4人それぞれが、それぞれの未来を信じて、今、戦っている。
——試験終了。
会場を出た途端、冬の冷たい空気が一気に頬を刺す。
陽は、顔を上げた。
「……やり切った」
呟いた声は、寒さに消えることもなく、しっかりと自分の耳に届いた。
目指す未来への道は、まだ続いている。
けれど、今日、確かに一歩、前へ進んだ気がした。
そしてきっと——
澪も、同じ空の下で、同じ気持ちを抱いている。
新しい春に向かって。
彼らの物語は、まだ終わらない。