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「多分この学校の誰も知らないんだけどね、ワタシ小学生の時虐待にあってたの。」「えっ?」

想像以上に重たい話に思わず声が零れる。

「それで、毎日どこにいても何をしてても落ち着かなくて、ビクビク怯えながら生きてた、誰にも相談できなかったしね。」

そういった彼女の声は震えている。

「でもなんだか分かんないけどワタシもその環境に適応してきて、顔色伺って、次この人はこうする、こう考えるってのが分かるようになってきたの。」

…だから、相田さんはこのゲームをもちかけてきたのか。

「そのおかげでもうすぐこのゲームに勝てるし、もう離れたおおばあの家に越してきたから気にしてないけどね。」

そうへらっと笑った彼女の声は喜びなんてないように見えた。

「嘘だよ…」

言うつもりはなかった、でも自然と言葉が出てきた。

「相田さんみたいに勘とか観察力が良くないぼくでも分かるよ、相田だってまだ気にしてるんでしょ。」

相田さんがポカンとしたと思ったら、さっきとは違い、大人しく笑いだした。

「生意気なこと言うね心光、でも正解だなぁ、実はまだ二つだけ気にしてることあるんだよね。」

そう言うと相田さんは立ち上がってスカートを思いっきりまくった。

ぼくは思わず目を逸らしてしまったが、相田さんに促され相田さんの方を向くと、そこには大きく爛れた跡があった。

「これ、お母さんにやられたのワタシがおおばあに引き取られる三日前とかだったかな?この跡のせいでプールも海も行けないもん。」

「ご、ごめんあんなこと言ったから見せてくれたんだよね?言わなきゃ良かったよ…」

「ううん、ワタシも誰か一人くらいには知ってて欲しかったから。」

「そっか、、、」

「それで二つ目はね、んーでもこっちは本当に気にしてないんだよね、心光のお陰で。」

「ぼくのお陰?」

心当たりがなかった、ぼくは相田さんになにか大きく影響を与えるようなことをしたことがあっただろうか?

「うん、心光のお陰。パート顔合わせの日覚えてる?」

「うん、確か楽器選びと自己紹介したよね?」

「そうそう、その自己紹介の時ワタシ名札見せたじゃん?」

確かにそうだった気がする、でっかく相田未漣と書かれていた名札をぼくと先輩にみせ、名前を当ててみてと言っていた気がする。

「ワタシね、ワタシが嫌いなくせに置き土産で未漣って名前をお母さんがつけたからこの名前が嫌いだった、読みづらいし書きづらいし、だけど心光なんていったとおもう?」

ぼくはなんと言ったのだろう、まともに覚えていない。

「初手でみなみって読んだ上に”いい名前だね相田さん” っていったんだよ?覚えてる?」

「えっ、でもそりゃ言うよいい名前だと思ったんだもん。」

「違うの、ちゃんとみなみを読んでくれた上にワタシのことを相田で呼んでくれて、心光には当たり前かもしれないけど大嫌いだった名前を褒めてくれてすごく嬉しかったの。」

当たり前だと思ってたことが誰かの心を動かすということがすごく嬉しかった。

「だから、ワタシが最後の質問する前に一個心光に教えといてあげる。」

「なにを?」

「心光は誰かを救える言葉を掛けられるはずだよ、だって優しいから。」

「…そんなことないよ」

ぼくには、輝斗や陽平のような優しさなんて、三人みたいなすごいところなんてない。

それに相田さんみたいにはできないよ、誰かに助けて貰ってばかりだから。

「じゃあ最後の質問するね」

ぼくは今確信している、きっと相田さんはこの質問を正解するだろう。

「自己肯定感の低い心光薙ノ太は、月山くんを助けるための助言をワタシに求めたい。」

「…はい!」

やっぱり想像してた通りだった、相田さんはぼくが今一番欲しい言葉をくれた。


相田さんに助言を貰ったぼくは今saxパートの部屋に向かって走っている。

息が上がっているが顔には笑みが零れた。相田さんの助言はすごくいい物だった、きっと実現出来れば最高の夏になる!

走り抜けた先、ぼくはドアに手をかけ思いっきり開いた。椿季も陽平もビクって肩を震わしたがぼくの顔を見るなり笑いだした。

「薙ノ太髪ボッサボサじゃんw」

と椿季がいじり、笑いながら陽平も頷く。

「もうボサボサでもいいよ」

そう言って髪を少しだけ直してからぼくは部屋に入った。

「それで薙ノ太そんな急いでどうしたの?」

「バレたらヤバいから詳しくは後で話すけど、とりあえず今日輝斗と別れたら二人だけで木ノ薗園に来て。」

要件はできるだけ手短でないと見回りの顧問の先生が来たらこっぴどく怒られるに違いない、見た感じ椿季と陽平の頭の上にははてなが浮かんでいるがしょうがない。

「まぁよく分からないけど、薙ノ太が言うなら僕は行くよ」

陽平は優しくそう言ってくれた。

「まぁ俺も行ってやるから薙ノ太はとっとと戻れよ。」

椿季も言い草はひどいけど来てはくれるらしい。

「良かった、よろしくね!」

ぼくは言葉だけ残し走ってobパートの部屋に戻った。

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