こんばんは、らせんです。 やっぱりふわぐさって永遠説あるなー、と最近改めて実感してます。
ローレンのお披露目配信ですらこの2人しか目に入らなかったほど愛してます。「この先ずっとよろしくね」を前に出てお互いに手を伸ばしながら歌うのやめてください。歌詞割りで泣かせないでください。
今回はそんな溢れるふわぐさ愛をぶつける為に書きました。久しぶりのfwakで学パロ。季節に準じた話にしてみました。
らせんの人生が楽しいのはこの2人のお陰!
「……な、あきな〜?」
「…んぇ、」
不意に名前を呼ばれ慌てて顔を上げると、少し呆れたように微笑んだ生徒会長の顔があった。
「もー明那ってば、僕の話全然聞いてなかったでしょ〜、」
「あー……、はは、ごめん。」
まったくもう、と言いながらもあまり怒っていない様子で、再びくるっとホワイトボードの方を向き直して話を再開した。
そう、今は半月後に迫った我が校の文化祭準備のための大切な生徒会会議中だったのだ。といっても、この会議は校内や外部への宣伝広告についてのことで、他の生徒会メンバーはおらず生徒会長の叶さんと、広報担当の俺の2人だけで集まっている。いつも賑やかな分、がらんとした生徒会室は少し新鮮だった。
「えっと、あとは有志の人たちのライブやら出し物やらの宣伝ポスターを校内に掲示すること。」
「それから学校ホームページのイベント欄の更新と、」
「わかってるとは思うけど、生徒の個人情報の外部漏洩にはくれぐれも……、って、明那ぁ?」
「……っえ!?」
「まーたよそ見してたでしょ、僕の前でいい度胸してるじゃん?」
「ぇあ、ちょごめんって、!!」
「うわわ、叶さッ、、あははww、脇腹はやめて〜〜ww」
「なに考えたか言うまでやめませ〜ん」
叶さんの細い指でやられると涙が出てくるほどくすぐったいから、早くやめてほしい。
だけど言えない、なにを考えていたかは。
「んんん、それはひみつッ!」
「え〜?そんなに口を割らないなんて、もしや好きな人か〜??」
「ぅえ゛っっ!!?」
きっと叶さんは後輩を揶揄おうと冗談半分で言っただけなんだろうけど、突然の話題にテンパった俺は思わず『ガチ』の反応をしてしまった。
「……え?もしかして図星?」
「……ぃや、えっ、と……、」
「ぁ、あーー!!いや!!そんなことより話の続きしましょ!」
「え〜?、ふふ、明那も大人になったんだねぇ、」
小さく笑みをこぼしながらも、やっと俺から離れてくれた。この人にはきっといつまで経っても敵わないんだろうな、なんて考えていると、 叶さんは手元にあったファイルからホチキス留めをされた何枚かの紙を出し、こちらに見せてきた。
「……はい、これ有志の応募者一覧ね。」
「今年は去年より多いみたいだから、賑やかになりそうだよ。」
「おー、ほんとだ……、」
「……、ぁ」
おそらく目の前の人物が作ってくれたであろう、丁寧にまとめられた表を上から順に指でなぞっていると、見覚えのある名前を見つけその上で指を止める。
『不破湊』
その瞬間、きゅっと胸が締め付けられたのがわかった。
何故か?
それはまさに、先程までずっと俺の脳内を占領していた男の名前だったから。
ふわっちと俺は、通称ふわぐさなんて通り名を付けられるくらいには有名な仲良しコンビだ。少し恥ずかしいけど別に悪い気はしないし、彼も「ありっしょ!」なんて笑って言っていたので、もはや公認の呼び方になって定着している。
そう、俺らは自他共に認める仲良しコンビ。それは『親友』という意味で。
それがいつからだろう、俺の彼に対する感情は、友愛という言葉では収まり切らないほど大きくなってしまった。
それは紛れもない、恋愛感情だった。
それを自覚したのは、ふわっちから「俺〇〇ちゃんと付き合った」という報告を突然受けた時。顔も性格もパーフェクトな彼が、前々からよく告白をされているのは知っていた。でもその度に何故か断っていたから、その報告をされた時は本当に戸惑った。
少し照れたように笑う様子に酷く胸が痛んで、「なんで気づいてくれないの」なんて勝手な我儘を言ってしまいそうになるのを必死に堪えながら、その場を適当にやり過ごしてひとりで泣いた。
ああ、俺ってこんなにふわっちのこと好きだったんだ。
やっと自分に正直になれた時には、彼は既に他の人のものになってしまっていただなんて、つくづく間抜けだ。
それでも俺は彼の傍にいたい一心で、今まで通り気の合う友人を演じていた。すぐにボロが出るのではないかという心配していたが、案外器用に取り繕えていたんじゃないだろうか。 数ヶ月後、別れたという言葉を彼の口から聞いた時は、思わず口角が上がってしまったけど。
「元々そんなに好きでもなかったんやけど、せっかく伝えてくれたしなぁ、なんて。」
「ほんと失礼なことしちゃったわ、あの子には。」
罰が悪そうに俯く彼とは裏腹に、俺は嬉しさでいっぱいの胸をどうにか抑えようと必死だった。ふわっちにも、相手の女の子にも悪いことはわかっている。別れたからといって自分にチャンスが回ってくるわけではないことも。
「ふわっちならすぐにいい人が現れるよ!」
なんて慰めの言葉を白々しく並べながら彼の肩を叩いた。
「……んは、あきなは優しいな。」
俺の汚い嘘にも、ゆらりと温かい笑顔を向けてくれる君が好き。隣に立つ俺がどれだけ醜い感情を抱いているかなんて知りもせず、また甘い声で笑ってくれる、そんな君が哀れで愛おしくて大好きだ。
あわよくばその『いい人』が俺でありますように。
淡い期待は笑顔の裏に隠して、今の今まで過ごしてきた。
(そっか、ふわっち文化祭出るんだ、)
彼の名前から視線を横にスライドさせると、他3名の名前と必要機材などが記載されていた。
「どうしたの、急に固まって。」
「ぇ?いや別に……、」
不思議そうな顔で表を覗き込んだ叶さんは、俺の指の先にある名前を見て納得したような表情になる。
「ああ、ふわっちか、」
「今年からバンド組んだらしいからね、しかも結構人気らしいよ〜。」
「だろうね、」
ふわっちがギターを趣味にしていることは前から知っていた。俺も歌うことが好きで、よく放課後の空き教室なんかでギターに合わせて歌ったりしたっけ。
ギターを弾く彼の横顔が好きだったし、ふわっちも俺の歌声を好きだって言ってくれた。
(なのにバンドには誘ってくれないんだね。)
じわ、と涙が滲むのを抑えて話を進め、その日の会議は終わった。
少しやることがあるから先に帰っていいよ、という叶さんの言葉に甘えて、俺はひと足先に生徒会室を後にした。
もう一般生徒は下校したであろう、静かな廊下をひとりで歩く。秋の夕陽が眩しい。 窓から校庭を覗くと、サッカー部が練習しているのが見えた。
そういえば、ふわっちってサッカーも上手だったな。基本何でもできるんだよ、そのくせイケメンとか好きにならないほうがおかしい。
優しくて、いつも気にかけてくれて、俺が勘違いしてしまうような優しい笑顔を向けてくれる。それが俺にとって残酷で、でも容易く喜んでしまって、また辛くなる。
と、気を抜くとすぐにふわっちのことを考えてしまう。考え過ぎか、なんだか窓ガラスにぼんやりと彼の顔が浮かんだような気がして、つい、
「…ふわっち……、」
「ん、どしたん?」
「っ!!???」
あまりの衝撃に急いで後ろを振り返ると、ずっとずっと焦がれていた張本人がけろりとした顔で立っていた。窓ガラスに反射したのは、まさかの実像だったとは。
「なんやぁあきな、無意識に名前呼んじゃうくらい俺のこと好きなん〜?」
「ち、ちがッ……、」
違くない、その通り。「にゃはは、冗談よ」なんて揶揄うように笑われるが、いっそ本気にしてくれ、とか思ってしまう。
どこまでも鈍い彼に救われたような、すこし虚しいような気持ちになっていると、後ろに大きな荷物を背負っているのが目に入った。
「……ふわっち、それギター?」
「ん?、ああ、そうそう。練習帰りなんよ〜」
「そんであきな迎えに行こうかな、なんて思ってたら、こんなとこで可愛いこと言ってたから、」
「だーーー!違うってば!!」
ほら、また俺が勘違いするようなセリフを易々と吐くんだから。「可愛い」という言葉に顔が熱くなるのが自分でもわかったが、なんとか夕日で誤魔化せていてほしい。
勘違いするな、不破湊はこういう男だ。
そう自分に言い聞かせ、平静を装う。
「バンド、調子どう?」
「ええ感じよ〜、雲雀っていう1年の子、俺がスカウトしたんやけどめっちゃ歌上手くてさ〜、」
「へぇ、」
「後輩って想像したことなかったけど、案外可愛いもんよな、」
「慕ってくれるのも嬉しいし。」
「…うん。」
自分から聞いたくせに、耳を塞ぎたくなってきた。
俺以外見ないで、話さないで、触れないで。混ざり合う黒い感情を押し殺して、またいつも通りに相槌を打つ。少し前を歩くふわっちはなんだか遠くて、俺ばっかりひとりの人間に固執している気がして、少し足を早めて隣に並んだ。
俺はいつまで、この気持ちを隠し通せるのだろうか。
答えのない疑問を戒めのように自分に問う、嬉しそうに話す君の横顔をなんだか恨めしく思いながら。
文化祭まであと半月。
to be continue…
コメント
2件
あ、まってくださいほんとにこれらせんさんの作品の中で1番好きですやばい😭私の好きが全て詰まっているぶっ刺さりました🥺👍