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登場人物
●如月 透花(きさらぎ とうか)
性別:男
年齢:15歳
性格:とにかく口が悪い、無愛想。人との関りは苦手。第一印象はヤンキーだと思われがち
誕生日:1月23日
身長:162㎝
詳細 背の低いことがコンプレックス。だから、チビやウーパールーパーと言われると殴られる
好きなものはべっこう飴で、意外とギャップがあり、これを知ると女子生徒の3割は失神する
外見はとてもよく、モデル並みのスタイルと美貌を持っているが、雰囲気が怖いので、近づく者はかなりの勇気がある
髪は水色(地毛)で三つ編みにしている。その三つ編みは大体胸くらいまで伸ばしている
●如月 零(きさらぎ れい)
性別:男
年齢:20歳
性格:重度のブラコンでありながらも、コミュニケーション能力は抜群。人と関わるのが好き。
誕生日:2月28日
身長:184㎝
詳細 意外と高身長で、よく透花をからかっている。また、料理が上手で、如月家の料理人という肩書を持っている。
仕事も一応していて、それに関しては優秀な人材。透花とは正反対な性格を持ちながらも彼に甘えている。
髪はウルフカットにしている
玲瓏高校と呼ばれるそれは、成績、治安と共に普通の高校だ。全校生徒数300人程度。募集定員が少ないこの高校は、毎年倍率が4倍を超える。部活動は主に、イラスト同好会、野球部、陸上部、吹奏楽部、音楽研究部、帰宅部がある。部活動は少ないが、どれも全国出場の常連(帰宅部を除いて)である。これも倍率が高い理由だ。だが、一番の理由は…
「なーなー透花。今度陸上部入らない?部員が減っちゃったんだよね」
「透花くん。イラスト描くことに興味ない?透花くん、センスあるからイラスト同好会に入ったらめっちゃ人気出ると思うんだよね!」
「如月、吹奏楽部入ろうぜ?吹部は体力使うから、如月にはぴったりだと思うんだよな」
如月透花…。今注目されている、玲瓏高校1年生である。なぜこうも勧誘されているかというと、入学初日に少々問題を起こしたからである。
あれは入学式当日のこと
「ったく、今日入学式かよ…面倒臭ぇな」
寝ぼけ眼で早めに朝食や洗顔などを済ませて、制服に着替える。着慣れていないせいか、動きづらい。
「…休んでいいかな」
「ダメに決まってるでしょ!もう。透花は、中学の時からそうやってすぐ休もうとするんだから」
「は?兄貴がどうこう言えねえだろ。仕事も全部放って。このサボり魔が」
「僕はいいの!お兄ちゃんだから、透花のこと見守っとかないといけない義務があるんだよ」
透花の兄、如月零は過度のブラコンであり、暇さえあれば(暇がなくても)透花の元へ行くなど、狂気じみた行動をする人間である。
「そんな義務あってたまるか、早く仕事行ってこいよ。クビにされるぞ」
「大丈夫!こう見えて優秀だから」
「あっそ。じゃあ行ってくる」
「酷い、お兄ちゃん泣いちゃうよ?」
「やべっ、遅刻する。行ってきまーす」
足早に玄関で靴を履く。その時、後ろから柔らかい匂いと共に、やけに大きく重い物体が圧し掛かってくる。
「いってらっしゃーいのハグ。透花って本当にいい匂いだねー、一生嗅いでいられる」
「キモイ、重い(愛と質量が)、早く降りろ、遅刻する…」
「はーい…」
明らかに落ち込んでいる声色で零はリビングへと消えていった。
「ったく、こんな茶番してる暇ねえってのに」
通学途中、変な目でこっちを見てくる輩がいたが、それ以外特に異変はなく、無事学校初日の通学は達成した。
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「新入生入場」
主に教頭が言う言葉は、大体のものに圧がかかりそれっぽく聞こえるというのが、学校の掟になっている。
そして、続々と新入生が登場する。まあ、40人程度しかいないのだが、それでも全員が礼をして席の前に立つまでの時間はあくびが出る程退屈だ。
その後は国歌斉唱や校歌斉唱だの、来賓の挨拶だの、つまらない話を聞かせられ、後半は睡魔と戦っていたところ、突然あり得ない言葉が聞こえてきた。
「続きまして、新入生代表による挨拶です。如月透花さん、お願いします」
「…は?」
突然の言葉に思考が停止し、眠気も吹き飛んだ。そんなことは聞いていない。取り敢えず台に上がるか?否、言う言葉も決まっていないのなら出ても恥をかくだけだ。ここは何にも反応しないことでスルーしてもらえるだろう。
数秒の沈黙のあと、これには教頭も驚いたのか、原稿を見返していた。
「…続きまして、新入生代表の挨拶です。”如月透花さん”お願いします」
迷った末、教頭はもう一度言い直した。どうやら間違っていたようだ__というのが理想であってほしかったが、どうやら本当に俺が言わなければいけないようだ。まあ、俺みたいな優等生だったら即興もお手の物だ、恥はかかないだろう。
「はい」
俺はゆっくりと台へ上がる。やはり、登壇するというのは緊張が必ず憑いてくる。礼をしてマイクの前に立つ。少し深呼吸をした後、俺は頭の中で文を組み立てながら良い感じの間を開けた後、発音する。
「本日は我々を迎えていただいたことに感謝申し上げます。
ただいまご紹介にあずかりました、新入生代表の如月透花と申します。私たちは今日、この玲瓏高等学校に入学し、新しい一歩を踏み出しました。期待に胸をふくらませる一方で、不安な気持ちも抱えております。しかし、先生方や先輩方のご指導をいただきながら、共に学び、成長していけることを大変うれしく思っております。
これまで私たちを支えてくださった保護者の方々、そして迎え入れてくださった先生方・先輩方への感謝を忘れず、学業に励むとともに、部活動や学校行事にも積極的に参加し、充実した高校生活を送ることを誓います。
まだ未熟な私たちではありますが、互いに切磋琢磨しながら大きく成長していけるよう努力してまいります。
どうぞこれからよろしくお願いいたします」
こんなとこかな、優等生というだけはあるだろう。俺を讃える拍手を受け流し、俺は元居た席へと戻る。
無事、入学式は終わった。だがどうしてだろう、始まりから終わりまで、大量の視線が俺を刺してきた。俺、そんなまずいこと言ったか?まあいい、あとは帰るだけだ。楽勝楽勝♪