テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
New登場人物名
●架埼 裏亮(かさきうら まこと)
●神津 里見(かみづ さとみ)
楽勝楽勝♪
調子に乗っていたその時の俺はまだ知らなかった__玲瓏高校の闇を。
「よし、面倒な自己紹介も終わったし、さっさと帰ってやろう」
廊下で鼻歌まじりに歩いていると、突然背後から腕を掴まれた。眉間にしわが寄る。
「待てよ」
上機嫌な俺を冷めさせるほどの不快な音声でそいつは言った。
「んだよ、連絡先は後にしろ」
「連絡先聞きに来たんじゃじゃねーよ。お前のあの挨拶だ」
「挨拶?あー、入学式のか?それがなんだよ。褒めに来たのか?すまないが、それは間に合ってる」
「褒めに来たんじゃねーよ!お前の挨拶、物凄く不快でよ。んで、今のお前の反応。全てが不快なんだよ」
「言いたいことはそれだけか?お前の感想には興味ねえから早く帰れ」
「お前喧嘩売ってるだろ。先輩には敬語を遣えよ、敬語を」
「お前が先輩かどうかは俺が決めることだ。このクズ、敬語も使う気になれねーわ」
「チビがイキってんじゃねえよ。ちょっとあの挨拶の受けが良かったからってな」
「あ?いまなんつった?手前、もっかいいってみろよ」
「このチビが、背伸びしても頭しか見えねーぞ。まるで女の子だな?」
こいつ…淡々と人の地雷踏み抜きやがって…
気づけば俺はあいつの右頬を殴っていた。いつもそうだ。皆に背をバカにされて殴る。そしたら先生は俺を悪役呼ばわりして低額にする。そんなんだから学校も、先生も嫌いなんだよ。先に生きてるだけで調子乗ってるやつが、人を集団生活に慣れさせるための施設が嫌いだ。
殴ったあと、教室から出てきた生徒に見つかり先生を呼ばれ、俺は職員室へ、あいつは保健室へとそれぞれ連れていかれた。
「入学初日から二年生である架埼裏に暴力行為…一体なぜ殴ったのかな、如月くん」
「あいつが俺のことをチビっていったんだ。だから殴った。それだけだ」
「悪口を言われただけで殴るというのはおかしい。下手をすれば架埼裏が死んでいた可能性だってあるんだぞ!もし死んでいたら_」
「学校に支障が出る?知らねえよ死んでなかったならそれでいいじゃないか。いちいち嫌な可能性を突き付けてあたかもこっちが悪かったように仕立てやがって。俺の気持ちも知らないで勝手に話し進めてんじゃねえよ」
「先生に対する口の利き方がなってないね。先生はいつでも君たち生徒を退学にできるんだぞ!」
「そーですか。それはすごいですね、用事あるんで失礼しましたー」
「おい、ちょっと待ちなさい!」
後ろから怒号が聞こえるが、気にせずにある場所へと足を進める。それは保健室。俺はあいつと話をしなければいけないのだ。
◆◆◆◆◆ ◇◇◇◇◇ ◆◆◆◆◆
コンコンと2回ノックし、保健室のドアを開ける。目には俺が殴ったやつがベットの上に寝ているのが見えた。俺はそのままベットの横まで行く。それまで看病していたナースは、俺の顔を見るなり早々に部屋の奥へと消えていった。
「おい、早く起きろ。お前に話さないといけないことがあるんだ」
そう言ってみたはいいものの、ただ少し顔をしかめるだけで全く起きる気配はない。
…遠くからこっちに向かって歩いてくる足音が越える。数は一人。その軽快な音の雰囲気から”陽キャ”だと思われる。
数分後、ガラガラといきなりドアが開く。ノックもせずに入ってきたその男はやや茶染めの雑な髪型をしており、糸目と言わんばかりの目の細さ。服は制服を改変しパーカーのようになっている。校則破りの達人のような見た目だ。
「やあ亮くーん!なんかヤバい一年に殴られたんだって?僕心配で心配で即来ちゃったよ~」
「お前誰だよ」
俺が鋭く言うと、男のほうも目でこちらに圧をかけてくる。
「名乗るのは自分からが礼儀ってもんでしょ?」
「ああ、すまないな。俺は透花。如月透花だ。よろしく。今日入学したての新入生だから優しくしろよ」
こいつ、さっきドアをノックもせず開けてきたのに礼儀ってなんだよ。よくわかんねーやつだな。
「うん。満点の自己紹介だね、花丸をあげよう。僕の名前は神津里見。こいつは架埼裏亮だよ。よろしくね、透花くん。立派な先輩だから、敬語を使ってくれると嬉しいかな」
「ああ、絶対嫌だ。だが気に入った。敬語は使わんが、先輩とは言わせてもらう」
「光栄だね」
◇◇◇◇◇ ※里見の透花への好感度が上がった!
「う、ここは…?」
「お!お目覚めたね、亮くん!ここは保健室だよ。君はこの透花くんに殴られて気絶してしまったのだー!」
「…」
「あ!あの俺がちょっかい出したイケメン新入生じゃねえか!」
「だからそういってるだろう?」
…言ってねーだろ。
「ほらほら~透花くん、自己紹介自己紹介!」
「…俺は如月透花だ」
「なんだー。やけに質素じゃん、どうしちゃったんだよー!」
ちょっとは空気読めよ。そりゃ殴った相手に流暢に喋ってたらどう考えてもヤバい奴になるだろ。ったく。
そうこう考えているうちに架埼裏が口をはさむ。
「如月…。如月透花って…もしかして、あの噂のアレか!あの白藍の俊英(しらあいのしゅんえい)!」