テラーノベル
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__もう、泣くな。
掛けられた声に驚きを隠せず、目を丸くする。想定外の言葉にただ固まることしか出来ない。
🌟「…………….っ、」
男も不自然に思ったのか、頬に触れていた手を離す。何故か男も今起こったことに驚いているため、きっと無意識だったのだろう。
触れられた目元を擦り、涙を拭く。
🎈「………おいしい、です、」
再度、そう言ってまた食べ始める。何故か、この気まずい空間や雰囲気が嫌で。
初めて感じた”味”というもの。食べれば食べるほど感じることが出来て楽しくて仕方ない。
外にもこれ以上に美味しいものがあるのだろうか。
🌟「………お前は食事というものをしてこなかったのか?。」
表情一つ変えずにこちらをじっと見てくる。まるで睨みつけるように。
🎈「………しょく、じ、って何ですか、」
🌟「…………….は??」
小首を傾げれば、ゴミを見るような目で見てくる。めちゃくちゃ怖い。
トーストの最後の部分を食べ終わり、お腹が満たされる。俗に言う、これがお腹いっぱいと言うやつか。
🌟「………お前、何処から来た?」
🎈「言うべき……でしょうか。」
この男のことを何も知らない状況で自分のことを語れ、など無理がありすぎる。別に対した事でも何でもないが、……聞いても良い思いはしないだろうから。
🌟「…………….はぁぁ、」
男が大きく息を吐き、椅子から立ち上がる。少々、興味を持ってくれたのだろうか。
立ち上がるなり、目の前で黒のスーツに着替え出す。黄色の髪に黒という絶妙な組み合わせに少しだけ目が痛くなる。
🌟「仕事。」
🎈「………ぁ、ぇ、?」
息を吐くと同様にそれだけを言い残し、リビングを抜けた廊下へ歩いていく。それもまた、見てなくては気づかないほど、静かに移動して。
数十秒後、奥の方から扉が開く音がして部屋は静寂に包まれた。
🎈「(ぇ、………は??、)」
まさかの行動に驚きが隠せない。こんな簡単に1人になることなんてあるのだろうか。
これはもう勝手に逃げて下さいと言っているみたいだった。
コトがこんな簡単に進んでいいのだろうか。何か最悪なことが起こるような、
🎈「(……..でも、今なら逃げ出せる最大のチャンス、)」
当たりを見た感じ、カメラらしき物は見えない。それに誰かと同居している形跡もない。
今なら、本当に、??
扉の音からして、廊下の方は確かだ。息をスっと吸う。そして、椅子から立ち上がり、リビングの扉に手をかける。
🎈「(……..外に、行くんだ)」
そう強く思い、廊下に勢いよく飛び出した。
廊下の景色は特に何も変わりはない。2階の作りと同じ感じで変哲はない……..が、
何故か、何故か、
🎈「……………っ、」
扉の数が可笑しい。パッと見、作りも似てれば異変を感じられない空間だが。
……..多い。とにかく、玄関が何個も何個もある、この感じ。
🎈「(これだったら、1人にしても大丈夫ってこと……..か、)」
流石はまふぃあ?、ってとこか。そこら辺はしっかりしてるし、逃がさまいという強い執念を感じる。……..気のせいだけど。
🎈「(うぅ、この扉を一つ一つ開ける感じ…..になりそう、、)」
他になにか無いかと隅々まで見渡すが特に何も無い。本当に素朴な普通の家だ。
扉にも特に鍵らしきものは付いておらず、無防備な扉が並んでいる。まるで、何処かのおとぎ話に迷い込んだみたいに。
🎈「(とにかく、逃げる手段はこれくらいしか無さそうだし、)」
この扉の先に外の世界が待っているとするのなら、。
深く息を吸って 、取ってに手をかけた。
🎈「(……..違う、違うっ、、)」
何時間経っただろうか。何時間ここに居続けただろうか。
一体何処が玄関で何処が出口なんだ??
外の景色は赤い色へと変化し、謎のチャイムも鳴り出す。微かに聞こえたチャイム音。その音色はどこか懐かしい。
🎈「…….*おてて、……つないで、*」
どこで覚えたのか、はたまた何時知ったのかも分からない、この音色。
でも、その音色は掛けていた過去の記憶を思い出させようとする。
チクリと痛む頭はきっとそのせい。
🎈「(もう…….やめよう。)」
見えかけた希望も一瞬にして消えていった。何も跡形が無かったかのように。
諦めた訳でも何でも無いが、今の状況が無謀だと感じてしまう。この状況も見つかってしまえば、終わりだろうし。
__早く、外に出たい。
静まり返った静寂の中で、僕だけの声が響いて溶けていった。
コメント
4件
もう本当に最高すぎます...😭 小説って書くの本当に難しいから 尊敬してますっ、!!!🥹✨ どうしたらそんなに上手く書けるんだ、......😇
類君まじで可愛いですね…!!!!! 逃げようとするけど逃げられない,,いいですね()