「予約しておいたが、それでも料理が届くまでは余裕がある。中身を見る時間ならたっぷりあるだろう」
「それは良かった。どうせならじっくり見たかったんだ」
店に入って予約した名前を伝えると、一番奥にある個室へ案内された。
そこは窓ひとつ無く、間接照明のみであり昼間に来た時でも薄暗い所だが、二つの国が公務外で食事をするのにはうってつけだろう。
「早速開けていいか?」
「もちろん」
プレゼントの正体は、木製のペン立てだ。正面には黒い木材で鷲のシルエットが象られている。
「別な木材を嵌め込んでいるのか。それなのに、細かいデザインだ。作り込まれているな」
ソビエトはペン立てを隅々まで観察している。その口ぶりからして、これを選んだのは正解だったようだ。
「凄くいい……執務室で使ってもいいか?」
「もうお前のものなんだから、好きにしたらいいだろ」
「そうか。ありがとう」
それを包み直して鞄に入れたとき、丁度一品目の料理が運ばれてきた。
「うん、素朴だが美味しい。流石、君が選んだ店だな」
「褒めるのが上手いな。俺じゃなくてこの店がいいんだよ」
ソビエトと話すのは本当に楽しくて、気付いた頃には机に食後酒が運ばれている。普段の息抜きの時間もそろそろ終わりそうだ。
「選んだのは俺とはいえ、今の時期忙しかったんじゃないか?」
「会議が一つあっただけだ。強いて言うなら午前中に移して貰ったが、本当にそれぐらいだな」
「そうか……すまなかったな」
「別にいい、お前の方が重要だ」
深い意図は混ぜられず、本音のまま紡がれる会話の中。不意に窓の外を見ると、ちらほら電気の消された家見え出している。
その時のソビエトは甘え上手な子犬に似ていた。俺の目がおかしくなったとかではない、絶対にそうだ。
明日も仕事がある。それはソビエトもそうだろう。でも、次会うとしたら冬が明けた頃になるかもしれない。
「……ここの近くに行きつけの酒場があるんだが、 この後……」
「行く」
間髪を入れさせなかった返信に応えるように、出来る限り早く会計を済ませると、一直線に酒場へ向かうことにした。
「誘ったのは俺だからな。お前が酔い潰れたら、空港までは送ってってやるよ」
「ふふ、望む所だ」
コメント
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ああぁぁァッ!!!!ナチソかソナチか分からんがいちゃいちゃしないでくれ!(尊し狂い) ナっちゃん....無自覚にそんな言動や行動をしてしまうとは、罪作りな独裁国家ですね。ソビさんはソビさんで、この時間を慈しむように大切にしているのが伝わってきます。次回が楽しみです腐腐腐腐腐腐※不純
ナチはもう恋心が盛んですね((