「いや! まだ飲めるが!」
「もう無理だ。お前の肝臓は、俺より弱かったということだ」
「貴様ァ、この期に及んで煽りか?!」
俺は飲みに飲んだ。ソビエトは俺より飲んだ。それなのに、彼は酔っているかすら疑問な所にいる。
それに比べて俺はただ歩くのすらおぼつかない! 屈辱的だが、支えて何とかギリギリというところだ。
「あーもう、俺がおぶってやるから乗れ」
「おっ、いいのか!」
街頭の柱を掴んで、ソビエトはしゃがんで手をスタンバイさせている。飲みの勝負に負けてプライドを削られていた俺は、正直におぶってもらった。
「このまま俺の家まで頼む」
「……何処にあるんだ?」
「ここから電車で30分だ!」
「遠すぎるだろ!」
ソビエトは恨み言を言っても、俺の道案内の声に足が止まることはなかった。
電車に乗る時は流石に背中から降りたが……最寄り駅に着いた時、そこから家までまた乗せてくれた。
「今日は泊まっていけ、布団ならあののクローゼットにある筈だ」
「それならシャワーを借りていいか? このまま寝ると布団が汚れてしまいそうだ」
「いいぞ、バスタオルは適当に使ってくれていい。では、俺は寝る」
許可を出したというのに、ソビエトは俺の横たわるベッドの前に突っ立ったままだった。
「何か言いたいのか?」
「いや、その服のまま寝ると、皺が着いてしまいそうだな、と思っていた」
「めんどくさい……お前は神経質だな」
「困るのは君だろ」
もうそろそろ零時を回りそうな時間帯、頭の中は眠る準備を始めていた。頭の片方を枕に沈ませながら、瞳の端でソビエトを捉える。
「そう思うなら、お前が脱がしてくれよ」
ソビエトはちょっとびっくりしていた。驚く程のことか? 嫌だったとしても冗談の範疇に収まるだろうに。
「……そんなに隙を見せていると、いつか寝首を掻かれるぞ」
「でも、お前はそんなことしないだろ?」
コメント
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嗚呼もう愛してる!
愛しました 、酔ってるせいなのかこういう事を軽々言っちゃうナチ君 … !! とても尊いですわ ……
ナチの信頼が想像の倍高くてびっくりです!!