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ユキ/合唱コン疲れで3日程休み
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「あにき、今日な、ケーキ買ってきてん」
「…へえ。」
「チョコのやつ。 あにき、生クリーム苦手やったやろ?」
「昔な」
「今も苦手?」
「知らん」
まろは一瞬だけ黙った。
それから、いつものように笑った。
「じゃあ一緒に食べよ」
フォークで小さく切ったケーキを、俺の口元に運んできた。
甘い。
それだけだった。
おいしいとも、まずいとも思わない。
「どう?」
「…甘い」
「ふふ、そらケーキやもん」
まろが笑う。
そのはしゃぐような笑顔を眺めた。
まろは変わらない。
何年経っても、俺に向けてくる表情だけは変わらない。
泣いたこともあった。
怒鳴ったこともあった。
嫌いと言ったこともあった。
それでも、毎日ここに来た。
毎日毎日好きだという。
毎日、俺が自分を好きなんだと信じたがる。
「…まろ」
「ん?」
「俺、もう逃げへんよ」
まろの手が止まった。
「…え?」
「逃げへん」
「ほんまに?」
「うん」
まろの瞳が揺れる。
嬉しそうで、泣きそうで、どこか怯えているような顔。
「…なんで?」
なんでだろう。
逃げるための体力が惜しいから?
外に出たところで、何をすればいいか分からないから?
どれも正解で、どれも違うような気がする。
今、脳が言いたがっていること。
「…もう…疲れた」
それだけだった。
まろはフォークを置いた。
「…そっか」
そして、急に俺を抱きしめた。
締め付けるのほうが正しい言い方だろうか。
逃げられないようにするみたいに締め付けられた。
くるしい。
「そっかぁ…」
声が震えていた。
「…やっと…。」
「…俺のこと受け入れてくれたんやな」
違う。
そうじゃない。
どうせ、今頃俺の肩の上で俺を嘲謔するように笑っているのだろう。
俺は何も受け入れていない。
ただ、拒絶することすら面倒になっただけ。
けれど、それに反論する気もなかった。
まろがいいなら、それでいい。
もう、どうでもいいや。
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