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「レガリア皇国は、人間を奴隷として売買することを禁止しておりますが」
貴族はにやりと笑って子どもを見た。
いやらしく歪んだ男の目と口が顔中にシワを作る。
「こやつらは他国で購入し運んできた、いわばモノ。レガリア皇国の法には触れておりませんのですよ、ハイ」
貴族は鬼の首を取ったようにふふんと笑い、無実を訴えるように両手を広げて見せていた。
法の理屈が通じない相手に呆気にとられたアンジェリカに向かい、貴族は薄気味悪い笑顔を浮かべて会釈する。
「とっとと運べ！」
自分に背を向けて、鬱憤を晴らすように奴隷を鞭うつ貴族をアンジェリカは悔しげに睨みつけていた。
（法のすきまを突いたようなものじゃない！）
現在の皇国法で保護されているのは、皇国民だけ。<＊＊＊＊＊
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