練習中、ある日。山口は新戦術を取り入れるためのミーティングを開いた。部員たちの前に立って話すのは緊張するが、もう彼は逃げることなく前を見据えていた。
「みんな、今日は新しい戦術を試してみたいんだ。少し難しいかもしれないけど、やってみる価値はあると思うんだ。」
山口の言葉には以前よりも自信が宿っていた。部員たちはその変化に気づき、真剣に耳を傾けた。
「どんな戦術なんだ?」
田中が興味津々に尋ねる。
「この戦術は、ディフェンスラインを少し変更して、バックアタック時のカバーを強化するものなんだけど…。」
山口はホワイトボードに図を描きながら説明を続けた。話し始めると、自然と熱が入っていく。自分が信じていることを皆に伝える瞬間が、彼には新たな力を与えていた。
「なるほど、それでブロックの穴を埋める感じか?」
日向翔陽が目を輝かせながら補足した。
「そう、その通り。だけど、実際にやってみないとわからない部分も多いから、まずは試してみて、問題点を洗い出そう。」
山口のリーダーシップは日ごとに磨かれていった。部員たちもその姿勢に感化され、一段と士気が高まった。
ある日の練習後、月島と山口は体育館の外で対話を交わしていた。夕日が沈む光景は、二人のシルエットを美しく照らしていた。
「今日はうまくいったな、山口。」
月島が淡々とした口調で話すが、その中には友への誇りが滲んでいた。
「うん、みんなが協力してくれるから、僕もリーダーとして成長できてる気がする。月のおかげだよ。」
山口は感謝の気持ちでいっぱいだった。月島の目を見るたびに、その信頼がさらに強固になっていく。
「お前が頑張ってるからだろ。でも、お前自身も自分を信じてやれば、もっと良い結果が出せるはずだ。」
月島の言葉はいつも核心を突いてくる。それが山口にとって絶対的な励みになるのだった。
「ありがとう、月。僕、もっと頑張るよ。烏野を強くするために。」
その誓いが彼の胸に響き、未来への希望がさらに膨らんでいった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!