tg視点
pr ちぐ、準備できた?
tg は、はい!
落ち着かないまま鏡の前で髪を整えていた俺は、慌てて振り返る。
そこには、ラフな私服姿の先輩が立っていた。
pr おぉ、ええ感じやん
tg そ、そうですか……?
pr おう、俺の隣歩くんやし、ちぐには可愛くおってもらわんとな!
tg ~~ッ!! からかわないでください…!
pr からかっとらんで? 事実やしw
先輩はニヤニヤしながら俺の頭をぽんっと撫でる。
その手を払いのけようとするけど、俺の顔はすでに熱くなっていた。
こんな調子で、一日大丈夫なんだろうか…
pr なぁ、ちぐ
tg はい?
電車に揺られながら、俺はそわそわと隣に座る先輩を見上げる。
恋人という事を意識すればするほど変な対応になってしまう。
pr どこ行きたいとかある?
tg えっ
pr 遊びに行く言うたけど、まだ決めとらんねん
pr せっかくやし、ちぐの行きたいとこ連れてったる
そう言って、先輩は俺の頭をぽんっと軽く小突いた。
tg 俺の、行きたいとこ……
考えてみるけど、デートなんて初めてで、どこに行けばいいのか全然わからない。
tg じゃ、じゃあ、映画とか?
pr 映画か、ええやん、ほんなら駅着いたら上映時間調べよか
tg は、はい!
俺の提案をすんなり受け入れてくれるのが嬉しくて、こっそりと口元が緩む。
pr なんや、嬉しそうやな
tg べ、別に…!
pr 素直になれよw
先輩がクスクス笑う。
恥ずかしくてそっぽを向いたけど、内心は嬉しくて仕方なかった。
俺、先輩とデートしてるんだ。
そう思うだけで、胸がドキドキとうるさくなる。
pr ポップコーン食う?
映画館に着いて、チケットを買ったあと、先輩が売店を指さして聞いてきた。
tg 先輩が食べるなら食べます!
pr ほな買おか
先輩は迷うことなくポップコーンを買い、俺の手に半分持たせる。
tg えっ、これ俺も食べるんですか?
pr せやで、二人で食うから美味いんやろ?
tg ッッ⁉︎
なんてことない言葉なのに、妙にドキッとしてしまう。
先輩はそんな俺の反応を楽しんでいるみたいに、にやりと笑った。
pr ほな、行こか
映画館の薄暗い廊下を並んで歩きながら、俺はそっと隣の先輩を見上げる。
こんな時間が、ずっと続けばいいのにな。
そんなことを考えながら、俺は先輩の隣で静かに歩き続けた。
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