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此処は”本”によって分裂した、幾つもある世界線のうちの一つの世界だ。
謂わば、本来の世界とは違う”偽りの世界”。
其れは、均衡を崩すことで簡単に崩壊する。
それでも私は、そんな世界で生きたいと願った。
プロローグ
一人の少年が海辺を歩いている。
彼が時計を見ると、針は6時19分をさしていた。
「後1分。」
そう呟いて、少年はコンクリイトに腰掛ける。
朝焼けを眺めている彼には、一瞬、どこか危うい美しさがあった。
或る組織の命令で相手を待っている、其の少年。名を、”太宰”と云う。
退屈そうな顔で海を眺めているが、何を思っているのだろうか。
彼は、又時計をチラリ。と見た。
後10秒。
寸分の狂いなく、時を刻む。
5、
4、
3、
2、
1___
突如、太宰の頭に異音が鳴り響いた。
___ザザッ__キィィィィ。_____ザクッ。_
その音とともに、激しい記憶の渦が彼に襲い掛かる。
「_________何故、貴方は___。」
「はッ!」
腑と我に返る太宰。
僅か一秒の間に、彼はすべてを理解した。
一人の男が、先程の少年___太宰に近づく。
その男は太宰を暫く見据え、徐に口を開いた。
「…君が、
____かね?」
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