テラーノベル
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有栖は席を立つ。
向かうは”あの”依織の席。
「……あの、外、一緒にいい?」
「…外…?…あぁまぁ、いいけど。話?」
「…そう。すぐ終わる。」
「分かった」と言って席を立つ。
二人はドアベルを鳴らしながら外へ出た。
ーー 同時刻
依織が席を立ったことで一人になってしまった。
優はどことなくソワソワしている。
仕方なくカウンターの端に座っている方の近くに移動する。
「…隣、失礼します…」
「…あぁ。」
短い返事が返ってくる。
隣にそそくさと座る。
そのまま二人は喋ることなく、約20分経った。
しらを切ったのは端に座っている宵の方だった。
「……ここに、人探しに来たんでしょ。」
「…っ、え…あ、はい…そうです…」
「……どんな人。何してくれたの。」
「…え、えっと……」
優はその時のことを思い出す。
「……あ、私、昔に治んないって言われてた病気を持ってて。」
「病室で、もうだめかなぁ、って思った時に医者の人が来て。」
「意識もだんだん薄れて。そこからは覚えてないんですけど…」
「…目を覚ました時は同じ病室で。」
「隣には友達と親と、治してくれた人とは違う人がいて。」
「そしたらなんて言ったと思います?笑」
「…なんて、?」
「…驚くかと思いますけど、完治しました…って。」
「笑っちゃいそうなぐらい驚いて。」
「…だから、私にとってその人は命の恩人で、私の病を治してくれた人なんです」
そうやって彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「……そう。」
「…ここならいろんな人が集まるっていうから来てみたんですけど…空回りですかね…笑」
「……。それはどうかな。」
「……え?」
「……気長に待ってみるのもいいんじゃない。」
「……そう、ですかね。」
そうして二人の間には再び沈黙が訪れる。
しばらくして、意を決したように宵が口を開く。
「……その人に、お花、あげたでしょ。」
「え……?なんで、それを?」
宵はバックから本を取り出し、間に挟んである栞を取り出す。
「…これ。綺麗でしょ。
「……あ、……私があげたピンクの薔薇…」
「……意味、考えてくれたんでしょ。」
「……それ、って……」
「……ありがとね。お花。枯れそうだったから押し花にしたんだけど。」
「……。……はい…っ!」
ずびっ、と鼻を啜る。
優が鼻を啜り、時折目を擦る。
再び沈黙が横たわったが、その沈黙は決して気まずいものではなくなった。
宵は時折ちらりと優を見ている。
コーヒーは最初以来進んでおらず、
自身が作った栞を撫でるように手に持っていた。
#🚫😎💣️
榎本 夏樹
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コメント
2件
ほっこりしていいなぁ……
おお、10話読んだわ!最後の沈黙が気まずいだけじゃなくて「通じ合えた後の静けさ」になってるの、すごく良かった…。優の病気が治ったエピソード、笑顔で語るのが逆に胸に響くし、宵が押し花の栞をずっと持ってたって描写で「待ってたんだな」って伝わってきてグッときたわ。有栖と依織が外で何話してるのかも気になるし、続きも楽しみにしてる🔥