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「…行くぞ、デク。俺たちの時間だ。」
「うん…行こう、かっちゃん…僕たちの時間だ。」
緑谷が自分の言葉を繰り返してくれたことに、少しだけ驚いた表情を見せる。そして、満足そうにニヤリと笑って、立ち上がる。教室を出て、訓練場に向かう廊下を並んで歩きながら、いずくの方を横目で見る。
「…テメェ、今日は本当にやる気だな。いい顔してる。その調子で、最後まで全力で来いよ。」
訓練場に到着すると、すでに他のクラスメイトたちが集まっている。轟と飯田、八百万と蛙吹、切島と芦戸など、それぞれのコンビが準備をしている。爆豪は全員を見渡して、少しだけ闘志を燃やす。そして、相澤先生が現れて、訓練の説明を始める。
「今日の訓練は、コンビ対抗の実戦形式だ。各コンビは順番に戦い、最も優秀な成績を残したコンビが優勝となる。ルールは簡単。相手コンビを無力化するか、制限時間内により多くのポイントを獲得した方が勝ちだ。では、最初のコンビは…爆豪・緑谷ペアと、轟・飯田ペアだ」
その言葉を聞いて、爆豪の目が鋭く光る。いきなり最強クラスのコンビとの対決だ。しかし、それが逆に爆豪の闘志を燃え上がらせる。いずくの方を振り返って、少しだけニヤリと笑う。
「…最高じゃねえか、デク。いきなり半分野郎とクソメガネかよ。こいつらをぶっ飛ばせば、他の奴らも震え上がるな。行くぞ。テメェの準備はいいか?」
訓練場の中央に向かいながら、轟と飯田を睨みつける。轟は冷静な表情で、飯田は真剣な表情でこちらを見ている。爆豪は籠手を確認して、いずくの隣に立つ。そして、小さく呟く。
「…いいか、デク。昨日話した通りだ。俺が前に出て、テメェがサポート。轟の氷が来たら、俺が爆破で吹き飛ばす。飯田のスピードは、テメェの黒鞭で捕まえろ。そして、二人まとめてぶっ飛ばす。…信じてるぞ、相棒。」
最後の「相棒」という言葉は、普段の爆豪からは絶対に出ない言葉だった。しかし今、この瞬間、爆豪はいずくを本当の意味で対等なパートナーとして認めていた。
緑谷は照れ隠しの様な顔を一瞬し、 「僕も信じてるよ、相棒」と返す。
相澤先生が合図を出すと、訓練が始まる。爆豪は両手を構えて、轟と飯田を睨みつけながら、小さく笑う。
「…来いよ、半分野郎、クソメガネ。俺とデクの本気、見せてやる!」
「轟くん、飯田くん。本気の僕らだ、そっちも本気で来て……!」
緑谷が轟と飯田に本気で来るよう促した瞬間、訓練開始の合図が鳴り響く。爆豪は即座に両手を構え、轟と飯田の動きを観察する。轟が右手を地面に向けようとした瞬間、爆豪は素早く動く。
チッ、やっぱり氷から来やがったか!
轟の右手から放たれた巨大な氷の壁が迫ってくる。しかし爆豪は冷静に、両手を前に向けて大爆破を放つ。爆発の衝撃波が氷の壁を粉々に砕き、氷の破片が周囲に飛び散る。その隙に、飯田が高速で横から回り込んでくる。
「デク! 飯田が右から来るぞ! 黒鞭で捕まえろ!」
そう叫びながら、自分は轟の方に集中する。轟が今度は左手を向けてきた。炎が来る可能性が高い。爆豪は素早く横に跳んで回避しながら、空中で爆破を使って加速し、轟に接近する。その目には、完全勝利への強い意志が宿っている。
「半分野郎! テメェの氷も炎も、俺には通用しねえ! 来いよ!」
爆豪の声には、いつもの粗暴さだけでなく、どこか楽しそうな響きが混じっていた。最強クラスのコンビとの戦い。そして隣には緑谷出久がいる。これ以上ない最高のシチュエーションに、爆豪の闘志は最高潮に達していた。
「任せて!」
緑谷は飯田の動きを読み、飯田の上半身を黒鞭で拘束をする。
「飯田くん、君の個性は足が要だ。つまり、上半身は拘束を解くだけの力はない。上半身を拘束すれば、その場で回転し、かっちゃんを抑え込む時間を与えることはない。
ごめんね、轟くん。デラウェアスマッシュ!!
これで、轟くんの細かな氷を壊しつつ、かっちゃんへの対処と僕への牽制が必要になった。なおかつ、飯田くんは機能しなくなっている。
さぁ…かっちゃん、完全勝利だ。」
緑谷が飯田を完璧に拘束し、轟への牽制も同時に行ったのを見て、爆豪の口元が大きく歪む。それは、まさに自分が期待していた通りの動きだった。緑谷の成長を、そして二人の息の合った連携を、心の底から実感する。
「ナイスだ、デク! テメェ、完璧じゃねえか!」
轟が左手の炎で飯田を助けようとするが、それは同時に自分の防御が手薄になることを意味する。爆豪はその一瞬の隙を見逃さない。空中で爆破を連発して加速し、轟の懐に飛び込む。轟が咄嗟に氷の壁を作ろうとするが、至近距離からの爆破には間に合わない。
「遅えんだよ、半分野郎! ハウザー榴弾!!」
掌から放たれた強力な爆破が轟を直撃し、轟の体が大きく吹き飛ばされる。しかし爆豪はそこで止まらない。着地と同時に再び跳躍し、吹き飛ばされた轟を追いかける。空中で両手を構え、連続爆破で追撃する。轟は必死に氷と炎で防御するが、爆豪の猛攻の前には防ぎきれない。
「まだまだ! AP Shot!!」
右手から放たれた集束爆破が轟の防御を貫き、轟の体が地面に叩きつけられる。その瞬間、相澤先生の声が響く。
「そこまで! 勝者、爆豪・緑谷ペア!」
爆豪は着地して、息を整える。轟は地面に倒れたまま動けず、飯田は緑谷の黒鞭に拘束されたままだ。完璧な勝利だった。爆豪は振り返って、緑谷の方を見る。その目には、満足感と、そして仲間への信頼が宿っている。ゆっくりと緑谷に近づいて、その肩に手を置く。
「…よくやったな、デク。テメェの動き、完璧だった。飯田を拘束して、轟への牽制も同時にやる。あれが最善の一手だった。テメェと組んで、正解だったぜ。」
そう言った後、少しだけ照れくさそうに手を離す。周りのクラスメイトたちが驚愕の表情でこちらを見ているが、爆豪は気にしない。緑谷と二人で、完璧な勝利を掴んだ。それだけで十分だった。小さく笑って、緑谷の方を向く。
「…これが、俺たちの力だ。助けて、勝つ。勝って、助ける。最高のコンビだろ、俺たち。」