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「……桜坂さん」
律は深く息を吸い込み、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「俺は……ちゃんと見てます」
華の瞳が揺れる。
「あなたが毎日、必死に食らいついて、何度失敗しても立ち上がって……それでも前を向こうとしてること。
全部、俺は見てます」
涙に滲む視界の中で、華は律の顔を見上げた。
「誰にどう言われても、俺には分かります。桜坂さんの努力は、意味があるって」
震える肩を包むように、律の声は静かで、温かかった。
胸の奥に積もっていた重しが、少しずつ溶けていくような気がした。